【書評】無意識が生み出す問題と解決策を知る「ニュー・アース」を読みました
昨年末に読み衝撃を受け、最近再読していた「ニュー・アース」について書こうと思います。
感想
無意識は様々な問題を生み出す
本書を一言で言うと「無意識の様々な側面(問題点)と、その解決策」といった感じでしょうか。生命や宇宙などのスピリチュアルな部分も一部あり、そこは論理的・経験的に納得するのが難しいのですが、それを除いたとしても本書で示されている考え方の有用性は大きく変わりません。
著者は、宗教やスピリチュアルな伝統には2つの共通する教えがあるといいます。それは「人間の普通の精神状態には機能不全がある」「その機能不全は意識の状態の変化で解決できる」ということです。機能不全とは、エゴのことです。エゴとは観察されていない思考のことで、つまり無意識のことです。エゴには、モノを自己に同一化しようとする側面があり、これによって様々な問題が引き起こされます。
無意識やエゴにどのような問題があるかと言えば、所有、欲望、不満や恨み、自己主張をすること、役割と自己を同一化すること、今という瞬間を目的のための手段と考えること、などがあります。これらはエゴの「自己と同一化しようとする性質」「自己を守ったり、脅かされた時に反応する性質」によって生み出される問題です。無意識にこれらの性質が加わったものが本書におけるエゴです。
解決策は気づくこと、今という瞬間を大事にすること
解決策として示されているのは、エゴの原理を知り、機能不全が無意識のうちに引き起こされていることに気づくことです。具体的には、思考は私ではなく、観察している方が私だと気づくことです。色々なものを自分自身に付け加えて、生き残ろう、自身を大きく見せようとしていることに気づくことです。人間関係の中で、自己が脅かされたときに体から湧き上がってくるものに気づくことです。状況だけではなく、状況に関する思考によって苦しんでいることに気づくことです。今という瞬間を目的ではなく手段として捉えていることに気づくことです。
日常の中で実践しやすいのは、今という瞬間を大事にすることだと思います。未来や過去は思考の中にしか存在せず、知覚が発生するのは常に今です。「人生で最も重要なのは、何をするかではなく、どういう意識の状態であるかだ」という言葉があります。今という瞬間は、どんなことをしていたとしても等しく重要で、そう考えると全ての行動に質が生まれます。今の重要性に気がつけば、何か価値のあることをしようと思って焦ったり、今という瞬間をないがしろにしたり、上の空で過ごすことがなくなります。
楽しむことを超えて、情熱を燃やす
今という瞬間を大事にし、満足してからこそ、外部的な目的を目指す理由がエゴイスティックな欲望ではなくなります。最後の章に書かれているのは目標に関することでした。いわく、目覚めた行動(意識の伴った行動)には、今という瞬間を受け入れたり楽しんでいる状態があり、それに目標やビジョンが加われば情熱を燃やした状態になるということです。目標やビジョンはどういうものがいいのかというと、「ダイナミックで、それを通じて他の人々や全体と結びつく目標」です。具体的には、自分は有名な作家になる、ではなく、自分の作品を通じてたくさんの人々にインスピレーションを与える、にするべきだということです。
ダイナミックであるというのは時間的な視点です。ただ未来を目指すだけではなく、その瞬間瞬間を生き生きと過ごせるようにするということです。全体と結びつくというのは、エゴイスティックにならないようにするということであり、スピリチュアルに言えば生命や宇宙の創造力とつながることです。全体と結びつくことで、行動するエネルギーが自然と湧いてきます。
本書の目的は「読者を目覚めさせることだ」とあり、その通り私に気づきを与えてくれました。本書を読むと、エゴや無意識が引き起こす問題や、気づくことが解決するための方法であることについて、様々な観点から学ぶことができます。悩みに対して解決策を示してくれるだけではなく、生きることに関する重要な哲学を教わったように思います。
最後に
ニュー・アースを読んだきっかけは、タスクシュート・ジャーニー 2ndという、タスクシュート(タスク管理ツール)に関するイベントに参加したことでした。来月に3回目のイベントが、noteでも執筆されているしんぱちさんをゲストに招いて開かれるようです。
タスクシュート・ジャーニーは、タスク管理の方法やツールの使い方を超えて、いかにして生きるのかについても語られるイベントです(でなければニュー・アースの話題は出てこなかったでしょう)。3rdでは習慣と楽しさの両立についての話を聞けるのではないかと思います。
前回のイベントに参加したのは、人生について重要な話が聞けるのではないかと思ったからでした。質問ができるインタラクティブなイベントなので、疑問や悩みを聞いてみると気づきが得られるかもしれません。(私は関係者では全くないのですが)興味がある方は是非イベントサイトを覗いてみてください。
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