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京都「進々堂」【書きたくなる場所 07】

こんにちは。手紙寺発起人の井上です。

今日は、私のとっておきの「手紙を書きたくなる場所」をご紹介したいと思います。

京都大学のほど近くに、その喫茶店はあります。
お店の名前は「進々堂」。
歴史ある喫茶店で、いまでは京都府内に何店舗も展開していますが、私がおすすめしたいのは、その京大北門前店です。


進々堂 京大北門前店

外観は、レンガに包まれたフランス風の佇まい。
店内の内装はとてもシンプルで、白い壁に、深いブラウンの机と椅子がよく映えています。

まるで、中世のフランスのサロンのような趣がある店内。
実際、大学の目の前なので学生や先生も多く利用しており、その空気感を作りだしています。勉強したり、読書にふけったり、お話をしたり。思い思いに過ごしています。文談カフェのような心地よい雰囲気が、訪れる人に長居を促すようです。

90年以上、京都の若者を見守り続けてきたお店

お店の歴史を少しリサーチしてみると、「進々堂」のはじまりは大正2年とわかりました。創業者は続木 斉・ハナ夫妻。続木氏は、初めてパン職人としてパリに渡った日本人なのだそうです。左京区に第1号店を開店後、パリに渡り、そして帰国後の昭和5年に、京大北門前店をオープンしたのだそうです。

京都大学農学部横に斉がパリで見たカフェを再現。斉はこの店に「日本の将来を担う愛する学生たちに、本当のパンらしいパンと、薫り高いコーヒーを提供したい」との願いを込めた。フランス風の外装が施されたハイカラな店の出現に、当時の京都の人々はたいへん驚かされたという。
この店は、その後斉の長男・猟夫(株式会社進々堂初代社長)が受け継ぎ、現在は別法人「京大北門前カフェ進々堂」として、猟夫の孫・川口聡氏(弊社非常勤取締役)ご夫妻が継承して経営している。
― 進々堂 公式サイト「進々堂の歴史」より


開店から90年以上という長い歴史の中で、進々堂 京大北門前店は、今日までに多くの学生の語らいに耳を傾け、時代の変化を見つめ続けてきたことでしょう。長く居座ってしまうのは、見守られているという安心感のせいでしょうか。

いつ、どんな時も、居心地よく感じる場所

私も学生時代は、この進々堂にお世話になりました。
このお店のテーブルで、卒業論文を書きました。
夕方にはカレーライスで腹を満たした思い出もあります。

「進々堂」はどの時間も、変わらず居心地よく感じられるお店です。
朝は、陽の光が白い壁を照らし、店内はとても爽やかな光が立ちこめます。夕方になると、西日が机を輝かせ、店内をあたたかく演出してくれるのです。

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「手紙を書きたくなる場所」を挙げるとしたら、
このお店は欠かすことはできません。

一番のお気に入りは、存在感のある机と椅子です。
ナラの木からできておりは、ずっしりとした重みがありながらも
多くの人の手に触れた柔らかさのある質感です。
横幅が長く作られており、歴史ある学校の食堂を思わせます。

お客様同士で、場所を空けあったり。
向かい合って話す時もあれば、横並びに座って語り合う姿も見られます。

それぞれが自分の時間を楽しめる場所。
一人でいても、孤独を感じない場所。
「進々堂」は手紙を書くのに、本当にぴったりの場所だと思いました。

そしていつの日か、この進々堂が、私が理想とする喫茶店の姿になっていました。そのお話は別マガジン「喫茶手紙寺分室ができるまで」の中で、お話したいと思います。

あなたの #書きたくなる場所 をnoteに綴って教えてください。ハッシュタグをつけて投稿いただいた記事を喫茶 手紙寺分室のマガジンに載せさせていただきます。

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井上 城治 | 手紙寺 発起人
1973年生まれ。東京都江戸川区の證大寺(しょうだいじ)住職。一般社団法人仏教人生大学理事長。手紙を通して亡くなった人と出遇い直す大切さを伝える場所として「手紙寺」をはじめる。趣味は、気に入ったカフェで手紙を書くこと。noteを通して、自分が過ごしたいカフェに出会えることを楽しみにしています。

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