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私とドイツ語② 私とドイツ語の発音

言語を勉強する時、もちろん色々なモチベーションがあると思うのだけど、私は「ドイペラになりたい!!!!!!」という強い思いがあったため、大学に入って最初の頃はもう毎日ドイツ語のアルファベットの音をiPodで再生して聴いていたし、ネイティブの先生の授業の時はずっと口元を見て耳をダンボにして参加していました。

ペラペラになりたい、できるだけ日本語のアクセントを除いて、ドイツ語らしい音を身につけたい。それが私の目標ですし、今もずっとその目標を持っています。日本語のアクセントが悪い、というわけでは全くないし、「ドイツ語らしい」といってもドイツ語にだってたくさんバリエーションがあるので、少し誤解が生まれるかもしれませんが、できるだけ伝わるドイツ語を話したいというのが根本にありました。そしてそれを達成するには、発音も大きな役割を担っているというのが私の持論です。異論は認めます。でも私はそう思うのです。

ドイツ語の発音練習と私

さてある時、誰かに「ドイツ語ってアーベーツェーみたいな感じで発音すればオッケー」と聞きました。それが本当なのかを探るべく、私はアマゾンの奥地、ではなく、ネイティブの先生の授業に参加していました。ところがよくよく口元を見ると、そんなことなくない?日本語の「エ」の列と違う口の開き方だけど?ということに気づきました。そして目をつぶって聴くと、むしろ[i:]に近くない?

これを先生に聞いてみたところ「そうね、日本語のエとは違うね。でも[i:]ではないの。」と言われたのです。それで先生の前で色々試してみたのです。こう?それともこう?みたいな感じ。

先生からすれば、単語ですらなく、ひたすらドイツ語アルファベットの発音を聞かされてもううんざりだったと思います。「またあなたなの!」って感じだったと思う。でも先生たちが当時の私にとって唯一のネイティブスピーカーで、先生たちとの時間は、伝わる、伝わらない、これは変、それは近い、というフィードバックがもらえる唯一のものでした。

家で練習しようとすると家族に「なんかやばい音出してるやつおる」みたいな顔されるので、地元の駅から家までの間自転車を使っていたので、爆走しながら特に母音といわゆるうがいの音をとても練習しました。同じ道を歩いていた人たちはきっと私が不気味で仕方なかったことでしょう。何も口に含んでいないのにrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr [RRRRRRRRRRRRRRRRRRRR]って言っている人が自転車爆走しているんだから。あるいは長音でOと言いながらÖにしてみたり、あるいは逆方向に発音練習することで調音器官がどうなるのかを観察したりしていました。OOOOOOOÖÖÖÖÖÖÖÖみたいな感じ。そんなに口の形が劇的に変わるわけじゃないだろう。では何が変わるのだろうか。舌の位置はどうなるのか。大学では先生の発音を聞き、通学路や家ではひたすら練習をする。この毎日の繰り返しでした。

私的に難しいと思ったのは ü の発音でした。ある人は「日本語の『ゆ』と一緒だよ」と言いましたが、私は当時全然違う音だと感じていました(実際違います)。全然は言い過ぎかもしれないけど、なんか違う。日本語の『ゆ』って実はそんなに口の中が開いていないし、なんだか舌が動いている感じがする。私は音声学者ではないので、テキトーなこと言ってると思います。でも調音器官の使い方の違いを理論的に理解する、というよりは実践するうちにもう自然とそうなるという方向にもっていきたかったわけです。

でも実際の言語というのは、ÖとかÜとかAとかEとか言って成り立つわけではない。ということで、単語や特定の表現を習い始めると、今まで周りにあんなに不気味な思いをさせて練習したのがなかなかできなくなるんですね。打ちひしがれました。

じゃあこの実際の単語や文とあんなに練習してきたアルファベットの発音をどうやってつなげることができるのか、と考えた時にたどり着いたのが「スローモーション並みに発音してみる」ということでした。ものすごく簡単なアイデアをものすごく賢そうに言っていますが、許してください。

例えば Köln って実はすごく初級の方には発音しにくいと思います。ö って言うのに次の l で舌を上の方に移動させないといけないので、結構エネルギーがかかります。よくあるのが、l を意識した結果、ö の口の開きがおろそかになるパターンです。これは当時の私。でもこれを日本語の会話の中に出てくるのと同じスピードではなく、どの部分の発音も意識しながらゆっくり最初はブツブツに切れてもいいのでやってみる。そして少しずつスピードというか、なめらかさを上げてみる。するといつかできる、はず。私はそれでできた。

子音は?

