見出し画像

2022年映画ベストテン(アメリカ・カナダ・メキシコ:北米映画部門)

■総評:コロナ禍においても相変わらず好調、というか製作体制を保ててるのはアメリカ映画界、ということになる。というのも、メキシコとカナダも含めて北米という括りにしたが、メキシコとカナダの製作の映画が極端に少なくなり、お金があるアメリカがメインとなってしまった。

そんな中で総合でも1位になるアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品『バルド〜』は一矢を報いたことになろう。それもそのはず、イニャリトゥが6年もかけ、全身全霊を尽くした作品で、全編を故郷のメキシコで撮影した作品となると長編デビュー作の『アモーレス・ペロス』以来の作品でもあるので、総合・北米の1位となるのは当然の結果である。
2位と3位も総合と同じ順位で、『バルド〜』が出てからは完全に不動になった。6位の『スパイダーマンNWH』、7位の『トップガンマーヴェリック』、9位の『ドクター・ストレンジMoM』は流石に認めざるを得ない超大作。


しかしながら、考えてみると、『ウエスト・サイド・ストーリー』と『ナイトメア・アリー』はリメイクだし、『トップガンマーヴェリック』は前作のセルフオマージュが強い続編、『バルド〜』はフェリーニやブニュエルへのリスペクトとクストリッツァやホドロフスキー、ロイ・アンダーソンの影響が見えるし、『リコリス・ピザ』や『ガンパウダー・ミルクシェイク』、『フレンチディスパッチ〜』、『NOPE/ノープ』はレトロ調だったりアナログな作りだったりする。

つまり、北米の良質作品を見極めるキーワードの一つとして、「レガシー」というのが考えられる。それは『トップガン』のトニー・スコット監督しかり、次点にしている『ゴーストバスターズ/アフターライフ マッケナ・グレイス』なんかもモロにそうである。レトロというよりレガシー。このレガシーの力、遺産の継承こそアメリカ映画、北米映画の底力にある。


1位:『バルド、偽りの記録と一握りの真実』 
2位:『リコリス・ピザ』 
3位:『ウエスト・サイド・ストーリー』
4位:『ガンパウダー・ミルクシェイク』
5位:『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
6位:『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
7位:『トップガン マーヴェリック』
8位:『NOPE/ノープ』
9位:『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
10位:『ナイトメア・アリー』
次点:『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?