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本雑綱目 7 歴史読本臨時増刊82-3 特集 中国の名将と名参謀 歴史を動かした決断と智謀

 これは乱数メーカーを用いて手元にある約4000冊の本から1冊を選んで読んでみる、ついでに小説に使えるかとか考えてみようという雑な企画です。

今回は歴史読本臨時増刊82-3、特集 中国の名将と名参謀 歴史を動かした決断と智謀です。
NDC分類では雑誌は日本の雑誌(051)一択なので、雑誌ばかり一緒くたにまとめています。

1.読前印象
 表紙に書かれてるイラストが劉邦、始皇帝、諸葛孔明、チンギス・ハーンな時点で諸葛孔明以外将じゃなくね? ていう混乱。孔明は名参謀のほうだろうし、なんとなく帝になったのを将という認識がなかったので少し頭がくらくらする。いや、劉邦は将かもしれんが始皇帝は前線張ったりしてたっけ。
 ともあれメインは春秋戦国あたりっぽいので安心。実は始皇帝以降はあまり詳しくないのだ。

2.目次と前書きチェック
 お。最初が桓公と管仲で、次は夫差・勾践と伍子胥・范蠡ですか。その後も滾る。これは見出しだけで心躍る本。でもチンギスハンと耶律楚材とか明の太祖と劉基というセットをみるに、なんとなく王帝と参謀セットというニュアンスらしい。ああ、特集タイトルってそういう意味か(ようやく腑に落ちる)。
 特集以外も興味深いのばかりだけど、とりあえず特集から夫差・勾践、それ以外から宦官を読んでみよう。宦官は今度出る本が宦官なので。他に法家もすごい気になるんだけどな。滾る積本発見。

3.中身
 『夫差・勾践と伍子胥・范蠡』について。
 呉越は戦国イチの男塾じみた暑苦しいエピソードてんこもりで、僕の大好きな話です。というか、相互復讐譚としてこれそのまま描けば追加で盛り上がりどころをわざわざ作る必要もないほどの重厚なストーリーとたくさんの故事成語に溢れた完結した話が出来上がる。
 最初に小説ライクに顛末が語られ、その後に当時の情勢や背景が語られるという二段構成。紙幅の問題だろうけど、小説の部分は一番に盛り上がる最後のシーンを一番最初に持ってきて、そのあと時系列がいったりきたりしているのを見て、これが下手に時系列を弄ってはいかんというやつかと何故か実感。小説っぽく書いてるから余計にそう思う気はする、歴史読本という本の性質上、読者の誘引になる小説は必要なんだろうな。
 ともあれ短いあらすじの後の解説はなかなかわかりやすくまとまっていて良い。呉は周系統で越は禹系統だからあの范蠡の言なんだなと改めて気づく。その他にも伍子胥が楚を出奔したところから范蠡が斉に逃げたあたりまでコンパクトにまとまっていて読み応えがある。うん、まじで呉越はそのまま書けば歴史長編ができる。……描きたいけど、描ける筆の力がありません。他の話も気になるな。
『宦官』について。
 殷代から宦官が存在するのは知ってはいたけれど、やっぱり宦官が政治に大きく影響力を持つのは後漢の和帝のころからだ。その宦官がどのように力を得ていったかという内容がメイン。
 主に宦官政治で有名な時代のエピソードをいくつか取り上げている。この本というか雑誌は共著なので筆者によって内容の傾向が違うけれど、この章は比較的小説的な描かれ方をしている。僕はどちらかといえば、それぞれの時代における宦官が得た権限の範囲や法令制定とその狙い等の文献的なものが読みたかったわけだけど、この本はあくまで雑誌なのでこういう方が受けるのかもしれないと思った。子孫に財産を残すためにたくさんの贈与や相続法令を作っているはずなのだ。
 済陰王で書くの面白そう……。

4.結び
 古代中国は面白い。というか中国の皇帝、名将、参謀を取り上げて面白くないはずがない。小説で書こうとするなら入口としてはとても参考になるけれど、当時の時代背景は別途調査が必要だと思う。ああー。伍子胥が書きたいー。伍子胥がー。
 次回は瓜生中著『知識ゼロからの神社と祭り入門』です。
 え。ゼロからってどのへんからなんだ?
 ではまた明日! 多分!

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