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洛南高校〜日本選手権前の最終刺激〜

 2024年6/27~6/30にて行われたu20日本選手権前の洛南高校最終刺激に密着した。日本選手権に出場しない選手も、駅伝に出場する予定で、そちらも調整練習を行っていた。
 洛南高校からはu20日本選手権へ3000mSCに3名、5000mに2名、1500mに1名出場した。

 3000mSCでは全員が自己ベストを更新し、4位、7位、10位という成績を残し、タイムも2名が8分台、1名も9分0と驚異的な強さを見せた。
 5000mにおいても5位と7位で入賞を果たしどちらも13分台、1500mも2位で3分47と出場した6名が全て好成績であった。
 
 そんな洛南高校の大会前の最終刺激ではどのようなメニューが行われているのか。また、試合を前にした選手に対し、監督である奥村隆太郎先生はどのような言葉をかけているのであろうか。

取材の概要はYouTubeにも掲載されています。ぜひ御覧になってください。

最終刺激をそれぞれの試合に向けて行う

 洛南高校のグラウンドにてランニングドリル、動き作りを行った後、ジョギングで近くの競技場へ向かい、各自練習に向けて準備を行う。駅伝に出場する選手は本番を想定して襷をかけて行うようだ。

 集合し、奥村監督からメニューが発表される。
 
 5000mに出場する選手は1000m+200m。1000mは2分45秒ペース。
 3000mSCに出場する選手は1000m×2。2分50ペース。
 5000mに出場する選手に対し、日本選手権なのでペースは遅くならないので強めに刺激を入れるように、意図をきちんと伝える。
 3000mSCに出場する選手には2日前なのできもちよく2分50で行うようにと伝えた。
 駅伝に出場する選手も1000m×2本を2分50で行う。こちらは集団で行うようだ。  

練習前に、きちんと選手に対して意図を伝えていた。

 大会前の最終刺激がスタート。
 駅伝に出場する選手は集団で、日本選手権に出場する選手は各自で行う。

リズムよく集団で行う。1000m×2。2分50ペース
日本選手権に出場する選手は各自で行っていた

奥村監督から試合前の選手に向けての声かけ

 刺激が終了。
 刺激を行った後は、1人ずつ奥村監督のもとへ選手は挨拶をしにいく。

 奥村監督はそれぞれの選手の性格や状態に向けて、丁寧に声をかけているようだ。
 中には駅伝に出場しない選手もいたが、その選手に対しても丁寧に声をかけていた。

 まずは駅伝でアンカーを走る選手へ。
「どういう展開になるかわからないけど、お前の仕事は1つ。トップで渡すこと。追う展開でも追われる展開でもトップでゴールすることだけ考えて、しっかり行きなさい。」

と、きちんと本番での役割を伝えていた。 

それぞれの選手へ、丁寧に声をかけている。   

 次は故障から復帰した選手へ。

 「出たかった試合に出られないっていうのは悔しいし、マイナスのことの方が大きいかもしれないが、でも逆に言えばここで無理してまた故障するくらいなら、もうちょい時間かけて万全の状態でスタートラインに立った方が良いよ」

 故障での悔しい気持ちを汲み取り、声をかけていた。
 
 次は駅伝メンバーに選ばれなかった1年生へ。

 選手の方から、駅伝メンバーに選ばれなかった理由として
「駅伝メンバー選考練習、大事な日にはなれてしまったこと」と奥村監督に伝えた。

すると奥村監督は
「せやな。自分でもわかってるな。しかも、ちょっと離れただけじゃなくて外れ方も大きかったな。
でな、チャンスってそういうものだ。チャンスをつかむのも一瞬だし、チャンスを失うのも一瞬だ。その一瞬頑張れたら、試合に出れて、そこで自信をつかんで強くなるかもしれないし、その一瞬頑張れなかったら、そのチャンスをつかむことのないまま伸びる事もなく終わってしまうこともある。だから日ごろから練習の1本1本を大事にしなきゃいけないし、それに向けて練習を試合のつもりで準備しておかなければいけない。」

