見出し画像

手紙社リスト映画編 VOL.20「キノ・イグルーの、観て欲しい『雪原』な映画10作」

あなたの人生をきっと豊かにする手紙社リスト。今月の映画部門のテーマは、「雪原な映画」です。その“観るべき10本”を選ぶのは、マニアじゃなくても「映画ってなんて素晴らしいんだ!」な世界に導いてくれるキノ・イグルーの有坂塁さん(以下・有坂)と渡辺順也さん(以下・渡辺)。今月も、お互い何を選んだか内緒にしたまま、5本ずつ交互に発表しました! 相手がどんな作品を選んでくるのかお互いに予想しつつ、それぞれテーマを持って作品を選んでくれたり、相手の選んだ映画を受けて紹介する作品を変えたりと、ライブ感も見どころのひとつです。

                ──

お時間の許す方は、ぜひ、このYouTubeから今回の10選を発表したキノ・イグルーのライブ「ニューシネマ・ワンダーランド」をご視聴ください! このページは本編の内容から書き起こしています。

──

−−−乾杯のあと、恒例のジャンケンで先攻・後攻が決定。今月も渡辺さんが勝利し、先攻を選択。それでは、クラフトビールを片手に、大好きな映画について語り合う、幸せな1時間のスタートです。

──

渡辺セレクト1.『ファーゴ』
監督/ジョエル・コーエン,1996年,アメリカ,98分

有坂:やめてー(笑)
渡辺:これは1番被りそうよだね。これは本当に取りたかった。
有坂:同じ理由で1本目にしていたよ。
渡辺:そうだよね。これはやっぱり、割と思いつきやすいというかですね。ポスターが、もう雪原に死体がぽつんと置いてあるっていうね……というのが印象的なビジュアルですね。これはもう90年代の本当にミニシアターブームだったときのコーエン兄弟の作品で、もう本当にその年を代表するような作品だし、今も語り継がれている作品です。
有坂:はいはい。
渡辺:これは、もともとお話でいうと、狂言誘拐ですね。偽装誘拐でお金を騙し取ろうとしたところが、予定がどんどん狂っていって、殺人事件まで起こってしまうというのを描いた、クライムサスペンスとなっています。これが、スティーヴ・ブシェミとかね、もう曲者俳優がいろいろ出てきて、思わぬ方向にどんどん事態を悪化させていくっていうですね、そういう面白さと、犯罪の怖さみたいなところも併せ持つ、その辺のテンポだったりとか、ダークな感じだったりの絶妙なバランスっていうのが、もうコーエン兄弟が本当にノリに乗っている作品だったりしますので、これ観ていないって方がいたらね、もう90年代のミニシアターブームのときの代表格の作品なんで、ぜひ観ていただきたいと思います。本当にあのミネアポリスかな、アメリカの中部のど田舎が舞台なんですけど、
有坂:ミネソタ州?
渡辺:ミネソタ州のミネアポリスじゃなかったっけ。
有坂:ノースダコタ州ファーゴかな。
渡辺:そうファーゴって場所と、舞台になっているのはほとんどミネソタなんだよね。本当に何もない田舎で、冬が舞台なのでもう本当に一面の雪原で、その中で殺人事件が起こってというところなんで、本当にすごい、雪はイメージしやすい感じの作品になっております。
有坂:こういうビジュアルだけど、悲劇であり、喜劇である。多分、それがコーエン兄弟の特徴でもあって、まあ、本当にブラックユーモアってね、例えられることも多いですけど。割となんか、この映画が個人的にすごかったなと思ったのは、やっぱりその雪であるっていう、真冬の雪の環境ということが絶対的にこの映画には必要で、で、それはやっぱり雪で閉ざされている村であるとか、あとはその死体からこう吹き出ている血が、真っ白な雪にパーっとこう散らばっている絵としての美しさとか、その絵作りも含めたこの世界観のつくり方。こういう映画があるんだなっていうのはけっこうね、96年当時は衝撃的な。
渡辺:そうだね。
有坂:衝撃的な1本で、その年のベスト10に入れたもんね。
渡辺:まあ入るよね。
有坂:ベスト3に入れたかもな。
渡辺:言えてよかった!
有坂:初めてだよね。1本目で被るのね。いや、プランが狂った。
渡辺:おめでとうございます。
有坂:いや〜、ちょっとじゃあ変えていこう。はい、じゃあ、僕の1本目は予定を変えて、1995年の日本映画。

有坂セレクト1.『Love Letter』
監督/岩井俊二,1995年,日本,117分

​​渡辺:出た!(笑)。とられた!
有坂:これはね、言わずと知れた岩井俊二の代表作ですけど、中山美穂が1人2役を演じた。で、相手役にトヨエツ(豊川悦司)、あの関西弁のトヨエツね、話題になった。なんであんな不自然な関西弁喋るんだろうと思っていたら、実はトヨエツって関西人なんだよね(笑)。
渡辺:そうなんだっけ?
有坂:そういう意味でも、ちょっと衝撃的な一作。それは、どうでもいい情報なんですけど。まあ、これは亡くなった恋人、「藤井樹」っていう名前の、同じ名前を持った人が二人いて、中山美穂が一人を演じているんですけど、亡くなった恋人、藤井樹が、かつて暮らしてた住所に手紙を中山美穂は送るんですね。もう亡くなってしまった藤井樹に宛てて。そしたら帰ってこないはずの手紙に返事が来たと。というところから、文通が始まって、そのかつての恋人、藤井樹の中学校時代のことが色々と分かってくるっていう。ちょっとこうファンタジックな要素もあるラブストーリーになっています。
で、なんか手紙がね、本当、どこから届いたんだろうとか、なんかそういったちょっとファンタジー的な謎解きがありつつも、やっぱりこう死んだ恋人への思いだったりとか、岩井俊二らしい初恋の物語に広がっていくっていうところで、なんか『Love Letter』っていうね、直球なタイトルで、ありきたりなラブストーリーかなと思いきや、やっぱりもう岩井俊二にしかこれはつくれないんじゃないかなっていうような世界観で、観た人みんながとりこになってしまう、という一作です。で、『Love Letter』は日本だとね、例えば、スワロウテイルとか『Love Letter』とか、この時期の岩井俊二って、ある意味、日本映画界に革命を起こした、まったく違ったアプローチでつくってくる、映像の感覚的にも新しかった人ですけど、それはどうやら日本だけではなくて、中国、韓国、台湾の若い人たちにめちゃくちゃ影響を与えていて。
渡辺:そうなんだよね。
有坂:その10代で『Love Letter』を観た人が、映画監督になって、岩井俊二的なラブストーリーをつくっているんですよ。特に台湾。
渡辺:うんうん。
有坂:あとはでもこういう純愛ものって、ちょっと韓国映画っぽいなっていうところもあって。
渡辺:そうだよね。
有坂:まあ、韓国のつくり手にも影響を与えていたり。中国では、岩井俊二がラストレターっていう映画をつくりましたけど、そのリメイクを中国で岩井俊二がつくっていたりということで、本当に日本という枠を飛び越えて、こう同時代的な感覚で世界が共感した、本当に特別な一作かなと個人的には思っています。今あらためて観ると、やっぱりそのコミュニケーションの仕方が直筆の手紙であったり、あと図書館のカード、貸し出しカード。
渡辺:そうだよね。
有坂:そういったものを、こううまくモチーフとして物語をつくっていくっていうところが、今観ると新鮮で。これがやっぱり時間が経っていけばいくほど、「手紙」っていう、もしかしたらね、手段もこの世の中からなくなっていってしまうかもしれない。図書館の貸し出しカードは、もっと早くきっとなくなってしまう。そういう時代になっていけばなっていくほど、50年とか100年経つほど、この『Love Letter』の価値っていうのは上がってくるなと。ちょっと評価軸が変わってきて面白いだろうなっていう。「こんな世界があったんだな」っていう意味で、後世にも残るような一作かなと個人的には思ってます。なんとなくイメージで、「中山美穂だし、ちょっとメジャー系のラブストーリーで」って思って手をつけない人もいるかもしれないんですけど、それで見逃すにはもったいなさすぎる。
渡辺:これ、よくできてるからね。もう面白いんですよね。
有坂:もう雪の風景もね、小樽。北海道の小樽のね、雪の風景も堪能できるので、ぜひこの時期に観てもらいたいなと思う一作。あと、あれか。キャッチコピーにもなってたけど、名台詞、「お元気ですか? 私は元気です」。切ないよね。ぐっとくるわこれ。思い出せば思い出すほどね。
渡辺:ねぇ、韓国とかでも流行っていたらしい。
有坂:そうだよね。なので、台湾の監督だったかな、岩井俊二が好きだろうなっていう作品を発表した人のtwitterのアカウントが「いつき」っていう名前だった。どんだけ好きなんだっていう。で、本人もそこは認めていた。まあ、そんな『Love Letter』が、僕の1本目です。
渡辺:なるほど。取られました。
有坂:まあ、どっちかだよね。『ファーゴ』をとるか、『Love Letter』をとるか。
渡辺:そうだよね。じゃあ、次に行きたいと思います。僕の2本目は、2015年のアメリカ映画です。

