ペットボトルのリサイクル事情 数値編
先日ラベルレスボトルの記事を書いたときに、PETボトルのリサイクル率はどれくらい?と思い、調べてみました。
今回は数値編と技術編に分け、数値編ではリサイクルに関わる数値を、技術編ではリサイクルする方法についてメモします。
数値編はPETボトル推進協議会発行の「PETボトルリサイクル年次報告書2019」(以下、年次報告書)をもとに数値を確認していきます。
1.リサイクル率
「年次報告書」を一部切取り引用
PETボトルのリサイクル率は
(リサイクル量)÷(ボトル販売量)=529千トン÷626千トン=84.6%
海外の量をどうやって計算したのか気になる方は、推進協議会HPの「リサイクル率の算出」をご参照ください。
2.国内でのリサイクルの内訳
「年次報告書」を一部切取り引用
国内で再利用されたPETボトルの用途別利用量はシート、繊維、PETボトルの順に多いです。前年度比ではPETボトルが18%増と最も伸びが大きかったです。用途別のより詳細な内訳は年次報告書2019の表3に記載されてます。
3.販売量とリサイクル量との差
販売量626千トンに対してリサイクル量529千トン。残りの97千トンは何処に?と思い報告書を読んでいると、12頁に「未確認料の調査を開始」という項目がありました。こちらでは回収率という言葉が使用されています。
回収率とは「PETボトル販売量に対して資源として回収されて使用済みPETボトル量」のことを指し、値は91.5%です。
回収された使用済みの正味のPETボトル量は572千トン(ラベル、キャップ、異物は含まない)。値の遷移は推進協議会HPの「PETボトル回収率の推移」に記載されてます。
「年次報告書」を一部切取り引用
「リサイクル率の算出」によるとリサイクル量は回収量×資源化率で計算されており、年次報告書の13頁には「リサイクル工程で発生する残渣43千トン」と記載されています。販売量とリサイクル量のキャップ(97千トン)のうち43千トンはリサイクルの残渣でした。
回収量(572千トン)=リサイクル量(529千トン)+残渣(43千トン)
では、販売量と回収量のギャップ(54千トン)はどこにいったのでしょうか?年次報告書の12頁では可燃ごみ・不燃ごみへの混入は60千トンと推定されており、概ね数字があいます。
4.リサイクル量と用途別使用量のギャップ
国内で再利用されるPETボトルの推定量は334千トンで用途別利用調査量では276千トン。差は58千トンとなります。推進協議会様にお伺いしたところ、用途別利用調査量は各メーカー様への調査で情報を収集しているので、網羅するのは難しいようです。
さらに、日本容器包装リサイクル協会の再商品化製品販売実績では2018年(平成30年)の再生商品化製品販売量は170千トンです。PETボトルリサイクル推進協議会の276千トンと値が随分と異なると思いましたが、容器包装リサイクル協会の値は市町村系回収のみを対象としており、事業系回収は対象外でした。
日本容器包装リサイクル協会「リサイクルのゆくえPETボトル」を一部切取り引用
5.2030年目標:有効利用率100%
全国清涼飲料連合会は2018年に、2030年までにPETボトルの100%有効活用を目指すこと宣言しました。有効活用率の定義は以下の通りです。
有効活用率=(リサイクル量+熱回収量)÷(指定PETボトル販売量)
年次報告書の13頁によると、2018年度は「リサイクル工程で発生する残渣」と「可燃・不燃ごみに混入しているPETボトル」のうち熱回収に利用されているものは88千トン。リサイクル量529千トンと合計すると617千トンとなり、2018年の有効利用率は98%でした。
編集後記
販売したPETボトルを追跡するのは大変なことだと思います(特に海外)。しかし、それらを把握することが資源を循環させる第1歩なんだろうとも思いました。第2編では回収したPETボトルをどのようにリサイクルするのかを調べてみました。
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