死ぬまでに聴いてほしい吹奏楽の曲3選!
最近、自分の中で吹奏楽がアツい。
メキシコの荒野を駆け抜ける、カラカラに乾いて直に熱を伝えてくるような吹きすさぶ突風が胸の中を駆け巡っている。
僕はもともと大学3年生で応援部をやめるまで、足掛け12年間、ずっと楽器をやっていた。
もともとは東大なんかに来るつもりもなく、藝大に進学して音楽のプロとして飯を食っていくつもりだったのだ。
でも、最近はあまりそういった音楽を聴く人がいない。
別にバッハやモーツァルトに興味があるわけではない。
むしろ、僕が好んで聴いているのは、ここ100年内に作曲されたような曲たちである。
確かに、最近はやりのK-Popなどと比べると、味付けが薄味に思えてしまうかもしれない。
それはそうだ、吹奏楽やオーケストラにはリバーブをきかせる文化はない。
だが、たまにはちょっとだけクラシカルな感じがする(あくまで、"感じ"だ)音楽を聴いてみるのもいいのではないだろうか?
意外と聞いてみると面白いものだ。
今回は、僕が特にお気に入りの吹奏楽曲を三つご紹介したい。
大丈夫、youtubeリンクも貼っていくので、その場ですぐ聴けるようになっているぞ。
ちなみに、僕も不勉強で、音楽的な解説とかはできない。
初心者でもなんとなく「聴いてみようかな?」と思ってもらえるように書けるよう頑張ります。
①エル・カミーノ・レアル A.リード作曲
「吹奏楽の神様」と称されるアルフレッド・リードによる曲。
スペイン語で「王の道」という意味のタイトルであり、その雄大な名前に恥じない広がりと深みのある響きが聴衆を魅了する。
頭のフェルマータ(指揮者がOK出すまでずっと伸ばしててね、の意味)を皮切りに、突如として眼前にスペインの荒野が広がるのがわかるだろう。
もはや王の槍とかした軍勢は、悠然と進軍していく。
典型的な吹奏楽曲のパターンとして「速い部分→遅い部分→速い部分」の進行があげられる。
この曲もまったくそれと同じく進む。
吹奏楽的な曲に慣れていない人は大抵途中の遅いところで脱落してしまうのではないだろうか。
でも、この曲の「エモい」旋律はあなたを夢から呼び覚ますだろう。
夜の月明かりの下で悩ましく舞う踊り子の姿が見えるようだ。
この曲は典型的な進行でありながら、非常にききやすいと考えているので、ぜひこの曲から入ってみてもらえるとうれしい。
②吹奏楽のための第一組曲 G.ホルスト作曲
これは組曲なので、3つの異なる調子の曲がドッキングして、一つの曲になっている。
まずはシャコンヌから聴いてみてほしい。
シャコンヌとは、簡単に言えば、何度も同じ形式のフレーズを繰り返して、一つの曲を作る形式のことを言う。
作曲家に聞いたら、「めっちゃムズイ」のだという。
たしかに、同じ形式を繰り返すだけで、どんどん曲調を変化させていくのは至難の業だろう。
だが、不思議と飽きが来ないのだ。
同じメロディーを繰り返しているだけなのに、手を変え品を変え、僕たちに異なる地平線を見せ続けてくれる。
フィナーレは感動の一言だ。
3曲全部聞くのがつらければ、シャコンヌだけでも聴いて帰ってほしい。
もちろんそれ以降もいい曲(個人的にはⅢ.マーチがおすすめ)なのだが、やっぱりこの曲はシャコンヌが一番だろう。
③吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」
伊藤康英作曲
「隠れキリシタン」という言葉を聞いたことはあるだろうか?
江戸時代に、禁止されていたキリスト教を信仰していた信者たちのことを指す。
江戸中期以降は、外国勢力との結びつきを恐れた江戸幕府によって、キリシタン狩りが積極的に行われた。
この曲は、そんな時代をイメージして作られている。
「ぐるりよざ」。
聞き覚えのない言葉だろう。
当たり前だ。こんな言葉は日本語にも英語にも存在しない。
そもそも、当時の日本人は、海外の言葉を正確に理解していただろうか?
いや、そんなはずがない。
つたないボディーランゲージなどを頼りに意思を疎通していたはずだろう。
もちろん日常会話程度なら会話が発生していた可能性はある。
だが、宗教的な話題にまで突っ込んだ話ができただろうか?
きっと、当時の日本人は、意味も解らないまま、空耳で賛美歌を歌っていたのではないだろうか。
そういった予想を元として、この曲は作曲されている。
この曲のモチーフはキリスト教の古い讃美歌であるグレゴリオ賛歌。
「ぐるりよざ」はその歌詞の空耳だ。
曲が始まると"Oo, Gloriosa domina"と歌が始まる。
これは、作者の伊藤氏が思う「当時の日本人のグレゴリオ賛歌の受け入れ方」だ。
曲調が目まぐるしく変化する中で、徐々に信仰の形が見えてくるような構成には脱帽の一言だ。
ぜひ一度聴いてみてほしい。
まとめ
いかがだっただろうか。
この機会に、一度吹奏楽の曲を聴いてみてもらえるとうれしい。
歌詞が入っていないから退屈だと感じるかもしれない。
リバーブがかかっていないし、刻まれたリズムもないからスカスカに思えるかもしれない。
だが、よくよく聴いてみると、それらの脈動は確かに曲の中に息づいている。
スネアドラムの刻むリズムを見よ、あれこそが古来から受け継がれてきた「リズムを刻む」やり方だったのではないか。
昔ながらのやり方に思いを馳せながら、今日も僕は吹奏楽の曲を聴き続ける。
お勧めの曲があったら、コメントしてくれると幸いである。
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