 選手にはっきりと、練習1つ1つの大切さを伝えていた。

目をみてはっきりと伝えている様子

 次はu20日本選手権に出場する選手たちへ。

「外国人のいないレースとはいえ、日本選手権だから遅い展開にはならない。ただ、自分のペースでレースをしようと思うな。レースの流れの中で何ができるか、それを経験するために日本選手権に出るのだから、入りが速かったからといって、後ろから行こうとか、そういう甘っちょろい考えをするんじゃなくて、思い切って食らいつくレースをして、それができるかできないかはさておいて、挑戦することに意味があるから、大学生相手を含めて挑戦してください。」

ただ、別の選手には
「お前はちょっと気持ちを落ち着けていけ。気負いすぎる心配があるから。」

 と選手によって全く違う声をかけ、丁寧に接していた。

グループに分かれてコアとジャンプ系の補強と掃除とケアを行う

 ポイント練習が終了。ジョギングで競技場から学校までそれぞれ帰る。
 学校につくと、今度は補強が始まる。
 
 この日のメニューはコアとジャンプ系の補強。
 それぞれのグループに分かれて行う。補強は真剣に行っていたが、時々笑顔を見せ、良い雰囲気で行っている様子がうかがえた。

ボックスなどの道具も用いて行っていた

 補強が終わると次は掃除。
 その後マットを引き、全体でストレッチや道具を用いてケアを行っていた。

丁寧に掃除を行っていた 
ケアは自分自身で行う。
様々なストレッチやマッサージを行っていた。

練習の終わりの挨拶

 これにて全ての練習が終了。
 最後に練習の終わりに全員で集まって監督から選手へお話をする。
 中にはノートを持ってきてメモをする選手もいた。

奥村監督から選手に向けてお話をしている様子

 「こうして君たちが1人1人が強くなって、また、チームとして充実してきたことによって注目をしていただけることは大変光栄なことだし、いろんなことでとりあげてもらったり評価していただけることは大変ありがたいことです。 ただ、それなりに責任も伴うことです。注目される分、襟を正すというわけじゃないけども、緊張感をもって日頃の生活も送れるように、やっぱりさすが洛南だなって思ってもらえるようなチームになるように頑張ってください。」

 奥村監督からのお話が終わると、今度は選手だけでミーティングを行っているようだ。

選手同士のミーティングの様子

高校3年生へインタビュー

 練習後には高校3年生の選手がインタビューにこたえてくれた。

 なぜ洛南高校への進学を選んだのですか?と聞くと
「高校駅伝で日本一になりたい。トラックも駅伝も両方強いところに魅力を感じた」
とこたえた。駅伝もトラックもやる気をもって洛南高校を選んだようだ。

 今年の目標を聞くと、昨年、洛南高校が持っていた、全国高校駅伝の日本人のみの最速タイムを佐久長聖高校に更新されてしまったため、その奪還と、チーム史上初の優勝ということのようだ。
 また、「1人1人がしっかり自主性をもって攻めの姿勢、切磋琢磨していけるようなチームにしていきたいなというふうに思います。」
とこたえた。数字の目標だけではなく、チームのビジョンも持っているようだ。

笑顔で快くインタビューにこたえてくれた

 卒業後の目標や夢としては、箱根駅伝だけでなく、世界でも勝負したいとこたえ、両方頑張りたいと思う選手が多かった。

 走る以外の趣味を聞くと、K-POPや漫画が好きといった、若者らしい一面も見られた。中には自炊が好きといった選手もいた。

 最後に、憧れの選手を聞くと、洛南高校の卒業生で現在世界の舞台で活躍する三浦龍司選手や佐藤圭汰選手があげられた。先輩の背中をおって、世界の舞台で活躍することを目標に頑張っているようだ。

「洛南高校優勝するぞ!おー!」
元気な意気込みを見せてくれた

沢山の名選手を輩出している洛南高校。
これからの活躍も楽しみだ。