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日本縦断歩き旅《島根⇒長崎編》22日目『雲の上の山道と雨』諫早市⇒鹿島市


夜に具合が悪くなり、吐いてしまったが。
朝には回復した。

この日は一日雨のなか40km以上歩く。
次の日の夜に門司港からフェリーで帰るチケットはすでに購入済み。
今回の旅のゴール、佐賀駅に着くには少しでも距離を稼ぎたい。

最終日余裕を持たせる為にも、この日が勝負どころだった。

ありがたいことに、一台も車が通らない快適な空間だった。

テントを畳んでいるときに一台だけ軽トラックがトンネルを横切ったが、
雨宿りしながら荷台を直したかったみたいで、
となりのトンネルでみかけた。

向かいの溝に雨宿りしていたハトの鳴りやまない鳴き声にも、
朝には慣れていた。

深夜はさすがに機械が道路整備して無人だったが、
夜も朝も雨の日も、ずっと道路整理をされていた。
ご苦労様です。

昨日濡れた服、靴下は着替え。
レインウェアもいったん乾いていた。

朝食は、コンビニでカップ麺を食べて体温をあげた。

すこし歩くと、
白い車が前で停車して、雨の中おじさんが声をかけてきた。

日本一周を自分でもしたいと思っていた方らしく。
すこし話をした。
前にも日本一周をしていた人に話しかけた事があったようだ。

呼び止める時に千円をチラつかせて、
「すこし話していい?」
と言われたのが、
物乞いではないんだけどなぁ・・・。
と思ってしまった。

けど日本一周を看板つけている人は、
差し入れが欲しい旨を看板に着けている人もいるので、
そういう風にみられるところはあるかもしれない。

実際、飢えている時や食費を切り詰めている時は
とてもありがたいし。

雨の中、車から降りて応援してくれるだけでもありがたい話である。
Uターンしてすれ違う際に、お辞儀をして手を振った。

昨日、野宿しようかと思っていた公園。
雨宿りは難しそうだし、橋が快適だったのであそこにして良かった。

国道207号沿いに進めば道は安定してよかったのだが、
先を急ぎたいのと、車が少ない道を歩きたいのとで。
グーグルマップナビの示す山道を選んでしまう。

だいぶ、選択を後悔しそうで迷ったが、車が少ないほうが気持ちが楽だろうと思っていた。

国道から離れ川沿いに歩くと、ピタッと車が減って快適だった。
川には鷺のような白い鳥が優雅に羽ばたき。
鴨たちが、次々と羽ばたいていった。
雨も弱く、このころは快適だった。

うすうす予想はしていたが、山道がはじまる。
かなり整備されてない道も多かったので、
まずはキャリーカートを引けるアスファルトが見えて安心した。

予想を超える、長い坂。長崎で慣れていたが、
タイムリミットや雨もあり、速度のおそくなる坂はキツイ。
車がいないのはホントに快適だったが、
長い坂で、何度も足を止めて休んでしまった。

やはり国道沿いだったか・・。
とも後悔したが今更戻れないし、
山を登るわけではないので、上り坂が終われば、下りになるという事だろうと楽観視していた。

すぐ下りがくると思っていたが思った以上に登り坂が続く。
写真だと斜度が伝わりにくいのが残念。

坂の藪から開けた景色が垣間見えた。
いつの間にこんなに登っていたのか・・・。
まだ、佐賀の県境もきていない、
この日の行程は始まったばかりなのに、
えらい事になってしまった。

