東大生よ、泣くな。喚くな。謝るな。
僕がライターとしての活動を始めさせていただくにあたって、ちょうど一か月が過ぎました。
ライターの開始というのは、日刊SPA!という衆人の目にさらされる媒体にて記事を連載するようになったということを指します。
もちろんそれまでもアマチュアとしてnoteを書いたりなんだりという活動はしていましたが、これらはすべて自分の領域の中でのみ行っている、いわば少しだけ文章が長くなったTwitterと同じこと。
全くレベルが違います。
さて、そんな日刊SPA!での連載にあたって、一番初めに持ってきた記事がこちらです。
「貧困東大生が感じた絶望」
パワーワードですね。
これについてはいろいろな意見が寄せられました。
「都心で年収900万はまったくの普通の家庭だ」
「共働きなら世帯年収900万くらいはすぐに超えるだろう」
「自分の貧乏と他人の裕福を比べて人を嫉むなんて浅ましい人だ」
この記事を書いた僕にとってはすべて貴重なご意見です。
どうもありがとうございます。
世間の方々が「東大生」や「普通」に対してどんな印象を持っておられるのかがよくわかる貴重なコメントでした。
この記事が燃えてから数日後、ある東大生ツイッタラーがこの記事に対して同情的な反応を示したことから、この記事は東大生界隈にも広く知れ渡ることになりました。
予想はしていましたが、批判の嵐のすごいこと。
やっぱり「普通」の分断は大きいのだな、ということを再度認識させられました。
その中で、批判に次いで多かったのがこの意見。
「僕が金持ちなのはわかった。でも、だからどうすればいいの？」
どうすればいいのか？そんなの、僕にだってわかりません。
だって、僕の普通はそこにはないからです。いくら思いやりのある人だとしても、想像力の豊かな人だとしても、100%相手の気持ちになって考えることなどできはしません。
合理的な生き物である東大生には、この批判は意味のないものに映るでしょう。「だからこうしてほしい」という先がない批判だから。
そこまで意味を求めるのなら、僕が意味を付け足しましょう。
「東大生の家庭は非常に金持ちな家庭ばかりで、事実上裕福な世帯による囲い込みが行われているのがこの国の大学受験の実態である。その虚栄の勝者であり日本のエリートとしての人生を生きる"東大生"は、おおよそが俗にいう一流企業や官僚などになってハイクラスの暮らしを享受し、またその子息にも高いレベルの環境を与えるという社会階層の再生産が行われている。一方で、経済的、地理的に恵まれない人々は大学受験という最も身近なキャリアデザインの方法さえ知らずに就職していく場合も多く、年収の低い家庭からは年収の低い家庭が、やはり再生産されるようである。これらを踏まえて、経済的、地理的条件に恵まれなかった自分の行く末と、現実に恵まれている自分の行く末を想像して対比した上で、これが教育格差と呼ばれるべき社会現象であるかどうかを20行以内で書け。」
こう書けば賢い東大生の皆さんは答えられるのではないでしょうか。
正直、ここに答えはありません。僕にもわかりません。
そうはいっても、社会階層の再生産が行われているようであるこの社会に対して、違和感を抱かざるを得ないということもまた確かであります。
僕の考えでは、中学受験をして四谷大塚偏差値60以上の中学に入学できた人々はみんな恵まれています。
SAPIXや鉄緑会のような難関校受験専門の進学塾に通えた人は、もうそれだけで十分に下駄をはかされた状態からスタートしています。
「僕の家は普通だよ」
そういうのもいいでしょう、でもその"普通"は社会一般ではありません。
「僕は恵まれていたなんて！！なんてことだ！！」
そうです、きっとあなたは恵まれていました。
今更ノブレス・オブリージュを説く必要性も感じませんが、僕としてはそこからこれについて問題意識を持ってもらえれば、それだけで上記した記事をわざわざ実名を晒しながら書いた意味があったと思えます。
「恵まれた家庭でごめんなさい！」
謝る必要がないのに謝るのはその場しのぎをしようとしているだけですよね？
わざわざ実名を掲げながら東大生の皆さんをやり玉に挙げたのは、謝ってほしいからではないんです。
これってもしかしたらまずい状況かもって1mmでも思ってくれたらそれでいいのです。
教育を受けたくても受けられないヒトだっている。
それならまだマシな方で、教育の重要性に全く気付かず、自分が大損しながら生きているというのに、それに無自覚な人がいるというのが問題なのではありませんか。
これは例えていうなれば、全身から血を流しているのに、本人はその状況の危険性に全く気付いていないようなもの。
どうして教えてあげないのですか、どうして止血してあげないのですか。
自分の傷は最高級の医療でふさがれるから、貧乏人がいくら傷つこうと構わないのですか。
やっていることは中世ヨーロッパの悪徳領主と変わっていませんよ。
この問題に対して、もう少し自覚的な人が増えることを望みます。
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