渡辺セレクト2.『ヘイトフル・エイト』
監督/クエンティン・タランティーノ,2015年,アメリカ,167分

有坂:ああー、うんうん。
渡辺:これはタランティーノの作品ですね。割とタランティーノの中では新しいほうの作品です。これはまさに雪の山。吹雪の中の山小屋が舞台となった作品です。これ、カメラが70ミリフィルムで撮られた作品で、ものすごい大自然のね、雪山を映すところから始まって、それが、すごいなんていうんですか、壮大な雰囲気で、これはもうぜひスクリーンで観たいっていう感じの作品ではあるんですけど。内容としては、吹雪の中で山小屋に閉じ込められた曲者ぞろいの男たちに事件が起こって……という話です。で、それぞれ曲者で、みんな訳ありで、それが全部個性派俳優がね、演じていて、もういつもタランティーの節が炸裂な感じで、なんかこう駄話が始まって、でも、そこからだんだんちょっと不穏な雰囲気になってきて、誰かが悪者、っていうか全員悪者なんですけど。裏切り者が誰かいるみたいな感じになっていって……という感じですね。で、タランティーノの映画って、本当にほぼ全員死ぬっていう感じなんです。
有坂:『​レザボア・ドッグス​』的なね。
渡辺:そうそう、なので、誰が生き残るのかみたいな展開になっていくという感じです。本当に吹雪の中の雪山に閉じ込められてるので、その密室感みたいなところの演出がすごく効いている感じですね。で、先が読めないし、みんな訳ありで、いろんな謎が解けていったり、理由が分かってたりみたいな。そういう感じのミステリー要素もあって、その辺も見どころの一つという感じになっています。
有坂:これはさ、やっぱりその誰が生き残るかっていう映画とか、誰が犯人だっていうタイプの映画って、役者としての個性が突出してる人が一人いたら、「もうその人だろうな」ってなっちゃうじゃない。だから、キャスティングがやっぱりすごい大事だなって思うんだけど、そういう意味ではこの映画は、サミュエル・L・ジャクソンとか、マイケル・マドセンとか、ティム・ロスとか、やっぱり個性も強いし、例えばタランティーノの別の映画で最強の男の役をやってたとか、そういうイメージもあるから、本当に誰が生き残るかもわからないし。だから、こう最後まで167分とか、確か3時間近くあるんですけど、集中力切れることなく、ハラハラドキドキ。
渡辺:そうだね。
有坂:楽しめるタイプの映画ですね。あとあれだよね、この屋外と屋内のコントラストが、この映画はメリハリがきいてくるなと思って。屋外はもう吹雪で、すごい大自然なんだけど、基本的に映画はこの室内、建物の中で繰り広げられる会話劇。会話とアクションか。そのメリハリがきいているところがうまいなって思いました。
渡辺:なんで、タランティーノが好きな人で、まだ観てない方は、もうぜひという感じです。
有坂:はい、じゃあ、続けて僕はですね。1980年の映画です。

