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テンパの小話

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2019年7月の記事一覧

トイレの話

トイレの話

人生これ排泄なり、などとうそぶいてみたりしている。そんな大げさな、と思うかもしれないけれど、排泄がうまく行えないと、身体的に不快だし、精神的にも落ち着かない。いつでもトイレに行くことができる環境にいる人にとっては、そんなことは大した問題ではないだろう。けれど、世の中ではトイレに簡単に行くことができない環境や条件や場面はいくらでもある。
とても私事で恐縮だが、ワタシは大変頻繁にトイレに行く人間である

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イギリスの食べ物

イギリスの食べ物

イギリスには、二回行ったことがある。10歳のときに父の仕事のついでに連れて行ってもらい、また大学生のときに旅行で行ったのだ。その2回の旅行ともに夏の旅行だったけれど、イギリスはとても寒々しい国だった。東アジアの日本からやってきた人間にとっては、太陽の力が薄弱で、気温も湿度も何か物足りない感じがした。
決して日本の夏が好きなわけではない。いやむしろ、高温と高湿度で水をかぶったような汗をかき、濡れ鼠に

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靴下嫌い

靴下嫌い

靴下が嫌いだ。どうしてこんなものを履かねばならないのかと思ってしまう。子供の頃から好きじゃなかった気もする。昔、玄関で靴下を履くのをしぶって母を困らせた覚えがあるのは、多分間違いのない記憶だ。そう思えるくらい、靴下を履くのが好きじゃない。外に出るときはサンダルで出たいと思うのが正直なところだ。
冷え性の人には考えられないことかもしれないが、僕の足は大体においてポカポカである。ポカポカどころか、些か

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Hot, Spicy & Masochistic

Hot, Spicy & Masochistic

辛い物を食べる。そうすると、なぜだか気分が爽快になる。どうしてだかどうしてだか、その辛さが増せば増ほどに、その爽快感が別次元のものとなっていくような気がする。そう僕は辛い食べ物好きだ。
夏が近づくと、世間では激辛商品などが店頭に並び、いよいよこの季節がきたか、と気分は高まる。とは言っても、季節隔てなく、辛い物が食べたい欲求があるので、その期間限定で出てくる激辛現象に疑問も覚える。
確かに熱帯地域に

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弟への恐怖政治

弟への恐怖政治

弟の存在はいつも不思議な感じだ。一番身近で、取っつきやすく、場合によっては色々と頼りにしてしまう、そんな存在なのだ。そう思えてきたのは、ある程度の年齢を重ねた末なのかもしれない。けど、やはり生まれたときから知っており、その弟の成長過程をほとんど知っているという特別感が、僕の中にあることに気がつく。
特別感などと今だから言えるだろうけれど、昔はもっと複雑な心境だったような気がする。弟の存在を僕の記憶

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妹が生まれた日

妹が生まれた日

妹が生まれた日のことは覚えている。その日は僕の初めての夏休み中のことで、帰省先の横浜の祖父母の家は騒がしい感じがしていた。父は仕事の為だったのか、まだ駆けつけていなかった気がする。家から歩いて10分ほどの病院まで妹を見に行った。
物心ついて初めて目にする新生児はびっくりするほど動物っぽかった。女の子であると聞いたが、男か女かも僕には分からなかった。けれども、異性の兄妹ができたのは、ちょっと変な気分

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