わかる、って何?
もっとわかりやすくして!
これじゃ伝わらないよ!
色んな人に言われるし、ぼくも色んな人に言います。
でも、
お前、そもそも「わかる」ってどんなことか説明できるの????
と、聞かれると黙ってしまいそうです。なので、勉強してます。認知心理学。
整理がてら、まとめます。
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わかるとは
思考というプロセスが終わったあとに感じる感情。結果によっては「わからない」と感じる。
わかるまでのプロセス
以下の流れで わかる に至る。
具体例で考えてみると、
地図をみて郵便局とわかるプロセス
1. 地図上で「 〒 」のマークを見る(知覚)
2. 頭のなかに「 〒 」をイメージする(知覚心像の形成)
3. 過去の記憶(記憶心像)から「 〒 」が郵便局のマークだと判断する
4. 「 あ、郵便局だ 」と思う(わかる)
整理すると
・知覚したものは、「知覚心像」として頭のなかでイメージ化される
・知覚心像は「記憶心像」と比較され、「何であるか」か判断される
・その結果、「わかる / わからない」という感情が生まれる
上記プロセスのどこかで失敗すると、わからない に行き着く。
たとえば以下の場合。
知覚心像が作れない
안녕하세요 → 初見だと複雑でイメージしにくい
記憶心像が作れない
∴ → イメージはできるが、何を意味するかわからない
【ポイント】
わかる に必要な状態
1. 頭のなかにイメージが作れる(知覚心像)
2. 判断に必要な記憶がある(記憶心像)
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知覚とは
知覚
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、体性感覚(触覚、痛覚など)。
ヒトは、常に何かを知覚している。
好奇心と知覚
好奇心は知覚対象への注意を促す。たとえば、他の人が自分の名前を話すのを聞くと、その後の会話の内容も気になってくる。気になると会話がよく聞こえるようになる。
好奇心が足りない場合、意識的に注意を向ける必要がある。つまり、努力がいるのでツライ。続かない。
【ポイント】
知覚するには好奇心が大切。好きこそ物の上手なれ。
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思考とは
思考
心像を使ってモノゴトを具体的に考えること。漠然と感じる心の傾向は感情と呼ばれる。
知覚心像
知覚をもとに頭のなかでイメージしたもの。心像は主観的イメージなので、個々人でニュアンスが異なる。また、実際と異なるものになる場合がある。つまり、勘違いが起きうる。
記憶心像
いわゆる記憶のこと。
記憶の呼び出しと判断
知覚心像をもとに記憶を探る。先の例だと知覚された「〒」が知覚心像となり、似たマークって何かあったかな?そうか郵便局か、と無意識に記憶を探り判断する。思考には、「記号」となるマーク、言葉(名前)が必要。
【ポイント】
同じものを知覚しても、個人によって微妙に異なる「知覚心像」が生まれる。記号化されていないものは思い出しづらい。
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記憶とは
記憶心像のもとになるもの。以下三つに分類される。
1. 出来事の記憶
自分が経験するひとつひとつの場面の記憶。いつ、どこで、誰と、何をしたか。そして、どんなことを考え、何を感じたか。シーンや感情を含んだ複合的な記憶。
2. 意味の記憶
知識と呼ばれる記憶。出来事の記憶を繰り返すことで強化される。意味の記憶は、さらに 3 つに分類できる。
3 つの分類
1. ことがらの意味
記号となる名前とそれに紐づく意味。たとえば、オリンピックは「オリンピック」という日本語の記号と「世界規模のスポーツの祭典で 4 年ごとに開催するもの」という意味を含む。
2. 関係の意味
ことがら同士の関係。たとえば、1 は 2 という数字があって初めて理解でき、2 は 3 という数字があって初めて理解できる、という比較関係の上で成立する概念。また、この関係の意味は抽象化が可能。たとえば、犬のしつけに「おて」がある。実際には前足なのだが、人間の足と手の関係を応用し、「おて」となっている。