有坂セレクト2.『シャイニング』
監督/スタンリー・キューブリック,1980年,イギリス,119分​​

渡辺:うははは、そうだよね。
有坂:『シャイニング』、観たことある人いますか? ……ここのスタッフは二人とも観ている、やばい二人です(笑)。スタンリー・キューブリックが監督した、もう本当にホラー映画のマスターピースと言っていい一作です。これは、主演がジャック・ニコルソン。設定が、その冬の間だけ閉ざされるリゾート地のホテルが舞台で、そこのホテルの管理人をジャック・ニコルソンが任される。でも、彼はもともと小説家志望で、その仕事をしながら小説を書くっていうときに、まあ、その冬の間の小遣い稼ぎとして、ここの管理人をやるわけですね。そこに、自分の奥さんと子どもも連れてきて、冬の間過ごすんですけど、まあ、その誰もいないホテルで、あんなことやこんなこと、本当にもう恐ろしい事件が色々起こると。もともと、そこのホテルは実は訳ありでっていう設定があるんですけど、そこから物語がどんどんこう転がっていくっていう映画です。なんかね、物語の展開ももちろん映画って大事なんですけど、やっぱりその小説と違って映画は映像があるので、目で観たときに怖いって感じるとか、ハッとできるビジュアルがあるってことが、僕はなんか映画にとってはいい映画の要素の一つかなと思っているんですけど、そういった意味では、この映画をつくったスタンリー・キューブリックって人は、もうその映像にめちゃくちゃこだわる人です。で、彼の特徴は最近で言うと、ウェス・アンダーソンなんかは、まったく同じような特徴があるんですけど、シンメトリーの画面、左右対象の画面をすごい意識的に使う人。特に、この『シャイニング』っていうのは、その左右対象の画面っていうのが、ものすごくそのホラー映画の内容とうまくリンクしていて。というのも多分前なんか、ウェス・アンダーソンの話をしたときにも、僕、言ったかもしれないんですけど、人間が普通にこう生きていて、いろんなものを見ますよね。自分の目で見たものの中に、左右対称の瞬間ってほぼないんですよ。だから、映画の中でも、左右対称の画面っていうのはつくれるんですけど、それを観たときに観客っていうのは、やっぱりあまりにも美しすぎて、整いすぎて、隙がなさすぎて、ちょっとね、やっぱ怖いんですよ。ちょっとざわざわする。そのざわざわする左右対称の画面を、この人気のないホテルを使って、キューブリックはうまく演出していく。細長い廊下とか、その細長い廊下の向こう側に不気味な双子の少女が立っているとか、なんか、そういった映画ならではの演出に本当に溢れているので、ホラー映画苦手だなって人も、この映画は観られて良かったっていう、満足度が比較的高い一作になってます。
渡辺:うんうん。
有坂:まあ、とにかくトイレだったり、あとバーが出てきたりするんですけど、そのインテリアとかもキューブリックはすごいこだわる人なので、そういったインテリアとか空間が好き、建築も含めた空間が好きって人も、ぜひ観てほしいし。で、この映画で一つね、面白いエピソードがあるので、ちょっとこれを最後にお話しします。もともと『シャイニング』っていうのは原作があって、原作はあの言わずと知れたアメリカのホラー作家、スティーヴン・キングなんですね。で、スティーヴン・キングは、スタンリー・キューブリック監督のことをすごい買っていて、自分の『シャイニング』を彼が映画化してくれるってことで最初は、めちゃくちゃ喜んでいたらしいんですよ。ところが、完成した作品を観て、もう激怒して、これは俺がつくった『シャイニング』とは、まったく別物だっていって、もう批判的なコメントを出したんですね。で、そこから何年か経って、まあよっぽど気に入らなかったんでしょうね。自分がもう制作総指揮みたいに、がっつり関わる形で、『シャイニング』をリメイクしたんですよ。まあリメイクというか、つくり直したんですよ、自分の原作をベースに。で、それ僕観たんですけど、めちゃくちゃつまんない。
渡辺:(笑)
有坂:これをスティーヴン・キング、スタンリー・キューブリックがどう評価したのかは、ちょっと僕はそこのコメントまで見れてないんですけど、明らかに映画として面白いのは、やっぱりキューブリックのほう。そのとき初めて、じゃあ、映画と小説の違いってなんだろうとか、映画ならではの面白さ、キューブリックの『シャイニング』に、なんであんなにワクワクしたんだろうっていうのも考えるきっかけになったので、観られることあるのかな? なんかね、昔、VHSのビデオでそのスティーヴン・キングが関わったシャイニングっていうのは出ていたので、気になった人は、ぜひそちらも合わせて観ていただくと、なんか映画の面白さが見えてきていいかなと思います。
渡辺:なるほど、名作だからね。『シャイニング』ね。これは、ホラー好きとか関係なく、もう、ぜひ観ておいた方がいい作品じゃないかなと。
有坂:トラウマになる可能性も、なきにもあらずで。
渡辺:(笑)。結構『シャイニング』が、モチーフの映画っていっぱいあるじゃん。
有坂:あるね。
渡辺:だから、『シャイニング』を観ておくと、「あっ、これだ」っていうのがわかったりするんで。
有坂:あと、最近なんかインスタの広告で出てきたんですけど、『シャイニング』をモチーフにした靴下をつくっているブランドがあって。あの廊下のデザインとか、モチーフとかの『シャイニング』のソックスも出ているので、調べてみてください。
渡辺:なるほど(笑)
有坂:ちょっとコメントをフォローすると、だいぶ戻って、「岩井俊二のラブレターのビデオ持ってます」って人がいる。
渡辺:おお素晴らしい! まあね、名作だからね。新作の『ラストレター』とかも観ているのかな。『ラストレター』もね、続けて観ると面白いからね。
じゃあ、どうしようかな。僕の3本目は、2017年のアメリカ映画です。

渡辺セレクト3.『ウィンド・リバー』
監督/テイラー・シェリダン,2017年,アメリカ,111分

有坂:
渡辺:これは、どういう作品かというと、サスペンスものなんですけど、もうまさに雪原で女性の死体が発見される。
有坂:好きだねぇ。『ファーゴ』みたいな。
渡辺:そうなんですよ。やっぱね、なんだろう、雪と殺人事件、相性が多分すごくいいんだと思うんだよね。そういう映画けっこう多くて、ちょっとね、その路線で紹介していきたいと思います。で、『ウインド・リバー』は、もうパッケージもこういう感じで、インディアン……ネイティブアメリカンの居住地で、その女性が雪の上で息絶えていたっていうのが発端の話。警察がその捜査に乗り出すというところで、これが事件なのか、事故なのかみたいなところからスタートしてくんですね。だんだんこう真相に迫ってくるにつれて、いろんな闇が暴かれていくという感じになるんですけど、これの監督・脚本が、テイラー・シェリダンという人で、テイラー・シェリダンが、この犯人を追い詰めながら、追い詰めていくにつれて、その真相がいろいろこう、その社会背景の闇も一緒に暴かれていくみたいな、そういう作品をつくる名手なんですね。で、代表作は多分、ボーダーライン(:ソルジャーズ・デイ)』っていうですね、メキシコの麻薬カルテルを暴いていく、あれもめちゃくちゃスリリングでね。
有坂:順也、大好きなね。
渡辺:大好きなやつなんですけど、その基本的には脚本家なんですね。脚本家で、そういった名作をいろいろ出してるんですけど、そのテイラー・シェリダンが自ら監督を初めてやったっていう、監督長編デビュー作になります。
有坂:そっか、デビュー作なんだね。
渡辺:そう、監督脚本を務めた作品となっています。で、本当に雪の中で起こる事件から、実はいろんな、そのアメリカのネイティブアメリカンの居住地の置かれてる現状とか、その辺の闇も暴かれていくみたいな、そういう社会派的なところもあって。なので、謎が解けていくっていうミステリー要素だったりとか、まあハラハラするサスペンス要素もありつつ、そういう社会派な一面もあるというところが、この雪の中からですね、描かれていく。これもすごい面白い作品となってるので、これも観られる機会があったらぜひ。多分配信とかで観られるかな。
有坂:ちょっと下にずらしてもらっていいですか。
渡辺:観られるね、アマプラで。なんで、ちょっと謎が解けていくような、そういう系が好きな方には、もうぜひおすすめの作品となってます。
有坂:ちょっとサスペンス要素の強い映画が多いね。
渡辺:そうだね。なんかね、そうそう、やっぱり雪と殺人は相性がいい(笑)。
有坂:繰り返すね。じゃあ、わかりました。それを受けて、僕はもうちょっと上品な映画をっていうわけじゃないですけど(笑)、まあ、僕、その『シャイニング』を挙げておいて、どの口が言ってんだって感じですけど、まあ『シャイニング』が、ホテルが舞台だったので同じようにですね、ホテルを舞台にした2014年のトルコ映画です!

