vol.58 うつむくは一花もあらず【手紙の助け舟】
こんにちは。
喫茶手紙寺分室の田丸有子です。
不意に鼻をかすめる梔子の甘い香りに気持ちが和むこの頃、いかがお過ごしですか。
夏至
二十四節気は夏至(2022年は6月21日〜7月6日)に入りました。
一年で昼間の時間がもっとも長く夜が短くなる頃です。
夏至の頃に見頃を迎える花と言えば花菖蒲です。
先日、明治神宮御苑の花菖蒲を見にいきました。うっそうとした森を歩いていくと、目の前に広がる睡蓮の池や、なだらかな曲線状に植えられた花菖蒲田があります。その日は霧雨が降っていて、森の中は清らかな氣に満ちており、睡蓮も花菖蒲もみずみずしい濡れ色に変化していました。
花菖蒲をより艶っぽく見せる霧雨の演出が素敵で、こういう雨を昔の人はなんと表現したのかしらと気になり、同行していた友人に話すと「小糠雨という言い方があるわねぇ」と教えてくれました。傘をさしても落ちる雨音が聞こえないほど静かに降る細かな雨をそう呼ぶのだそうです。
その日の夜、早速、覚えたての言葉を使って友人に手紙を書きました。
ところで、今回のタイトル「うつむくは一花もあらず」は長谷川秋子さんの俳句から引用しました。
この俳句を読むたび、明治神宮で見た花菖蒲の凛とした姿を思い出し、私も背筋が伸びる思いがします。
ちなみに花菖蒲の花言葉は「良い便り」なのだそうですよ。
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