坂道がおわり人の気配のするとこまで来た。


田原ため池をそって歩く。

雨の合間に落ち着いた景色。
なんとも、言い表し難い感情が湧き。
写真を撮った。

おそらく、2度と来ないだろう景色。
TVや観光でも見ることがない景色。

なんか動くものがいると思ったら、牛舎だった。

暗い林の合間から、チカチカと日差しが瞬く。

伝わないが、急こう配の先にさらにこう配。
一歩一歩踏むたびに息をあげる。

教会関係の土地らしく、綺麗に整備されている。

坂が生み出した複雑な交差点?
かなり登ったのか雲が近く感じる。

木の奥にちらりと下界が見える。
やはりだいぶ上ったようだ。

ここからようやく一度下る。

もはや山の景色、雲を下に感じる。

この辺りで、いちど道を間違えて、必要なく坂を登っておりたりしてタイムロスをしていた。

雲の中なのか、崖から先が真っ白になっている。

民家がなさそうな道だが、ヤクルトや郵便局の車と2,3回すれ違う。

斜面の畑が一面に広がる坂。

遠くに海が見える

月の引力がみえる町。
すごいキャッチフレーズだ。

調べたら、有明海の干満差が日本で一番激しいらしい。
やはり海沿いをあるくべきだったか・・・。

雨が強くなってくる。
雨粒でスマホがタップできなくて困る。

ずぶ濡れのハット帽子から、
スマホを見ようとうつむく度に、
たまった水滴がボタボタ落ちディスプレイがにじむ。

何のためかわからない開けた土地。

山の起伏の度に長い橋がかかっている。
お陰で坂を上り降りせずにすむ。
ありがたい。

海がみえる。
だいぶ、低いとロコまで降りてきた。
街まであとすこし・・・。

海をとろうと立ち止まって写真撮っていると
軽トラックの陰からおじさんが雨の中立っていた。

畑を荒らされないか心配でずっとみていたのだろうか?
あまりにずっとなにもせず立っていたので怖かった。


ここから、疲れてきてひたすら歩き、
写真が減ったが、国道207号に合流してから街の中に入っていく。


雨は止まず、レインウェアも防水効果が切れて浸透し、中まで濡れてくる。
靴の中はもちろんグジュグジュ。
鼻水も多くなり、体が冷えてくる。

途中、温泉があって休みたかったが、寝床が確保できてないと、再び濡れるだけだから入る気になれない。

野宿しようと思っていた橋に、
日没前に着きたかった。
しかし、少し手前で日が暮れてしまう。
雨でスマホの操作もままならないし。
地図が確認しにくい。

休憩にリンガーハットに入る。
全身ずぶ濡れで店員さんを驚かせてしまうが、
濡れても大丈夫そうなカウンター席に座らせてもらう。


熱々の野菜増し皿うどんいただく!
身体が一気にあたたまる!
だが足がずぶぬれで、足の冷たさが際立ってしまった。
身体も固まってしまい、
とてもじゃないが再び暗い中ずぶ濡れになって歩き、
しかも野宿場所を探す。
そんな気力が切れてしまった。

近くに安いホテルがないか調べると、すぐ近くにビジネスホテルがあり。
ダメもとで空きがないか聞いて、
駄目なら諦めて野宿先を探そうと思った。

ビジネスホテルに駆け込み、空きをきくと、
丁度一部屋空きが出て、喫煙の部屋なら空きがあるとの事。
満室が続いていた時期らしくタイミングが良かったらしい。

一番心配だった値段だが、キッカリ5千円で安く抑えられたのが嬉しい。

エレベーターは一つしかなく。
作業着を着た宿泊者が多かった。

部屋に入って荷物をおろすと、
疲れがどっときたが、
まだ食料が確保できてないのでコンビニ行って夜食と朝食、発泡酒を買いに雨の中走る。


コンビニから帰って、
たまらず発泡酒を開けて、服を脱ぐ。
冷えた服を脱いで、ビタビタにぬれて張り付いた靴下を脱ぐと開放感がやばかった。
旅の中でホテルの良さは、プライベート空間が約束されている事。
野宿では間借りしてる立場なので、人がいなければ気持ちいいが、
散歩の人とかもいるので、どうしてもセコセコして、テントに入る。
テントは極狭だから寝る以外はくつろぎにくい。

ホテルはプライベート空間が保てるし、
虫も、風も、設営の手間も、早起きの心配も無い。

お風呂に入って、乾いた部屋着に袖を通すのが気持ちよかった。

すぐに眠りたい気持ちもあったが、
仕事の連絡が来ていて返信。
旅の終わりを痛感していた。

次の日は最終日、しっかり楽しんで仕事に戻ろうと思った。


この日歩いた距離46km 

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