有坂セレクト3.『雪の轍』
監督/ヌリ・ビルゲ・ジェイラン,1980年,トルコ,196分

渡辺:ああ!
有坂:これはトルコのカッパドキアにある、洞窟ホテルを経営してる人たちが主人公です。元舞台俳優で、裕福な環境で育ったアイドゥンっていう男の人が、まあ奥さんと出戻りの妹と一緒に、そのカッパドキアのホテルで生活をしているんですね。真冬、もう本当に雪景色で、めちゃくちゃ美しいカッパドキアの風景が存分に出てくる映画なんですけど、その冬がどんどん深くなっていって、深くなっていくとともに、まあ要はホテル、建物から出られなくなってくる。もう建物の中でひと冬を越していかなきゃいけないみたいな環境になっていく人たち。まあ、大体そういう環境で育っている人は、冬のシーズンっていうのは、そういう過ごし方になってくると思うんですけど、そのね、暮らしてる人たちが仲睦まじければ、素晴らしい冬の時間になると思うんですけど、まあ残念ながら、この『雪の轍』の家族は、実はそれぞれが秘めていた思いがあって、それが冬の寒い時間の中で少しずつ少しずつ浮かび上がってくる、というのが、大枠の設定です。で、この映画は基本、さっきの順也が紹介した『ヘイトフル・エイト』っていうのはね。同じように雪に閉ざされた山小屋の中の話。設定は、ほぼ一緒なんですよ。ただタランティーノの場合は、会話劇の中にアクションが加わるんですけど、『雪の轍』は、もうね100パーセント会話劇です。しかも、196分。
渡辺:長い!
有坂:そうなんですよ。で、だいたい誰かが誰かを罵っているっていう、本当に見てて辛くなってくる映画です。でも、おすすめしてますよ、これは。もちろん、その室内だけの物語だけではなくて、外の風景だったりとか、そこの映像的なメリハリっていうのはすごくあるし、やっぱり雪の風景を映像として撮るときに、俯瞰して全体を捉えると、やっぱりその世界の美しさみたいなものが、パッと映像から伝わってくる。その映像の美しさにこだわってるのが、この映画を監督したトルコの巨匠のヌリ・ビルゲ・ジェイランという人です。で、彼自身は。いわゆるトルコでは名匠と言われていて、トルコの枠に収まらず、カンヌ国際映画祭とかで2回ぐらいグランプリを取って、監督賞も取っているのに、日本ではね、1本も上映されてない。
渡辺:上映されてないんだ。
有坂:そう、知られざる名匠だったんですよ。それで、ついに公開されたのがこの『雪の轍』。これはね、カンヌ国際映画祭でパルムドールっていう最高賞を獲っているんですね。なので、日本でも公開されたというところはあると思います。さっき、罵る会話での196分って言いましたけど、もちろんその観ていて辛いは辛いんですけど、そのなんて言うんですか、作品として人間の心の奥にある、例えば腹黒い部分であったりとか、そういった本質的なところをグサグサと突くような言葉の応酬なんですね。だから、ある意味、人間というのはどういうものかっていうのを考えるときに、すごく参考になる、モデルケースになるような人間しか出てきません。本当にもう本質的な会話。だから、すごく文学的なんですよ。なんか、トルストイとか、そういうものと例えられることが多いので、ヨーロッパでは評価が高いと思うんですけど、そういったちょっとね、文学的な格調高い映画が、この『雪の轍』です。なので、例えば冬ってちょっとエンタメ映画ばっかり観ているのも、気分的に違うなって思ったときに、まったく反対のものを観たくなったら、ぜひこの『雪の轍』を思い出していただいて、まあ特別な196分を過ごしていただけたらと思います。僕はでも、本当に好きな1本です。
渡辺:へえ、観てないんだよ。
有坂:観てないんだ?
渡辺:罵っているんだ?
有坂:すごいよ。
渡辺:3時間罵っているってすごいね(笑)。
有坂:だいたい罵られるのは、男の人だから。だから、男性に対してイライラが止まらないみたいな、もし女性がいたら、観てもらうとストレス解消にはなるかもしれない。順也は、多分胸が痛い(笑)。
渡辺:そうなんですね。まあ、なかなか観られる機会もない作品だからね。
有坂:おすすめです!
渡辺:そう来ましたね。じゃあ、どうしよっかな。ちょっとこの路線で、僕はいってみたいと思います。じゃあ、僕の4本目は、2019年のフランス映画です。

渡辺セレクト4.『悪なき殺人』
監督/ドミニク・モル,2019年,フランス・ドイツ,116分

有坂:好きだねぇ(笑)。​​
渡辺:これもですね、例にもれず、雪の中で殺人が起こるんですけど(笑)、めちゃくちゃよくできている、これはサスペンスものなんですけど。どういう話かというと、これは舞台はフランスの田舎町なんですけれど、こういうパッケージね、やっぱりこの白の中に赤みたいなさ。
有坂:大体同じだよね。
渡辺:みんな多分、『ファーゴ』をイメージしているんだと思うんだけど、やっぱりその相性の良さっていうんですか? っていうので、これはフランスの田舎町のある寒村で、雪の中で失踪した女性の死体が発見されますというところから始まります。で、なんでそういうことが起こったのかみたいなことが、捜査してだんだん明らかになっていくっていう話なんです。これは、いろんな登場人物が出てくるんですけど、その人たちの関係性みたいのが、だんだん明らかになってくる中で、いろんな偶然が重なって、こういう結果になっていたみたいなことが、だんだん分かっていく面白さがあるというものです。なので、これが事件なのか、事故なのか、犯人らしい犯人がいるのかいないのかとか、そういうことも含めて、意外な展開と結末を迎えていくっていう、そういう面白さがあるタイプの作品なんで、これは普通の謎解きとは、また一味違った形の楽しみ方のあるサスペンス作品となってます。こう、スターが出ているとか、そういうことでは全然ないんですけど、「なんかこいつ怪しいな」と思ってるやつとか、「なんかめちゃくちゃいい人じゃん」とか思ってる人物だったりとか、そういうのが覆されていったりとかですね、そういうので、ちょっと思っているのと違う展開の方になっていく面白さがあるという作品となっています。
有坂:これあれだよね。観終わった後、「いや、すげぇいい映画観たよ!」って、熱く語られたこと、すごい覚えている。
渡辺:本当に!
有坂:ラストまで言っちゃうんじゃないかなっていう勢いで語られて。ドミニク・モルだよね、監督が。
渡辺:そうそう、これは本当にすごいよくできてるなっていう感じの作品なので、なんかちょっとサスペンスとかミステリーとか、そういうのが好きな方は、これもですね、なかなかいい作品なんで、これもあれかな、どっか配信で観られるかな。
有坂:観られるんじゃない?
渡辺:いろんなところで、配信とかでは結構やってる作品なので、観られると思います。
有坂:白の中に赤ね。
渡辺:うん、ちょっとその路線で来ました。
有坂:はい、じゃあ、そんな「殺人ものはもういいよ」っていうみなさんに、僕の4本目をお届けしたいと思います。4本目は、1987年のスウェーデン映画です。

