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手紙社リストVOL.17“本”編「花田菜々子が選ぶ『読書でフルーツの秋を味わうためのみずみずしい』10冊」

手紙社

あなたの人生をきっと豊かにする手紙社リスト。今月の本部門のテーマは、「読書でフルーツの秋を味わうためのみずみずしい本」。その“読むべき10冊”を選ぶのは、ブックコンシェルジュや書店の店長として読書愛を注ぎつつ、私小説も人気を博している花田菜々子さん。「雰囲気こそ大事なのでは?」という花田さんが雰囲気で(いい意味で!)選ぶ、ジャンルに縛られない10冊をお届けします。

1.『ことばの果実』潮文庫
著・文/長田 弘,発行/潮出版社

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とにかく今回のご紹介でいちばん読んでほしいのがこちら! ひとつひとつの果物を題材に(ときには野菜やスパイスまで)詩のような美しいことばでその果物たちのよさをもぎ取るように綴られた短いエッセイ集。文庫になって繊細なイラストと組み合わさりさらに胸キュンな本に。いつ開いてもワクワクする1冊。

2.『まるまる、フルーツ』おいしい文藝
著・文/池波正太郎・佐藤正午・辻村深月・堀江敏幸・三浦哲郎・宮尾登美子,発行/河出書房新社

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実際の食べ物よりも本や漫画に出てくる食べ物のほうがおいしそうに感じる……なんて経験、本好きなら「あるある」なのではないでしょうか。これは古今東西の作家たちによるエッセイのアンソロジーなのですが、果物の描写がとにかくおいしそうで、果物ってこんなにいいものだったんだ! とハッとさせられます。

3.『檸檬』角川文庫
著・文/梶井基次郎,発行/KADOKAWA

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日本でいちばん有名なフルーツの小説といえばやはりこれ。檸檬を爆弾に見立てて本屋に置いてくるというあらすじの短い物語ですが、今読んでもすっと読みやすく、透明感のある文章が魅力。ちなみにモデルとなった京都の書店『丸善』には現在でも定期的にレモンを置いて帰る模倣犯が続出していて、店員はそのネタに飽き飽きしているそうですよ。

4.『真夜中の果物(フルーツ)』幻冬舎文庫
著・文/加藤千恵,発行/幻冬舎

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フルーツと恋愛はどこか似ているのかもしれません。甘美だけど儚くて、人生に必須ではないくせに自分を惑わせ翻弄する。本書は数ページの短い物語の中で恋愛のささやかな風景を描き、その余韻をひとつの短歌で切り取る作品集。どれも身に覚えがあるような気がして切なさと懐かしさがこみ上げます。

5.『苺をつぶしながら
著・文/田辺聖子,発行/講談社

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「苺をつぶす」って今の若い子に言ってももう、何のことかわかってもらえないかもしれないですね。田辺聖子さんが描く女の人はキリッと自立していて強気な性格なのにチャーミングで色っぽいのがずるい。「女35歳の幸せとは何か」を探す三部作の小説。って、きっと昔の35歳は今よりずっと大人だったんだろうな。

6.『西瓜糖の日々』河出文庫
著・文/R・ブローティガン,訳/藤本和子,発行/河出書房新社

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現在でも読み継がれているブローティガンの代表作。「わたし」が住む世界では人も街も全部スイカ糖でできていて、人の言葉を話す虎がいて……と書いても何のことやらという感じですが、この幻想的で不思議な世界の魅力にとらわれてしまう人は少なくありません。現実社会から逃避したい日はこんな物語にどっぷり浸かってみるのもよいかも。

7.『オレンジだけが果物じゃない』白水Uブックス 海外小説の誘惑
著・文/ジャネット・ウィンターソン,訳/岸本佐知子,発行/白水社

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熱心なキリスト教の母親に育てられ、伝道師への道を歩ませかけられていた少女が同性愛に目覚め、母や宗教とぶつかって自らの人生を手に入れるまでの自伝的小説。知られざる名作ですが宗教2世の苦しみが問題となっている今、あらためて読みたい本です。激重なテーマなのに著者がちょっとおもしろい感じなところも好き。

8.『浅草・フルーツパーラーゴトーの フルーツをもっとおいしく楽しむ本
著・文/後藤浩一,発行/家の光協会

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今いちばんアツい浅草のフルーツパーラー『ゴトー』の店主さんによるフルーツのガチ本。まず表紙のかわいさがもう最高。果物をもっとよく知ってもっとおいしく食べるための情報と、みんな大好きフルーツパフェのお話も載ってます。どのページも見ているだけでほんとうに楽しくて、思わず誰かにプレゼントしたくなる本です。

9.『パフェが一番エラい。
著・文/斧屋,発行/ホーム社

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パフェについての本をもう1冊。といってもこの本はパフェのお店のガイドブックでもパフェ作りの本でもないんです。言うなれば哲学書……? パフェをどう食べるか、いや、パフェという芸術作品にどう立ち向かうべきなのか、というテーマで書かれた異常な1冊。何を言っているのかわからないと思いつつも、次にパフェに向き合うときにはパフェの解像度が確実に上がってます!

10.『りんごかもしれない
著・文/ヨシタケシンスケ,発行/ブロンズ新社

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しりとり的にフルーツの哲学本をもう1冊。あまりにヒットした絵本ですが未読の方はぜひ読んでみてほしい! 今あなたの目の前にあるりんごって、ほんとうにりんごなのでしょうか? 切ってみるまで中身が想像通りかはわからないんじゃないですか。そんなふうに頭の中をやわらかく広げてくれる本なんです。空想や妄想が好きな人にはぜったいおすすめ。

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選者:花田菜々子
流浪の書店員。あちこちの書店を渡り歩き、2018年から2022年2月まで「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」で店長をつとめる。2022年9月1日に自身の書店「蟹ブックス」を東京・高円寺にオープン。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』など。

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