“待つ”が多い。冬のアイスは格別

冬に食べるアイスは格別で、夏じゃだめ。すっかり冷えた両手にふぅふぅと息を吹きかけながら、その場しのぎだと分かっているけど温めながらお家に帰る。玄関で靴を脱いだらすぐに石油ストーブをつけて、その足でガスコンロに向かう。つまみをひねって火をつけて、お湯が沸くのを待つ間、コーヒーが入った缶を取り出す。(うちのは缶の中に軽量スプーンが入ってるから、取り出すときにカラカラと音が鳴る)ドリッパーに二杯コーヒーを入れたらお湯を注いで抽出されるのを待つ。やっとのことでマグカップの半分までコーヒーができあがった。冷蔵庫を開けて、アイスクリームを取り出す。コーヒーと一緒にリビングに持って行ってストーブの前でカチコチに固まったアイスクリームをとかしながら、じゅわっと溶け出す縁の近くからスプーンですくって食べる。溶けた部分を全部食べてしまうと、またストーブの前で待つ。待つことが多い冬が好きだ。そして待つが多い冬のアイスは特別だ。

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