有坂セレクト4.『やかまし村の春・夏・秋・冬』
監督/ラッセ・ハルストレム,1987年,スウェーデン,86分​

渡辺:うーん! はい。
有坂:これは、長くつ下のピッピとか、ロッタちゃんでお馴染みのアストリッド・リンドグレーン原作の映画版です。で、これあのリンドグレーンが映画版もね、脚本やってんだよね。
渡辺:そうだよね。
有坂:それを、ラッセ・ハルストレムという人が映画化したものなんですけど、ハルストレムっていうのは、有名なので言うと、ギルバート・グレイプとか、あとはジョニー・デップのショコラとか、今はもうアメリカを拠点に、あと最近だと​​僕のワンダフル・ライフとかをつくっている人です。もともとスウェーデンの人なんですね。で、スウェーデンのときに、この『やかまし村』シリーズとか、あと、マイライフ・アズ・ア・ドッグっていう映画で評価を高めて、アメリカに渡って、さらに名を上げたという人。なので、いわば彼の原点と言ってもいい一作かなと思います。もうこのパッケージのビジュアルのとおり、めちゃくちゃハートフルな一作で……。これは設定としては、小さな村が舞台です。家が3軒しかない、赤い屋根のね、家が3軒、こう並んでるんですよ。
渡辺:可愛い感じのね。
有坂:そう、その3軒しかない、やかまし村っていうところで育った6人の子どもたち、みんなそれぞれ家族は違うんですけど、でも、まるで一つの大家族のように育ったこの6人の子どもたちの1年間を追った物語になってます。
で、特別大きな事件が起こるとか、雪の中で殺人とか起こんないんですよ。
渡辺:(笑)
有坂:ではなくて、彼らの本当に日々の中、日常のちょっとしたことを丁寧に綴っていく、この映画は特にその春・夏・秋・冬ってタイトルに入ってるぐらいなので、まあ、春、エイプリールフールはね、ちょっと可愛らしい嘘をついて先生を騙したりとか、夏は、何やってたっけ? 冬の印象が僕は……。
渡辺:湖とかに入ってなかったっけ。
有坂:そう、湖だ。で、この冬のパートが、僕は本当に大好きで、学校へ行くときに吹雪で、もうこれ以上進めないみたいな。あれ、馬車で行くんだよね。
渡辺:うん。
有坂:時代設定は、映画の中で表示されないんですけど、スウェーデン出身の人に聞いたら、1800年代後半ぐらい。だから、ちょっとその暮らしも、今の現代的な暮らしとは違って、スウェーデンの人から見ても古き良きスウェーデンの風景って言ってました。そういう人たちの暮らしが観られるっていう意味で、その暮らしだったりとか、インテリアが好きな人にとってはたまらない一作かなと思います。で、冬のパートっていうのはメインになってくるのはクリスマス。そして、年越し、っていう流れになってくるんですけど、クリスマス・イブの朝は、なんかお風呂に入るのが習慣みたいで、なんかそれぞれがお風呂に入っていたりとか、実際クリスマスパーティーをやりましょうっていうとき、その3つの家が一つの場所に集まって、みんなでクリスマスのパーティーをやるんですけど、その準備のシーンから、ちゃんと映っている、描かれているんですね。なので、こう子どもたちはなんか親の手伝いをしていたりとか、クリスマスツリーね、もみの木を買いに行ったりとか、クリスマスのちっちゃい子とか、クリスマスの飾り付けを手伝ったりとかっていう、本当にもう観ていて、こう幸せしか感じなくてもう涙が出てくるみたいなタイプの映画になってます。
渡辺:うんうん。
有坂:で、ちょっとこれ1個だけ言っちゃうと、そのクリスマス当日を迎えるのは、やっぱりみんなは、もう楽しみで楽しみでしょうがない。「これ寝たら、明日起きたらもうクリスマスだよ」っていうときに、目を覚まして、カーテンを開けたら、もうね真っ白な雪が降っていて、もう絵に描いたようなホワイトクリスマスっていうシーンがあるんですよ。で、そのシーンは、僕、クリスマス大好きなんですけど、そういうタイプの人からすると、本当にもう一生に1回でいいから、クリスマス当日にホワイトクリスマスを迎えたいっていう夢がね。そこに映ってます。これ、かつて、キノ・イグルーでも上映したことがあって、青山にあった「オルネ ド フォイユ」というお店で。
渡辺:懐かしいね。
有坂:そこで上映したんですけど、そのときに奇跡が起きて、上映が終わって、お客さんといろいろ喋ったりして、一番最初にじゃあ、ありがとうございましたって帰った人が、入り口で「ああ!」って声をあげて、「あっ雪が降ってる!」って言って、映画と同じシチュエーションになったっていう、奇跡が起こって、「さっきのあのシーンと一緒だね」っていって、帰ろうとした人たちが、また一つになるっていう、そんなことも起こりました。
渡辺:今、思い出したわ。
有坂:あったよね。あれ、本当に鳥肌がたった。でも、本当にあの頃は僕らもまだ活動を始めて、3年目とか4年目、まだ経験もいろいろ浅いときで、僕ら来年で20周年なんですけど、もうそれ以降、そういう奇跡って結構起こるじゃん。
渡辺:そうだね。
有坂:映画と現実がリンクすることって結構あるので、その一番最初の衝撃が、この『やかまし村』の上映の後の雪の風景だったような気がします。ぜひ、なんだろう、カーテン開けたら雪が降っていたっていうだけで、人はね、幸せになれるんですよ。なんか、大っきなものを求めるとかじゃなくて。でも今ってなんかこうネガティブな部分でね、いろんな大変なことが起こってるから、なかなかそういう小さな幸せを見つけにくい時代かもしれないんですけれど、この『やかまし村』を観ると、改めてそういう日常の中に小さな幸せがいっぱい転がってるっていうのが再確認できると思うので、ぜひ観てほしいし、もう今映画のこと思い出しながら喋っていたら、ちょっと泣きそう。本当、僕、大好きな1本なので、DVDも持っているぐらい好きなので、ちょっと機会を見つけてね。配信では観られないかもしれないです。
渡辺:配信ないよね、ほぼほぼ観られる機会がないね。レンタルが残っているお店であるか。
有坂:でもね、これはそういう世界観が好きな人は、DVD買っちゃっていいと思う。高くなければ。もう1回観てどうこうっていう映画ではなくて、もうその節目、節目でやっぱり観返したいタイプの映画だと思うし、なんか家族でね、みんなで共有できたりすると、またこう幸せなイメージが共有できたりしていいのかな、という気もするので、ぜひ観てみてください。
渡辺:なるほど。
有坂:温めたよ。温かいほうに持っていきましたよ(笑)。
渡辺:俺も、それを入れていたんだけどね(笑)。
有坂:入れてないから後半でいいと思っていたけど、危なっ! そっか。
渡辺:そうなんですよ。どの路線で行くかみたいなのはあったんですけど。
有坂:振り切っちゃった。
渡辺:振り切っちゃいました(笑)。でも、どうしよう、ラストいきたいと思います。
僕の5本目はちょっと変えて、これは1983年の日本映画です。