「母音は分かった。でも子音だって厄介なやつ結構あるじゃん?」
そうです、ありますね。psとかpfとかね。でもこれも練習方法は同じです。まずは p と s または p と f をバラバラに発音して、それからつなげてみる。pfは特に難しいですよね。どちらも唇を使うから。でもこれもバラバラにしてから少しずつつなげてみるとちょっとコツがわかる。私はそう思う。

あと私が思う難しい子音というか、発音の区別できていますか?と多くの人に聞いてみたい子音は h と f です。「Tellerお前何言ってんだよ、なめんなよ。違うにきまってんじゃん。」はい、申し訳ございませんでした。もっとちゃんと言うべきでした。私が言っているのは、hu と fu の区別です。HundとFund、区別して発音してみてください。その時どこで調音しているか自分で考察するとこの h と f の発音の奥深さを知ってもらえるんじゃないかと思います。

ちなみに私が未だに苦手な発音は、昔書いたかもしれませんが bri の組み合わせです。例えばBrilleとかね。でもたまにうまくいきます。Bにしっかり怒り(?)を込めるとうまくいきます。確率はセブンティーサーティーぐらい。

持論しか書かない記事なのでアレなのですが、発音を始め話すことを学ぶ時、私はモノマネしているときと似たような感覚になります。最初のうちは。そしてそれでいいと思っている。そのうち自分の話し方ができてくると思うので、最初のうちはインプットを増やし、モノマネをするつもりで実践してみると良いのかもしれない。私が勝手に思っているだけかもしれないけど。

発音の現実

ここからは少し中級・上級向けの話になってくるかと思います。実際にドイツ語で話すようになると、色んなことに気づくことでしょう。めちゃくちゃスピード速いやん、ネイティブ…って思うことも増えてくると思います。全然口ちゃんと動かさんやん…とかね。でも、それは日本語でも同じですよね。例えば「ありがとうございます」って全部の母音をしっかり発音してる人って現実にはあまりいないんじゃないでしょうか?いたらすみません。最後の「す」については地域差あるのでこれは別。

ドイツ語も同じで例えば語尾の-enとか-eとかはschwaの音といって、普段の会話の中で出てきたらあいまいになるんですね。これもある意味で「ドイツ語らしい音」だと私は思うわけです。でも多分そのうちできるようになるので、最初からマスターしようとしなくてもいいんじゃないだろうか?事実として知っておいて会話の中でじっくり観察してみて、そのうちモノマネする余裕ができたら実践してみたらいいのだと思います。

schwaだけでなく、例えば wir の発音が会話の中で wa と聞こえることがあると思います。発音的には [va] かな。例えばよくあるのはhabenが直前にある場合、"hab'n wa" みたいな感じになる。これも会話がスピードアップして発音もエコモードになってるってことなんじゃないのかなって私は思っています。エコモードでも良い場では。何度も言いますが、私は言語学専門ですが、音が専門ではないのでご了承ください。

当然のことながらドイツ語にも、場にふさわしい話し方はあり、それは単語選びだけではなく発音の仕方にもあると思います。ということで、schwaは基本的にどんな話し方でも見られる音なのですが、wirの例とかはいつでもどこでも使わない方が良いのかも。そういうのも含めて、色んなTPOで話されるドイツ語を聞いてみると面白いし勉強になります。

再度にこれだけは言いたいのですが、どのレベルでも無理にスピードを上げて話そうとしなくても大丈夫です。スピードは実は全然大切じゃなくて、相手に伝えることを意識して話すことの方が重要です。これだけは私がどうしても伝えたいことですね。

そんなわけで今回は発音について触れてみました。次回は私がやってみた・やってみている単語勉強について書いてみようかなと思います。最後まで読んでくださりありがとうございました!

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*今回の写真はmicosiropさんからお借りしました。ありがとうございます!

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