ペットボトルのリサイクル事情 技術編
PETボトルのリサイクル事情第2編はPETボトルをリサイクルする方法を調べてみました。第1編はこちらです。
1.PETボトルからPETボトルを作るのは難しい
「小学生のための環境リサイクル学習ホームページ」より引用
PETボトルのリサイクルは分別→回収→再資源化という過程を経ます。2018年度、PETボトルのリサイクル量529千トンうちPETボトルに生まれ変わったのは73千トン(14%)でした。
PETボトルにリサイクルするには粘性と食品衛生の2つの壁があります。
「協栄産業株式会社HP」より引用
・粘性(IV値):PET樹脂は熱が加わると樹脂の粘性が落ちるが、PETボトルはPET樹脂の中でも高い粘性を必要とします。
・食品衛生:PETボトルにつく不純物を取り除かないと食品用には使用できません。再生プラスチックの安全性の確認の仕組みは構成労働省の「食品用器具及び容器包装における再生プラスチック材料の使用に関する指針(ガイドライン)について」で定められております。
これら問題を解決するのが、メカニカルリサイクルとケミカルリサイクルと呼ばれる技術です。
2.メカニカルリサイクル
・方法:除染装置の内で汚染物質を除去すると同時に粘性をあげる
・メリット:ケミカルリサイクルに比べると製造コストが低い
・デメリット:着色物や汚染物のリサイクルは困難
詳しくはこちらをご参照ください。
・PETボトルリサイクル推進協議会「メカニカルサイクル」
・協栄産業株式会社「ペットボトルのリサイクルフロー」
3.ケミカルリサイクル
・方法:解重合法(バラバラにして、再結合する)
・メリット1:着色物や汚染物でもリサイクル可能
・メリット2:未使用のPET樹脂と同等の品質に再生できる
・デメリット:メカニカルサイクルに比べると製造コストが高い
詳しくはこちらをご参照ください。
・PETボトルリサイクル推進協議会「ケミカルサイクル」
・ペットリファインテクノロジー株式会社「技術紹介資料」
ケミカルリサイクル全般についてはこちらをご参照ください。
・旭リサーチセンター「プラスチックのケミカルリサイクルとその技術開発(上・下)」
4.リサイクルされたPETボトルを利用した製品
こうしてリサイクルされたPETボトル製品が私たちの身の回りにもあるので、ご紹介いたします。
サントリー
「サントリーHP」より引用
サントリーは協栄産業と共同で、2011年に国内飲料業界で始めてPETボトルのメカニカルリサイクルを構築しました。リサイクルPET樹脂の使用量が100%の場合、石油由来原料100%のPETボトルと比較してCO2排出量は83%削減できるそうです。
2017年にはマテリアルリサイクルの工程を簡略化した「フレークtoプリフォームダイレクトリサイクル技術」を開発し、従来の方法に比べて25%のCO2削を減できるそうです。
詳しくはこちらをご参照ください。
サントリー:「サントリーのエコ活 パッケージ」
食品と容器:「フレーク to プリフォームダイレクトリサイクル技術の開発」
コカ・コーラ
「コカ・コーラ社HP」より引用
コカ・コーラはセブン&アイグループの店頭で回収されたPETボトル100%を用いた製品(完全循環型ペットボトル)を2019年に発売しています。セブン&アイグループの店頭回収機では容器が自動的に潰されるので、輸送が効率的にでき、消費者は回収に協力するとnanacoポイントも貯まります。
詳しくはこちらをご参照ください。
・コカ・コーラ:「完全循環型PETボトル」
・イトーヨーカドー:「便利でお得な店頭回収」(店頭回収の概要)
・TOMRA:「セブン&アイ ペットボトル リサイクル プロジェクト」(取組みに関連している企業)
また、コカ・コーラは海洋プラスチックを再利用したPETボトルや生分解可能なPETボトルも検討中のようです。詳細は以下の記事をご参照ください。
編集後記
2編にわたるペットボトルのリサイクル事情いかがだったでしょうか?個人的には少し幅を広げすぎて内容が浅くなったなという反省もあります。引用文献は特に分かりやすかったものを選びました。もう少し詳しく知りたい方はリンク先をご参照いただけると幸いです。
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Photo by Annie Spratt on Unsplash
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