渡辺セレクト5.『南極物語』
監督/蔵原惟繕,1983年,日本,145分

有坂:めちゃくちゃ変えたね(笑)。
渡辺:これは、映画館で初めて観たぐらいの作品かもしれない。グーニーズより前かもしれないかな。
有坂:そう、時代的にそうだよね。
渡辺:で、すごい覚えていて、これは、どういう話かっていうと、南極観測隊の話で、南極に行って犬ぞりで移動するので、犬をたくさん連れていくんです。もともと越冬隊という……高倉健が主人公で、南極で越冬するっていうのが目的で行くんですけど、天候が悪すぎてやっぱり帰らなきゃいけないってなって、でも、いろいろ事情があって、犬はもう残していかざるを得ないって言って、人間だけ帰ってしまうという、ちょっと悲しい出来事なんですね。それの南極のこの過酷さみたいなところが描かれた作品なんですけど、1年後、また南極に戻ってくるんです、観測隊が。そしたらなんと、2匹だけ生き残っていたっていう、それがタロとジロっていう兄弟犬なんですけど、それで「タロ! ジロ!」って言って、高倉健が号泣しながら再会するっていう、感動も待っている物語になります。で、本当に、フジテレビが初映画事業の第1作目で、それで大ヒットしたことで、フジテレビは本格的に映画事業を始めたっていう、きっかけになった作品なんですね。なので、当時も大ヒットしたぐらい、もう内容もすごく良くて、ほんとに「日本映画でこんなアクション初」ぐらいのものすごい、南極の、まあ実際の撮影は北海道なんですけど、雪崩が起こったりとか、その中でこう残された犬たちが、サバイバルが始まるんですけど、そこで実際にもうめちゃくちゃ子どもだったから、犬が死んでいくみたいな、泣きながら観ていた覚えがあるんですけど、その分、再会に感動したりとか、もうなんて言うんだろう、感情の起伏を、子どもながらにすごい覚えていて。
有坂:8歳ってこと? リアルタイムなら。
渡辺:そうだね。で、もうすごい映画に引き込まれた、本当に最初の体験ぐらいの思い出があります。だから、「高倉健もこういう人」みたいな。でも、この頃の高倉健って、やっぱり、みんなのイメージが確立されている頃で、不器用で無口でみたいな。そういう感じの主人公でしたけど、本当になんかすごい動物も好きで、犬もずっと飼いたいと思っていたぐらいだったので、犬のムツゴロウさん、そういう感じで観に行ったら、もう超過酷な生存競争みたいな話だったので、でも、スペクタクル感と、そこの先に待っている感動とかっていうのがね、本当に良かった作品です。
有坂:結構観られたね、配信。
渡辺:そうだね。これは本当に結構日本映画の中でも名作な方だと思うので、未見の方は、もうぜひ。
有坂:これ今、監督の名前見たら、蔵原惟繕ってさ、びっくりしたんだけど、その人って60年代とか70年代に割とこう低予算のアクション映画とかサスペンス映画とか、すごい面白いものをつくる、ほんと知られざる名匠みたいな人で、何年か前にね、再評価しようみたいな動きがある人だった。まさか『南極物語』やってたんだ。すごい、でも、やっぱり、ちゃんとこう実力のある人が、その積み上げたものも、そのメジャーのフィールドでやったっていう意味ではすごい理想的な映画だね。初めて知った!
渡辺:当時の日本映画だったら、かなり予算をかけた作品だからね。
有坂:そうだよね。映画、僕はその当時嫌いだったので、まったく観てなかったんですけど、そんな自分でも知ってたし、観た人からの感動はやっぱり聞いていたから、うちの弟とかはもう本当に犬も好きだからすごい号泣したって言っていたよ。
渡辺:そう。
有坂:そっか。最後に5本目でイメージアップを(笑)。
渡辺:イメージアップを図りました。
有坂:無理だよ(笑)。
渡辺:いやいや、無理とか意味わからん(笑)。
有坂:『南極物語』1本じゃ無理。あの4本は、ヘビー級の4本出されちゃあ。
渡辺:『Love Letter』を取られた時点で、プランが狂った。
有坂:『ファーゴ』のおかげで。じゃあ、最後10本目、僕のラストの作品は、日本映画をいきたいと思います。2007年のアニメーションです。

