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【ショートショート】日曜日から始まる(2)

1話は、こちら。

【創作】次の日曜日がやって来た。
いつもの日曜日なら、まだ寝ている時間。それなのに、飛騨ひだ とおるは、早く目覚め、軽く鼻歌など歌いながら、洗濯物を干している。

マーマレードのジャムを食パンにぬり、飲みものはコーヒーといういつもと同じスタイルの朝食を終え、窓を開けて外を見る。
曇り空が広がっていた。

「雨が降るのか?」

ひと言、呟き、服を選ぶ。
白いポロシャツにラフなジーパンに着替え、時計を気にしつつ、出掛ける準備をしていた。

先週と同じアディダスのスニーカーを履き、透は

「そうそう、傘」

と、玄関に置いている傘を持ち 
部屋を出た。

それにしても、

『俺はバカだ』と思った。

『なんで次、会う場所がデパートの傘売り場なんだ。俺のバカヤロー。
もうちょい、カッコいい文句が出なかったのか、あ〜』 

今朝まで、洒落しゃれた言葉が言えなかった自分の不甲斐なさにずっと悩み続けていたのだ。



朝霧あさぎり 洋子ようこは、早起きだ。 
日曜日は、休日なので、いつもなら雑誌を眺めながらゆっくり過ごしている時間、今日は、すでに洗濯を終えている。
朝食は目玉焼きをパンに載せ、小鉢にサラダを入れ、豆乳を飲むという、いつものスタイル。 
食べ終えた食器を洗いながら、

「ま ち あ わ せ」

口にしてみた。

『本当に来るのだろうか。また来週と聞こえた…はず……』

出窓から空を見てみた。厚い雲が覆っていた。

「雨が降るのかなぁ」

と、その時
スマホが鳴った。

「あら、お母さん、何?」

「ねぇ、今日家に来る?来て欲しいんだけど」

洋子は、黙っていた。

「何か予定でもあるの?」

「ううん、そんなこと無いけど
遅くなってもいい?」

洋子は、嘘をついた。

これから、男の人と会う…なんて言ってしまったら、お母さんの声は大きくなり、声もオクターブ3ぐらいは上がってしまう。

「遅くなるけど必ず行くから。
それでいい?」

「わかったわ。じゃあ、あとでね。
必ず来てよ」

と母は、念をおして通話を終えた。

「何かあるのかなぁ」

洋子は、めんどくさそうに言ってみた。

「あ、時間!」

洋子は、袖にフリルのついたブルーのブラウスにゆったりしたシルエットの白いワイドパンツに着替えて、肩まである髪を一つにまとめた。化粧にはいつもより時間をかけてしまった。

「よし、行こう」

ベージュのパンプスを履き、
傘を手に持ち、部屋を出た。   




洋子はバス停に来た。5分間隔でやって来るバスは、通勤にも利用している。

すぐにバスは、やって来て、
洋子は空いている席に座った。

『何を話せばいいんだろう。私、人と話すのがあまり得意じゃないから、つまらないと思われるかも』

洋子の心の中の戸惑いが体に沁み渡ってくるようだった。

『ああ、駄目駄目。そんな事、考えない!』

傘をしっかり握りしめると、心が落ち着いてきた。 
2人が選んだ傘が味方に思えた。





11日目

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