SLAM DUNK という青春体験

観てきました、THE FIRST SLAM DUNK。イオンシネマ新百合ヶ丘。
安心してください、ネタバレとかしないです。

スラムダンク、もはや説明不要の漫画だと思いますが、今の若い方たちはどうなんですか?親御さんの影響で読んでるんですかね?

スラムダンクの続編を映画でやるという噂を耳にしたときは、正直「へえーそうなんだ」くらいにしか思わなかったです。というのも、30代半ばですし、いまどきアニメに心踊ったりしないわけです。毎日仕事をこなして、美味しいご飯を食べてお風呂でゆっくりして、0時前にベッドで眠りにつける喜びを感じている中年です。面白そうな映画があっても、映画館に行くのが若干面倒くさいなと思ったりするんです。

自分がこんなおじさんになるなんて思っていなかったですよ!でも、なんか歳取るってそういう面があるんです。テイタラクな行動が積み重なって、じわじわと”おじさん”という習慣が身についていく感じです。おじさんについてはこのくらいにしてきます。

そこまで強く楽しみにしてたわけではないけれど、あのスラムダンクを、また新たな気持で体験できると思うと少しワクワクしたところもあるんです。

公開が近づくにつれて、ちょっとした噂話が耳に聞こえてきました。
「声優陣が総取っ替えらしい」
「予告を観たけどあれはスラムダンクじゃない」
「宮城が主人公?」

たしかに、声優が違うのは少し残念な気がしたけれど、だからと言って観ない理由にはならない。井上雄彦の絵で面白くないわけがない。そもそも、公開されたビジュアルを観ただけで、絵のクオリティは間違いない。

当時の漫画を見ると分かるが、絵に粗さがあり、その粗さがスポーツ漫画の勢いとコミカルな演出とマッチしてて良かったのだが、今回の絵はシャープなんだけど丸くて円熟味がある。偉そうにいっているけど素人感想です。すみません。

でも、あのバカボンドやリアルという漫画を経て、描かれた感じがすごい伝わる絵なんです。簡単に言っちゃうと、完成度が高い。

で、観たんです、イオンで。期間限定の700円くらいする高いチョコレートドリンク片手に。

もう、最高でした。涙が止まらなかったです。

中学生から高校生くらいの間、原作の山王戦読んでたときも泣いてたんですよ。何回も何回も読み直して。
映画を観終わったとき、なんだか自分も10代に戻った感覚でした。

観ながら、色々考えたんです。そのことを書いちゃいます。

スラムダンクってもはや、漫画とかアニメの枠を超えてます。じゃー何かって言うと…それはもう読んだり観たりした人の青春そのものです。もっと極端なこと言うと、ぼく自身が経験した青春より、スラムダンクの方がぼくにとって青春なんです。この感覚伝わりますかね…

ぼくは中学生まで、クラブチームでサッカーやってたんです。弱いチームでしたけど、結構本気でやってましたよ。火曜〜金曜は練習して、土日は試合で。まあ、サッカー小僧ってだいたいそんな感じだと思うんですけど。

で、中学生って身体も大きくなってくるし、筋肉も付いてくるし、ボールの扱いも小学生に比べて格段にうまくなります。

自分は、足が遅かったから身体的なコンプレックスはありましたけど、それでも中盤の選手だったし、先輩たちにも負ける気はしなかったですね。

だから、当時は本当にサッカー楽しかったですし、今思えばもっと真剣に向き合ってたら、プロもあり得たのかななんて思います。(たぶん無理だったと思いますが、諦めたら試合終了です)

別に自慢話をしたかったわけではなくて、それなりに真剣に楽しんでやってたよってことが言いたかったんです。

でもね、ぼくの中学のサッカー体験より、スラムダンクを読んだ経験の方が、2倍くらい印象が強いんですよ。それは、スポーツという体験においてもそうだし、青春、友情という体験においてもそうです。

自分の青春 ≦ スラムダンク

現実って結構シビアじゃないですか。面白いことよりも悩んでることの方が多い。花道みたいに真っ直ぐなドアホでもなければ、ゴリみたいに強烈な先輩もいないし、ルカワみたいなライバルもいないし、宮城や三井みたいなやんちゃな先輩いないんです、現実は。毎日ドラマなんて起きないです。

少し楽しいことがあったり、嫌なことがあったり、その連続です。感情の起伏が、漫画の世界みたいに大きく波打たないんです。

スラムダンクってもう、起伏だらけじゃないですか。素人が恋愛からバスケ初めて、どんどん上手くなって、ライバルたち蹴散らして、インターハイまで出る。

自分の青春より青春してて、羨ましいんですよ。で、読むとなんか自分も湘北の仲間になった気がして、嬉しいんです。

山王戦の途中に、ベンチメンバーの一年が、5人の戦う姿をみていうセリフがあります。

「湘北に入って良かった」

もうね、この言葉に全て集約されてます、読者の気持ちが。
試合に出れてなくても、その瞬間を共有できるだけで、最高なんです。

スラムダンクっていうのは、漫画とかアニメのジャンルを超越してるんです、そういう意味で。超現実的、ドラッグ的な側面もあります。なので、この漫画が日本という国に及ぼした影響って計り知れない。井上雄彦恐るべし。

自分なんて現実世界で、スラムダンクを超える体験ってしたことないですから。だからずっと拗らせて生きてきました。笑

これってワールドカップとか観ているときの感情と似てます、きっと。今回国民が大熱狂したのも、テレビ、アベマ、YouTubeを通して選手のストーリーが追体験できるんです今の時代。もちろんドイツやスペインといった強豪国と同じグループになったこと、初戦でドイツを破ったことも大きかったと思いますが、日本代表のストーリーを追体験できる機会がこれまでのどのワールドカップより多かったと思います。ロッカールームの映像とかもYouTubeで流れてましたしね。

あと、本田圭佑さんがAbemaで解説してたのも大きいかもしれません。本田さん、まだ現役の選手だし、ベテラン組とは前回のW杯も一緒に出てたりして解説者より選手のほうに立ち位置が近い。なので、選手の感情や臨場感を伝えるのがものすごく上手でした。

今回”にわか”ファンが、ああだこうだ言われているみたいですけど、国全体が盛り上がったのはこんな背景もあると思います。

ワールドカップで気付かされたのは、現実にもスラムダンクの登場人物的な人たちはしっかり存在してて、三笘薫選手、堂安律選手、吉田麻也選手、権田修一選手、伊藤純也選手、もう選ばれた選手全員そうなんですけど。そういう人たちが世界で戦っている姿をみて、スラムダンクを観ているときと同じ感情になりました。

惜しかったなベスト8。

終わり

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