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スコーピオンズ『Rock believer』

『Return to forever』以来、実に7年ぶりのスコーピオンズの19枚目のアルバム。ドラ厶に元モーターヘッドのミッキー・ディーが加入して初のアルバムになる。

全16中1曲はボーナストラックとして、①②③⑦⑧⑫⑬⑭と8曲もアップテンポ・ナンバーがあり、④⑤⑥⑨とシングル・カットされたミドルテンポ、スローテンポナンバーか続き、⑪にバラードナンバーを配し、70年代から90年代の名盤に劣らない、スコーピオンズらしいハードロックを展開している。特にアルバムの出だしの①②の勢いの良さには1990年前後の、⑪のバラードに80年代の、さらにはミドルテンポながら印象的なリフとクラウスのVoが光る⑤には70年代ハードロックらしさを感じさせ、各年代を彷彿させるアプローチを見せ、長年バンドが培ってきた経験が生きている。

何よりも驚かされるのは全く衰えを感じさせないクラウス・マイネのVoである。70年代や
80年代に見せた超ハイトーンは当然なくとも、元々広い音域で無理なく歌えるVoなので、衰えなく、アルバム全体に現役感を感じさせる。あのディープ・パープルでさえ、全盛期とはやや違うが味があるハードロックにシフトチェンジしているのに、スコーピオンズにはシフトチェンジを感じさせない70年代から90年代のハードロックのまま、新たなるスコーピオンズを見せている。
その衰え知らずのクラウスのVoをフルに活用したルドルフの曲とマティアスのギター、キング・ダイアモンドやモーターヘッドで経験豊富なミッキー・ディーのドラムがバックを支えている。


映画界ではマーティン・スコセッシ監督が『アイリッシュマン』で、リドリー・スコット監督が『最後の決闘裁判』で、スティーヴン・スピルバーグ監督が『ウエスト・サイド・ストーリー』で健在ぶりを見せたが、HM/HR界でもスコーピオンズが全く錆びないハードロックを見せつけた。オールドファンも最近のHM/HRファンもたこれにはだただ驚き、喜ぶしかない!


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