有坂セレクト5.『秒速5センチメートル』
監督/新海誠,2007年,日本,60分​​

渡辺:おお! なるほど。
有坂:これもちょっと、さっきの『やかまし村』と同じで、もう、作品を通して冬を描いているわけではなくて、あるパートの部分だけが冬で、雪で、本当に雪原もね、駅の電車から見えるっていうぐらいなんですけど、『秒速5センチメートル』を紹介します。これはまあ、新作もね、絶賛公開中、すずめの戸締まりも公開中の新海誠監督の2007年の、インディーズのころの代表作と言っていいかなと思います。これは3本の連作アニメーションになっていて、3本合わせて60分っていう、サイズ的にもすごくコンパクトで観やすい上映時間なんですけど、内容的にはもう結構ぐいぐいぐいぐいい、ちょっと悲しさとか切なさのほうに引っ張っていくタイプの映画で、僕は本当にそこが大好きな理由だったりしてるんですけど。一応、これは一人の少年が軸になった内容となっています。で、1部、2部、3部ってあって、その1部が、ある少女との出会いがあって、その少女と再会したくて、大宮から栃木かな、栃木まで引っ越した彼女に会いに行くって言って、電車で2時間もあれば着くところ、その日はね、昼から大雪が降っていて、途中で何回も電車が止まって、待ち合わせの時間に間に合うかな、やばい、また止まった。どうしようざわざわ。次、進んだらついにまったく動かなくなった。今だったら携帯で電話して「遅れるね」とか、LINEしてとかなんですけど、それがない時代なんですよ。だから、彼女に連絡が取りたくても取れない。これだけでドラマが生まれてしまう。で、やっぱり新海誠の本当に真骨頂と言っていいと思うんですけど、その美しい雪景色、映像とそこにかぶさる少年のナレーション。
渡辺:うんうん。
有坂:もうね、少年の切なさ。あとはその本当に日常会話で使わないような難しい言葉が入ってくるナレーション。なんだっけな、覚えられないからメモしたんだよな。これ、予告編でも使われているナレーションで、「僕たちの前には、未だ巨大すぎる人生が、茫漠とした時間が、どうしようもなく横たわっていた」っていうナレーションがですね、その雪で動かなくなってしまった電車の中で語られたりします。
渡辺:独り語りがすごいからね。
有坂:そう、もう基本、独り語りが多いので。
渡辺:男のね。
有坂:そう、その男の独り語りに共感できない男は、もう『秒速5センチメートル』なんて気持ち悪いって言って、批判する人もいっぱいいるんですよ。なんですけど、僕これ初めて観たときに、やっぱりその雪で動かなくなってどうしようもない。でも、その彼女への思い、もう会いたくてしょうがない彼女への思いがあるのに、どうしようもないっていう気持ちは、なんかすごい共感できるし、なんかね、彼が車窓から見ている風景が、本当にもう一面雪景色で、だんだん時間も暗くなって、夜になって真っ暗で、キラキラ雪がこう広がっている。雪の風景が広がっている。で、美しくて静かな雪の風景が余計に、なんか目に見える風景は静かなんだけど、彼の心の中はグツグツしているわけじゃん。そのコントラストがすごい面白いなと思った。うまいなと思った。これが例えば、渋谷とか新宿の人がいっぱいいる中だったら、全然観ている側の気持ちって変わってくると思うんだけど、あえてその極端な環境で、彼があれだけモヤモヤする。しかも、それが10代の男の子。「10代のころって、こういう感じだったよな」っていうのを、否が応でも思い出させられるっていう意味で、やっぱり新海誠っていうのは、まったく細田守とか、宮崎駿とは違った才能なんだなっていうのを、なんか再確認した一作でした。で、この流れの中で、後半、あの名曲、山崎まさよしの「One more time, One more chance」が流れるわけです。この曲はね、もともと映画で実は1回使われていて、月とキャベツっていう映画で使われて、あれもすごい印象的だったのに、もうそんなイメージができ上がっている曲を、さらに使ってしまうっていうところは、すごい大胆な監督だなと思ったし、そのイメージを更新してしまったじゃん。
渡辺:うんうん。
有坂:この曲聴くと、秒速だねってみんな言うぐらい。
渡辺:PVっぽい使われ方だよね。
有坂:そうそう、って言われていたよね。もうミュージックビデオだって、そこも批判されるんだけど、でも、その人が記憶をたどるときにさ、そこに曲を乗せているっていうことじゃん。それがあんまりにもぴったり合いすぎているから、ミュージックビデオって言われているだけで、表現としての強度はすごい強いし、1回観たら忘れないし、あの曲を聴くと映画のシーンも思い出して涙が出てくるみたいな、ところもあるかなと思います。この映画も、実はキノ・イグルーで上映していて、あの東京国立博物館の野外上映会で、これはもう5,000人ぐらいが集まった中で上映して。もうね、5,000人集まっているのに、静かなシーンではシーンとしてね。もうね、シーンとしているんだけど、なんかこう気配みたいなのをみんな感じながら、その中で聴いた「One more time, One more chance」はもうね、一生忘れられられないレベル、本当にすごい体験だなって、主催している側としても、思えるぐらいのものでした。これは野外で観るのにも、そういう意味では切なさがあるので、真夏っていうよりは、ちょっと秋に近づいてきた肌寒い野外で見るのには向いてる1本かなと思います。
渡辺:なるほど!
有坂:なんか話忘れたことないかな。うん。大丈夫です。これ、『秒速』は入っていた?
渡辺:『秒速』は、入っていなかった。なんか、結構春のイメージもあるじゃん。桜のね。
有坂:でも、やっぱり第一部の冬のパートが好きなんだよ、俺は。なんか、その話になるじゃん。「1話、2話、3話のどれが好き? 」みたいな、秒速でも。それで、「ダントツ1話」って言うと、結構みんなから批判というか、「ええ、それ?」みたいに言われたときに、「ああ、やっぱりなんか自分は根暗なんだな」って思った。ああいう、暗いエピソードがやっぱり好きだったりするし、それをどう表現するかっていうところがね、映画の面白さで、『秒速』はなんか、それが自分のこう感覚にピタッとはまったところがあったかなっていう。
渡辺:あのね、電車が単線みたいなさ、あの電車が雪で止まっちゃってみたいな。あれ、タランティーノだったら全員死ぬぐらいの感じ(笑)。
有坂:そうそう、本当、同じシチュエーションでも、やっぱりそこからのね、アウトプットが、本当に監督によって全然変わってくるってところが面白いところだし、今の順也みたいに、なんか妄想する楽しさってあるよね。「この監督だと殺しちゃうかも」とか、そこはね、その作品を観ていい悪いだけじゃなくて、特になんかピンと来なかったなっていうときに、なんか自分の想像力を働かせて、「この設定、この監督だったらこうしたかも」って思うだけでも、思えたらね、この映画を観られて良かったっていうきっかけにもなったりするので、結構おすすめの遊び方かなと思いますね。
渡辺:まあ、新海さんの新作もやっているしね、タイミング的には今観るのがいいかもしれないですね。
有坂:コメントで、「さっきのスティーヴン・キングの話と逆で、新海誠監督のノベライズってつまんないと長女が言ってました。映像表現の専門家ってことなんでしょうか?」
渡辺:ああ、なるほどね。
有坂:確かに、そのでも、さっき話した独り語りのナレーションの言葉遣いとかは、本当に独特で。それが合う合わないで、初期新海作品の評価って全然変わるじゃん。
渡辺:うんうん。
有坂:なんか不自然だって言う人もいるし、でも不自然でもね、映画は映画で作品として観て、それが今までにない新しい表現だなとか、逆にその言い回しだから、余計感情に、一周回って感情に響いてくるっていうこともあると思うから、そこはまあ、受け止める側によって違うとは思うんですけど、でも、間違いなくそのアニメーションとしての絵の美しさっていうのがベースであった上で、生きてくる言葉だなって気もするから、そういう意味では映像表現寄りの人なのかもしれないね。
渡辺:そうだね。まああと音楽とかね、その辺のリンクとかもかなりあるから、本当に映像タイプの人なんだろうなというのは思いますね。
有坂:「岩舟駅も行ったほど好きです」っていう人がいる。『秒速』の駅かな。
渡辺:すごいね。新海誠作品ってリアルなね。
有坂:そうそう、聖地巡礼ができる。
渡辺:そう、そのまんまが出てきますからね。それはねありますよね。
有坂:でも、ああいう新宿の風景とかさ、君の名は。とか、結構出てきましたけど、その駅前の看板とかも再現するじゃん。でも、あれは5年、10年経ったら、もちろん変わっていくわけで、その新海さんがその瞬間見た新宿の風景。その新宿の記録をアニメーションでやっているってところが面白いって気もする。
渡辺:あれは、なんかその時代の新宿を残したいっていう意味でもやっているらしいからね。
有坂:そういうアニメってないもんね。そこは新しさだよね。
渡辺:今回の『すずめの戸締まり』も結構ロードムービーじゃん。だから、九州から東北まで、いろんな都市を描いていっているっていうのも、結構その特徴かなと思いますね。
有坂:『すずめの戸締まり』観たときさ、予告編もCMも一切観てなかった。観てた?
渡辺:観てた。
有坂:じゃ、“椅子”は知ってた?
渡辺:知ってた、椅子。
有坂:まったく知らなかった。
渡辺:椅子、知らない人いないから(笑)。
有坂:いや、でもね、ちょっとごめんなさい。僕みたいに、情報をあえて入れていないっていう人は、ちょっと耳塞いでください。本当に衝撃で。
渡辺:いや、あれだけの露出量で、椅子を知らないってそれの方がすごいわ。
有坂:イケメンが椅子になるって超面白いと思ったよ。本当にイケメンなのになって。
渡辺:イケメン期間少ないからね。
有坂:そうだよね。でも、そこはやっぱり今のアニメっぽくてさ、アニメっていうか、今の作品っぽくて、イケメンはやっぱり美しいものをどれだけ映像で映してなんぼみたいな時代ってあったと思うんだけど、それを変えることで面白さが出るとか、その面白いみたいなものを求める時代ならではの表現だなと思って。しかも、可愛いじゃん、あの椅子。ちゃんと可愛いけど、イケメンなんだよなみたいな。だから、僕、かなりの衝撃。
渡辺:そうですか。
有坂:すぐに受け止めきれなかった。頭が真っ白になるぐらいの衝撃。
渡辺:よかったね、楽しんでるね(笑)。
有坂:日本で1番楽しんでいる。
渡辺:へえ、じゃあ、ダイジンもびっくりした?
有坂:ダイジン?
渡辺:猫。覚えてないじゃん。
有坂:いや、椅子があって、そりゃびっくりですよ。
(コメントみながら)「あっ、わかる。次女は新作にどハマりしています」
有坂:次女。さっきのは長女なんだね。長女も次女も、アニメーションが好きなのかね。新海作品好きとか。
渡辺:じゃあ、早速観てほしいね。
有坂:あっ、もう10時過ぎてる。はい、ということで、今回の10本は順也は殺人ものばっかりということで、でも、それぞれ順也がピックアップした、殺人ものは多分4本観比べると、やっぱりね、違いが観えてきて、「設定は同じだけど、これだけ変わるか」っていう部分は面白いと思うので、ぜひ観比べてほしいね。
渡辺:そうですね。

