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【後篇】天皇制の良い点と悪い点――悪い点

 天皇制の悪い点を指摘する。二つある。
 この二つは、それほど新味があるものではない、個人的には。自分的には前篇で指摘するこのとできた、天皇制の良い点の方が、新しい視点だった。この視点については、ほかでは見たことがない。

 天皇制の悪い点
 1.天皇家に人権がない
 2.責任の所在があきらかでない根源となっている

 まず1。天皇はちょっと前まで、神とされていた。人間ではない。先の大戦(馬鹿馬鹿しい、到底勝つ見込みのない、一部の頭のおかしいひとたちと自分の頭で考えることのできなかったおろかな大部分とによって引き起こされた戦争)に大負けして、天皇は人間です!ということになり、天皇制は象徴ということで存続した。

 というわけで今でも天皇制はあり、天皇家は存続している。人間宣言はされたが、今現在も天皇家は人ではない。

 一挙手、一投足が報道され、ぐちゃぐちゃ文句を言われ、嫌味を言われる。血筋がどうの、とか、男を産まない、舐めてるとかよ。常に監視され、自由意志も殆ど無い。それは心も病まれるだろうし、国外にお逃げるなるよ。藤壺の宮じゃねえんだから。いい加減にしなよ。おかわいそうだと、思わないのか?

 国連あたりが、天皇制は深刻な人権侵害である、とか警告してしかるべきだが、国連は何もしない。というか国連てなんなの? ある意味ある? もっとビシッとしてほしい。

 次、2。天皇制は、無責任の温床になっている

 大西巨人の『神聖喜劇』を読んだことがある。全部は読んでいない。2巻か3巻まで読んだ。おもしろいです、これ。中でもおもしろかったのが、天皇と責任についての件。

『神聖喜劇』の主人公は、帝国大学法学部出身の、なんとか太郎という人。めっちゃ頭が良い。大戦時、陸軍に招集される。新兵なので、いろいろ虐められる。理不尽なことが沢山起こる。主人公は、なんでやねん!とか、頭おかしいやろとか、怒ってばかりいる。義憤である。

 主人公はある日、責任について考えていると、この国には責任の所在が空無だということに気がつく。何か失態があったとき(大東亜戦争は失態につぐ失態ばかりであった)その責任は上層にいく。新兵の失態の責任は、その上層にいく。その上層の責任はそのまた上層へ、その上層の責任はそのまた上層の上層へ、上層の上層の責任はその上層の上層のそのまた上層の上層へ、というふうに上昇していく。そしてどんどん上昇して、行き尽くさきは最後は、天皇になる。

 天皇は神である。人間ではない。神に責任はない。神は無謬である。

 というわけで、責任はさいごの最後まで行くと、そこで雲散霧消する。主人公は、この構造を見破る。私はこれを読んだ時、ゾッとした。

 この構造は、今もまったく変わらない。日本は無責任大国である。誰も責任を取らないし、切腹もしない。みんな、へらへらしている。とくに指導者がもっともへらへらしている。うしえてる(舐めてる)。

 だから必然的に、2年前の七月に、最高指導者が殺された。あれは必然であった、と思う。いいかわるいかは別として。

 天皇制の良い点と悪い点を指摘した。良い点もあるし、悪い点もある。悪い方が多いような感じがする。変えたほうがいいと思う。どう変えていいかは、ちょっとすぐにはわからない。私にはそこまでの頭はない。

 なんとなくの提案だが、天皇の、格をちょっと下げてもいいかもしれない。国民的アイドルのような、芸能をつかさどる一族みたいにしてもいいかも。その芸能とは、神事である。神事アイドル、万世一系みたいな。

 宮内庁は、それはいやだと言うと思うけど。

本稿おわり

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