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原発の問題から考えた、意見が二分する理由

どうも、こんにちは。
最近、「原発をやめろ」とかいうツイートとか、「原発は動かさないといけない」とか、いろいろtwitterなどで自分の反対意見を罵倒するツイートを見て、なぜ理解しないのか、と思いました。
そこで、私は改めて、噛み合わない理由について考えてみました。
この記事では、具体的に「原発」を例に挙げて説明していきますが、他の件にも通ずるところがあると思います。

原発稼働の賛否

反対、賛成と二分するのもあれですが、わかりやすくするため2つに分けて見ていきます。

反対する理由

後の説明がしやすいように、まずはネット上で見た反対する理由からみていきます。インターネットでざっと調べてみた結果、主に以下のような理由で反対をしていることがわかりました。

  1. 事故

  2. 放射性廃棄物

  3. 推進運動のへの反感

今回は3の理由についてはまた別の話ですので言及はしません。
1については、福島第一原発の事故によって大きく負の印象が大きく加わった人が多いかと思います。私は反対派の意見の大半の理由はこれじゃないかと思います。街中で、共産党のポスターにこれが強調されているのをたまに見ます。
2については、運転を続ける限り発生する問題です。使用済みの核燃料のうち、9割は再利用されますが、残りの1割が放射性廃棄物になります。これが厄介で、この廃棄物に含まれる放射性物質が無害化するまで何万年もかかるとのこと。放射性廃棄物の排出量(体積)にもよりますが、最後まで管理ができるのか?とと思う気持ちはわかります。

ちなみに東北電力によると、最初の30から50年は冷却のため一時保存、その後300メートル以上の地下深くに埋めるとのこと。

https://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/safety/qa/q3_2.html

賛成する理由

電力会社は反対する主張をほぼしていないのでそちらを紹介します。
こちらもざっと調べた結果を並べます。

  1. 日本は燃料をほぼ輸入に頼っている

  2. 長期的にコストが安い

  3. 発電時にCO2を出さない

1は、エネルギー源は今はほとんど自国で賄えないので、国際問題が起きてで天然ガスや石油の輸入に制限がかけられたり高騰したとき、日本は危機的になります。こういったときのための代替手段ととして必要だというもの。
2は安全性や地球温暖化とはまた別の理由です。東北電力によると、燃料11gで一般家庭1年分の電気が得られるとのこと。(URL:https://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/safety/qa/q1_3.html)
3は火力の欠点をカバーする大きなメリットです。先程の東北電力のページ(1行上)によると、化石燃料では1kWhあたり約470~950gのCO2が出るそう。しかし、原子力は1kWhあたり19gと大きな差が。

定性的な議論

双方の意見を汲んであえて定性的(数字を使わない)に考えます。※調べればわかるものもあります。
ということで、ここで、私は「火力はどうなん?」と投げます。
火力発電所も同様にリスクはある。検索すると、「大井火力発電所爆発事故」の例が。検索した情報を漁ると、かなり危なかったそう。
ここで「原発は事故ったら非常に広範囲、長期間被害を受けるだろ?」といいたい気持ちはわかります。
ただ、火力の場合、「長期的にでるCO2により、日本、いや、世界全体に(ゆっくりだが)長期的に悪影響が出る可能性がある」とか、直感ではわからない悪影響も考えられます。
再生可能エネルギーについては、「1基あたり得られるエネルギーが、火力や原子力より少ない」ということや、「パネルの量を増やすなら、日照不足の地域は?パネル製造工場から出るCO2は?」と、なります。
もちろん、これだから原発を動かす理由にはなりません。
あと、この議論は「原子力発電所を動かすリスク」と「火力や再エネなどを動かすリスク」どっちが高いか、になっていますね。こんな議論では当然決着なんてつきません。正しく比較ができていないですもんね。

この議論に、以下の他の案が出されたとしても、
「メタンハイドレートなどの新燃料や、核融合発電などの新しい発電方法を研究」ー>「実用化の見通しが立っていない」
「安全最優先に原発を動かす」ー>「安全最優先って、大地震は大丈夫なのか?」
「比較的マシなLNGガスで対応」ー>「本当に石炭や石油よりマシなの?」
「節電」ー>「どれくらい節電?, やりすぎると利便性が消える」
とか、どれも懸念点はあります。ここには述べられていないものでも、ある程度の反論はできるでしょう。

このように考えていくと、「どれもだめじゃん?」「都合のいいことしか挙げてない!!」とか言われるかもですが、すみません、中立に保つのは難しいのです…。

何が言いたいのかというと、「このような議論では大抵解決しない」ということ。
このような、定性的な議論では折り合いが付きません。では、実際の数値を使った定量的な議論ではどうでしょう。