──

有坂:はい以上です。では、最後になにかお知らせがあれば。
渡辺:はい、もうちょっと年末が近づいてきましたけど、僕らはですね、毎年年末に「今年のベスト10」っていうのを発表し合う会っていうのやっているんですけど、ぜひ、みなさんにも今年観た映画、まあ、新作、旧作問わずでいいと思うんですけど、ぜひベスト10をつけてもらえたらなと思います。そうすると結構、観た映画の整理がついたりとか、また観るモチベーションになったりとか。
有坂:面白いよね。
渡辺:はい、するので、ぜひちょっとやってみてもらえると嬉しいなと思います。
有坂:特に、僕らは新作縛りでやっているんですけど、友だち、一緒にベスト10の発表会をやっている友だちの中には、あんまり映画を観られなかったって人もいて、じゃあ11本しか観られない中でベスト10を選ぶと、この10位から8位までは、ランキングには本当は入れたくなかったけど、不本意ながら入れたっていうのが、翌年のモチベーションになって、30本観たりするんですよ。だから、意外とたかがベスト10、されどベスト10で、選ぶなら、選ぶってのはやっぱり難しいんですけど、まあそこはゲームと思ってやってみると、意外と本気になれたり、より映画が好きになれたりするので、ぜひみなさんにもチャレンジしてほしいなと思います。
渡辺:なんかね、気になって、これ良さそうだなと思ったけど、見逃してたけど、相手が挙げてきたってなると。
有坂:悔しいよね。
渡辺:そうそう、「やっぱり良かったのか!」って。
有坂:そういうのが重なってくると、もうこの時期になる、もう追い込みの時期なので、観逃した映画とか、やっぱり、なんとかして年内に観たい。でも、まだ配信とかにもない。で、劇場を調べたら、宇都宮でやっているってなると、宇都宮まで観にいったりする(笑)。まあ、ぜひ皆さんもやってみてください。あと、あれは? 桐島は?
渡辺:桐島、部活やめるってよのちょうど10周年企画っていうのを、ちょっと金曜日から1週間だけ劇場で上映するっていうのを、今、フィルマークスで企画して。
有坂:僕らキノ・イグルー、二人でやっているんですけど、順也はフィルマークスって、映画のアプリ、そこの会社に普段勤めていて、そこでプロデューサーをやっていて、そこで企画した。
渡辺:そうなんですよ、結構今回のやつは、いろんな配給会社とかプロデューサーの人も協力してくれて、監督とかキャストとかにも応援コメントもらったりとか、そういうのもなんかできたりして。
有坂:インスタに出してたね、ストーリーに挙げていたね。
渡辺:そうなんですよ。ちょうど10周年企画っていうのをやっているので、この1週間だけなんですけど、お近くの劇場でやっている方は、ぜひ観てみてください。まだ観てない方は、本当におすすめの作品ですし。
有坂:いや名作だよね。
渡辺:で、当時無名だった仲野太賀とか松岡茉優とか、山本美月とか、結構、東出くんとかね、錚々たる俳優人が、当時新人として無名の役者として出ているのでね、ちょっと金曜に観に行ってきたんだけど、やっぱり改めて傑作だなっていう。本当によくできた作品なので、この機会にぜひ映画館で観られる方は、観ていただけると嬉しいです。
有坂:はい、じゃあ僕からは、キノ・イグルーのイベントは、年内に12月に結構あって、千駄木にある「HAGISO」ってところとか、あと水道橋の「ラクーア」、後楽園の「ラクーア」で、クリスマス24日、25日の2日間はラクーアで野外上映会をやります。まあ、そういうのもあるんですけど、1個ちょっと紹介すると、あの12月の17日の土曜日に自由が丘にある「IDÉE SHOP」でイベントをやります。これは、今年銀座の無印で開催した「secret of cinéma」という、かなり振り切った実験イベントがあって、それの第2回として、今度は場所を銀座から自由が丘に変えてやります。で、「secret of cinéma」なので、上映作品はシークレットです。会場も「IDÉE SHOP」のどこでやるかっていうのは、行ってみないとわからない。で、どんな時間が待っているか、どうやら上映だけではないんですよ。本当は、こうめちゃくちゃ喋りたいんですけど、それはやっぱり、あえて来てみてからのお楽しみっていうスタンスでイベントをつくっています。これは、IDÉE と無印って今一緒になっているんですけど、そのチーム、そこの会社で、「Life in Art」っていうプロジェクトが立ち上がって、生活の中にもっとアートをとり入れたいっていうコンセプトを持ったLife in Artと、キノ・イグルーのコラボレーション企画の第2弾です。あの今って、例えば、「じゃあ飲みに行こう」とか、「カフェ行こう」ってとき、食べログ1回調べて、★をチェックするとか、映画も誰かの評価を見てから選ぶとか、どうしてもその情報を1回入れてから選ぶっていうのが、当たり前になっているんですけど、それで本当にいいのかなっていうところに対してのアンチテーゼとしてのイベントでもあります。何にも情報がないとこんなに新鮮なんだと、さっきの僕の『すずめの戸締まり』の椅子の話と一緒です。
渡辺:(笑)。
有坂:なので、そういう新鮮な映画体験は、その日、その瞬間にしか体験できないものなので、2022年にそんな体験を最後にしたいなという方は、ぜひお待ちしてます。ちょっとまだ僕らの方では情報を上げれてないんですけど、IDÉEの方では、もう情報も上がっています。予約も受付が始まっていますので、ぜひお待ちしております。

──

有坂:ということで、12月分の「ニューシネマ・ワンダーランド」は、これをもって終了です。年内は、1月分の「ニューシネマ・ワンダーランド」が、年末12月のクリスマス以降かな、にやる予定なので、年内にもう1度お会いできると思います。今度は多分、「勝手にアカデミー賞」ね、去年もやった、1年間を振り返る企画も予定していますので、ぜひまたお会いできたらと思います。では、今月の「ニューシネマ・ワンダーランド」は、これをもって終わりたいと思います。みなさん、どうもありがとうございました!
渡辺:ありがとうございました! おやすみなさい。
有坂:おやすみなさい。ワールドカップ、楽しみましょう!笑


選者:キノ・イグルー(Kino Iglu)
体験としての映画の楽しさを伝え続けている、有坂塁さんと渡辺順也さんによるユニット。東京を拠点に、もみじ市での「テントえいがかん」をはじめ全国各地のカフェ、雑貨屋、書店、パン屋、美術館など様々な空間で、世界各国の映画を上映。その活動で、新しい“映画”と“人”との出会いを量産中。

Instagram
キノ・イグルーイベント(@kinoiglu2003
有坂 塁(@kinoiglu)/渡辺順也(@kinoiglu_junyawatanabe


月刊手紙舎トップへ戻る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?