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【連載小説】夏の恋☀️1991 シークレット・オブ・マイ・ライフ㉚

あらすじ
JJ(15歳)は高校一年生。入学後、数学が大きらいになった。ほかの勉強もしなくなり、いい加減な毎日をすごしていたところ、桃子(年齢不詳・同学年の退学者)と出会い、意気投合。二人はいつもいっしょ。別に付き合っているわけでも、惚れたはれたのカンケ―でもない。なんか、兎に角いつもいっしょにいるし、お互いがお互いを必要としているみたいな。そんな、ある日。1991年の夏。

あらすじ

「わたし、東京にいくの」と桃子が言った。

 え?

「いつ?」

「23日」

「なながつの?」

「なんで?」

「父さんがいくから」

「なんで」

「仕事だよ」

「ごめん、きょうちょっと行くとこがあるから」

 ちょ、ちょちょ、ちょっと。

 桃子は去っていった。呆然。

 自室におれはいた。ぼさーっとしている。桃子の家に電話をかけたが、誰も取らなかった。

「JJ! ごはん!」と一階から母ちゃんの声。

 ぼさーっと下りていって、ぼさーっと夕ご飯をたべた。飯は三膳たべた。

 シャワーを浴びる。固くなったので、出した。

 ぼさーっと床に横になる。どういうこと?

 きょうは何にちだ? 12日。じゃああと11日で桃子は東京に行くわけだな。

 幻視。女の影。桃子の父親のおんな。寄生虫。「東京にいきたい」とそのおんながいう。「いいよ」父親がいう。おんなの胸をふくの上からさわっている。おんなはちょっと嫌そうなかおをして、でもふっとわらって、男のかたに手をかける。口づけ。きも。

 桃子の父親は腕のいい医者だ。どこででも生きてける。というか金はうなるほどある。

 桃子、べつに行かなくてもいいじゃん。ここにおればいいじゃん。

 電話する。誰もとらない。

 どうしよう。どうしようどうしよう。焦る。

 横になるが、ぜんぜん眠れない。どうしよう。桃子桃子。いやだ。

 翌日、ぐっすり眠って起きた。

 学校を休んで、桃子の家にいった。だれもいない。首里をあるいた。苺とか、豆須とか、居酒屋はまだどこもあいていない。

 どこにも桃子はいない。

 首里図書館でマンガをよんだ。『はだしのゲン』。小学校のときにもよんだことがある。

 つぎの日のどようびも、にちようびも、桃子にはあえなかった。

 死にそうになる。3、4回、固くなったので出した。

 家に亀とケンサクが来たけど、ぐあいがわるいといって、帰した。

本稿つづく

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