見出し画像

Magic Mouse 2をほぼ無音に改造する

 今回、普段利用しているマウスの静音化に取り組もうと中国からいくつかのパーツを取り寄せたので、それを活用しようと思う。

 本来であればメインマウスであるMX Master 3を静音化するべきなのだが、取り組む前に目の前に転がっていたMagic Mouseを先に静音化したところ「ほぼ無音」の快適マウスとなったので先に紹介したい。

必要なもの

 マウスの静音化に必要なものは以下の3点と相場が決まっている。

1.Kailh 静音 マイクロスイッチ

 キーボードのメカニカルスイッチなどでおなじみのKailh製の静音マイクロスイッチ。Amazonで買うよりAliexpressで買ったほうが断然安い。10個や20個セットで750円〜900円程度で販売されている。1度注文すれば正直二度と注文しなくて済むだろう。

2.ピンセット

 小さなパーツをつまむことが多いので必要。ピンセットであればどんなものでも構わないのだが、個人的にはホーザンの肉厚ピンセットを強くおすすめする。剛性が高く、何かを先端でつまんでもたわむことがない。1300円ほどするが買って損はしない出来。

3.ハンダゴテ

 マイクロスイッチの取り付けははんだ付けするため、加熱するコテは必要不可欠。これもハンダゴテであれば何でも良いが、手持ちのハンダゴテがないのであれば白光の40Wセットがあれば十分だ。600円以下と大変安い。

Magic Mouseを静音に改造する

 必要なものが揃ったら早速改造していこう。

1.Magic Mouseを分解する

 最初にMagic Mouseを分解することから始めるのだが、このマウスは外装の固定にネジを使っておらず、全てプラスチックの爪で固定されている。マウスの分解には「スパッジャー」と呼ばれるテコの原理を使ったこじ開け器具があると良いのだが、それがなくても「不要になったクレジットカード」など薄いプラスチックカードが1枚あれば問題はない。

 マウスの隙間にカードを差し込み、隙間をひねるように持ち上げるとパコッという音と共に浮き上がる。これを左右2箇所ずつ、合計4箇所行おう。

隙間からカードを差し込んで捻る

 マウスの外周が外れてもいきなり蓋部分を持ち上げようとしてはいけない。タッチ操作やスワイプ操作のジェスチャを感知できるようセンサーが埋め込まれており、そのセンサーと下部の基盤がケーブルで繋がっている。

基盤と蓋側がケーブルで繋がっているのが見える

2.スイッチを交換する

 Magic Mouseの蓋を持ち上げられる状態にしたらスイッチの交換に移る。基盤と蓋を繋ぐケーブルを外す必要はないので安心して次の工程に入ろう。

蓋をズラすとマウススイッチを確認できる

 写真のように蓋側を縦方向にスライドさせるとマウススイッチ部分全体が見えるようになる。この状態で基盤を固定している3本のプラスネジと1本のトルクスネジを外してしまおう。

 ネジを全て外すと基盤が浮くようになる。上の基盤を少し持ち上げ、隙間からスイッチ部分の基盤を取り出そう。ピンセットで摘むように引き出せば難なく取り出せるはず。

スイッチ部分だけ取り外せる

 この取り出した基盤についている「オムロン製 マウススイッチ」を「Kailh製 静音マイクロスイッチ」に付け替える。

見た目で伝わる小ささ

 このオムロン製マウススイッチは3つの足が基盤にはんだ付けされて接続されている。一方でKailh製スイッチは2本足となっており端子の数が異なる。足の数の違いは問題にならないが、取り付け位置はずれないように合わせなければならない。オムロン製スイッチの白いスイッチ部分にKailh製の赤いスイッチ部分が来るよう取り付けよう。

無事付け替えた図(少し傾いているが動作に支障はない)

 一点注意するとすればApple製の基盤はなぜか熱が異常に伝わりやすい。基板上のハンダをコテで溶かそうとすると基盤全体が一気に熱くなる。手で持つと必ず火傷をするため、ラジオペンチなどで基盤を固定してハンダゴテをあてるようにしたいところ。

3.元に戻して動作確認する

 静音マイクロスイッチに置き換えたら、逆の手順で元のMagic Mouseに戻すよう組み立てていく。

スイッチを基盤に戻してネジを止め直すだけ

 蓋を締める前に、この段階で一度動作チェックを行う。背面スイッチをONにしてMacと接続しよう。もしマウスの左スイッチが動作しない/押しっぱなしとなっている場合はマイクロスイッチの取り付けに失敗している証拠。

 Apple製品は製品内に余分なスペースがほとんどなく、Magic Mouseのスイッチも足が基盤から少しでもはみ出ているだけで動かなくなる。もし動作不良を起こしている場合は「スイッチの足がはみ出ていないか」「ハンダをもりすぎていないか」の2点をチェックしよう。

 動作に問題がないことが確認できたら蓋を閉める。位置を合わせて押し込むと「バコッ」と鈍い音と共に元のMagic Mouseの見た目に戻る。

静音化されたMagic Mouse

 蓋をはめ込んだ後にもう一度動作チェックを行う。もしマウスのスイッチが押せない、押されっぱなしになっている場合は再び開封してヤスリやカッターナイフで静音スイッチの赤いスイッチボタン部分を削って調整しよう。隙間が微妙に足りないだけだ。

静音効果について

 Magic Mouseの静音効果について分かりやすいようビフォーアフターをまとめた動画を撮影したので、気になる人は確認してほしい。

 マイクの位置はそれほど遠くないのだが、クリック時の音はほとんど聞こえてこない。実際に使っていてもクリック音が聞こえない。Appleが作るMagic Mouseは緻密に作られており気密性が高いことも手伝ってか、まさに無音と言って良いマウスが完成した。

 そんな訳でマウスの静音化テストとしては十分満足の行く結果が得られたので、次の静音化はメインで使っているMX Master 3を改造しようと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?