定量的な議論

一般的な議論

では、先程の東北電力のデータを使って、原子力発電は環境にいいということを示してみましょう。再掲すると、化石燃料では1kWhあたり約470~950gのCO2が出るが、原子力は1kWhあたり19gしか出さない。ということ。
では、具体的に数値が何gなら環境に良いと言えるでしょうか。人によってはこれを「十分少ない」と解釈したり、「まだまだ多い」と解釈するかもしれません。もしおおまかにでも目安がわかっていたらいいんですがね…(探しても見つけられませんでした。)
要は、いくら数字を使って説明しても、その数字が「多い」のか「少ないのか」を判断するときに、定性的な説明が出てしまいます。「1kWhでCO2を19g出すなら、どのような変化があるのか?」が足りませんね。そこもちゃんと考えないと納得はいかないでしょう。
「数字は嘘をつかないが嘘つきは数字を使う」言葉があります。このことを指しているのでしょう…?

厳密な議論

できる限り定量的で、かつ一人の経験則や感覚とかを排除した議論をすれば、より正確に、納得のいくものになるでしょう。ただ、ここまで厳密にすると、これはもう学問です。教授や専門の人がじっくり考える方面になってしまいます。ここまで徹底したものは一般人には難しいでしょう。

どの議論がいいか?

ざんねんながら、数学のように完全に精密な説明ができるような分野とかでない限り、どの議論でも全会一致は起きないでしょう。(10^-100%くらいで起こるか?)

こういう検証は科学的に行われないと信用できません。さっきやったような定性的(多い少ないで判断する考え方)な議論はほぼ参考にならないのです。
火力より原子力のリスクの方が高いとか、後付け理由は探せばあります(放射線が危ないとか)。同様にほかにもいろいろ解釈を変えられます。(先に考えを持ち、そのあと裏付ける根拠を信じる)
もちろん、科学的に検証をしたとはいえ、それが100%正確かどうか、判断ができません。こういうのは数学のように「絶対に正しい」証明をする演繹法ではなく、帰納法(複数の事実から共通点をとり、そこからわかる根拠を基に結論を導く方法)ですから。

政府や電力会社が「原発動かす」「止める」という方針に反対する人について、私が思うのは、「あなたの信条の基礎は『科学的に検証されたことを保証することができる機関』からの情報なのでしょうか」と… (少々あいまいだが、出所不明の謎情報を信じているかどうかということ。)
私は、政府などの機関は、独断やこじつけで決めているのではなく、科学的な知見を基に、過去の経験などを交え、便利さとリスクのバランスなどについてよく考えていると思います。
まあ、自分たちの都合を優先している可能性もありますが…(最終的な判断はできない)

そして、もう一つ重要なことが。言葉にするのは難しいですが、
「便利さとリスクの大きさを直感で決めるな」ということ。
ここでいう直感というのは、「そこにボールを投げると壁に当たる」のような、常識、当たり前と思うような感覚のことです。これは、過去の経験や固定観念などから形成されます。余談ですが、1980年代に、シャープが「ソロカル」という、そろばん付き電卓なんてものを販売したそう。当時一部の人が、「電気回路の計算は信用できない」という(直感的な)考えがあったのでしょう。
話を戻して、インフラで例を挙げると、平常(電気, ガス, 水道などがいつでも正常に使える状態)を維持するためには、私たちが知らないだけでもしかしたら、想像する原発事故以上のハイリスクを抱えている状態かもしれないということです。「火力発電で大爆破したら…」「ガス管に火が回ったら…」「水道管に生物が棲んでいたら…」とか、知らないだけであるかもしれないのです。まあ、この例については今までの経験などから「そのリスクの心配はない」と考えるでしょう。まあ、この例についてはちゃんと管理者などが担保しているとは思いますが。このように、実際に起きるリスクと、発生頻度(可能性)の2点から重要度を評価するのを「リスク分析」と言います。これが正しくできていないと思われる人をSNSでよく見るのです。
おそらくこれを原発に話を置き換えて考えると、本能的に「NO」とする人がいるでしょう。本当に原発稼働、代替案のリスク分析を正しく行って比較できているのでしょうか?直感とか、イメージで「危ない」と思い、それを裏付ける証拠を受動的に(または正しいと思い込んだ上で能動的に)情報を得ているのではないでしょうか? もちろん、だからと言って「原発反対」は間違っているとか、そんなことはありません。正しくリスク分析をして、結論がそうなったのであれば、問題ないでしょう。

ごちゃごちゃした感じですが、これで記事は終わりです。
推敲を重ねてようやくまとまった文章にすることができましたが、少々わかりにくい個所や構成がうまくいってないかもしれません。
そして最後に言いたいのは、「半信半疑を忘れるな!」「どんな意見も鵜呑みにするな」「こういうのは娯楽として見ると陥りにくい」「私は原発推進派でも反対派でもない。(重要)」「結論ではなく、それにたどり着いた過程が重要になることがある」
では、また。

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