3. 変化の意味
時系列を含む意味。たとえば、「イルとイナイ」など。関係の意味同様に比較することで初めて概念を理解できるもの。動詞と呼ばれるもの。
3. 手続きの記憶
やり方の記憶。手続きの記憶ができると、複雑なことも無意識的に行える。たとえば、九九。「ククハチジュウイチ」は「9+9+9...」と 9 を 9回足す作業を「ククハチジュウイチ」というやり方に短縮化したもの。
【ポイント】
ヒトは出来事を繰り返す。そこから類似点やパターンを認識し、知識とする。新しい出来事に出会うと、この知識を思い出して、思考や行動にうつる。
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どうなると わかる のか
ヒトは知覚した情報に秩序が生まれたときに「わかる」と感じる。つまり、整理できたとき。整理のやり方は以下に分類できる。
1.全体像がわかる
今日は 3 月 30 日。はやく花見しないと春が終わるな、という理解。
季節は 春夏秋冬 、暦は 12 ヶ月、いまは 3 月の終わり、という俯瞰視点と個別視点によって成り立つ。
2. 分類がわかる
今日は寒いので 水 が 氷 になっているな、という理解。
物質には三種(個体、液体、気体)の状態がある、という体系化された知識によって成り立つ。
3. 筋道がわかる
いまお腹が減っているのは、朝ごはんを食べなかったからだ、という理解。
過去 〜 現在のつながりの理解によって成り立つ。原因と結果。
4. 空間関係がわかる
あの水たまりはジャンプで超えられそう、という理解。
空間認識によって成り立つ。別例:サイコロを頭のなかにイメージし、それをぐるぐる回すなど。
5. 仕組みがわかる
地球は太陽の周りを回っている、という理解。
地球と太陽の空間関係と影響しあうチカラなど、複数の知識によって成り立つ。理解のなかでも複雑なもの。
6. ルールから判断する
3 - 5 = -2 、という理解。
先人が作ったルールにあっている、という判断によって成り立つ。
1 〜 5 と異なり、自身で思考することはない。ただルールにあっているか、を判断する。
【ポイント】
わかる という感覚に、客観的事実としての正確さは必要ない。
たとえば、「いま、わたしたちが存在するのは、神がこの世界を作ったからだ」という理解。もしくは「太陽は昇り沈む」という理解。実際は、物理法則によってヒトは発生し、太陽は昇りも沈みもしない。地球側が物理法則によって回っているにすぎない。このように、わかる、に事実は必要ない。そのため、より直感的な宗教や天動説などが好まれやすい。
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まとめ
わかるまでの流れ
知覚 → 頭のなかでイメージ化 → 記憶の呼び出し → 判断 → わかる
わかる に必要な状態
1. 頭のなかにイメージが作れる(知覚心像)
2. 判断に必要な記憶がある(記憶心像)
知覚とは
五感で感じるもの。好奇心が湧くと、知覚精度がアップする。
思考とは
知覚したものを頭の中でイメージして、記憶とマッチングさせ、判断する働き。
記憶とは
思考をより高度にする知識を作るもの。記号をもとに記憶を取り出す。つまり、名前のついてないものは意識しづらい。
わかるとは
思考の結果、生まれた感情。知覚したものを、自分なりに整理できた、と感じるとわかる、と思う。
おわりに
認知の仕組みは面白い。
認知はヒトの活動のベース。
デザイン、マーケティング、ブランディングなど、広い分野に応用できる仕組みだった。
おわりのおわりに
この記事では、知識をまとめることが精一杯でした。
次は、より実践的に以下を考えてみたいと思ってます。
・わかりやすさってなに?
・感動するときは何が起きてる?
・どんな風に学べば効率的なの?
自分の勉強で書いてますが、いいね / シェア いただけると、やる気が湧いてきます。もしよければ、ポチっ とお願いします。あと、内容も主観強めなのでフィードバックがあれば、お気軽にお願いします〜。
それでは、
最後まで読んでくださってありがとうございました!
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