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10月15日(木) 晴れ
同室の中川くんが退院して、私のベッドは窓際に移動した。
病室の窓には、青い空が広がり、太陽の光が差し込む。窓を開けると風が入り、身体がそれらを吸収してゆくようだった。
のんびり空を見上げながら、いつも私は父を気にかけていたのだなと思った。今日は調子はいいだろうか、倒れてはいないだろうか。仕事をしていても、友達と遊んでいても、恋をしていても。気にもとめてなかったが心につっかえたものがあったのだと思う。
(父が亡くなった)今は、この空のように空っぽな心で、昼寝したり、本を読んだり。
いつの間にか、外の景色が赤褐色に色づき、影が伸び、空が暗んでいった。今日は朝日が太陽と呼ばれ夕日に変わるまで、空をみて過ごしたのだ。
だいぶ前、京都で一人暮らしをしていた学生の頃、部屋で当時の彼女と別れ話をしていた。私が切り出した別れ話、受け入れてもらえず長引いた。2人机に向かい合いながら、窓の外は太陽が沈み、上り、また沈み、また上った。あの時のことを思い出して、少し笑った。
今日は何もない1日だったけど、からっぽの心が心地いい1日だった。
写真はサハラ砂漠、エルグシェガガにて、ベルベル人と砂漠と青空
亀田信暁
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