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東京日記/水晶体に映る記憶

5月18日

「もうすぐ目的地に着きます。」
車内で、アナウンスが流れる。

脱いでいた靴を履き直そうと足を入れると、踵がなかなか入らない。無理やり入れ込んだせいで、しばらくジンジンと痛みが残った。なんで夜行バスに革靴なんて履いてきたんだろうと後悔しても遅い、両手に荷物をもってバスを出る。朝6時。今日は長い1日になる。

ひとまず最低限のメイクをしたくて場所を探す。東京駅付近を彷徨いながら30分、どこも混んでいたが、やっとのことで人気のない綺麗目な百貨店の化粧室を見つけ、涙が出そうになる。
なんたって、右手には本を30冊、肩には推定8キロほどのリュックを抱えていて今にも砕けそう。ただの化粧室が天国のように思えた。


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