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顎顔面頭蓋の発達と舌の関係性

顎顔面頭蓋の発達と舌の関係性について今わかっていることまとめときます!

顎顔面頭蓋の発達を考える時に重要となる2項目

舌は上顎に圧をかけることで上顎骨の発育→後頭骨の発育(→+頭蓋骨の発育)のための刺激をしています。ラッチオンさせたいのは浅飲みだと乳首が切れやすかったり、飲みづらかったりなど様々理由はあると思いますが、上顎骨への刺激という点でも有利だからかなと思います。
そもそも骨は刺激(メカニカルストレス)がないと成長しません。上顎骨が受ける直接的なメカニカルストレスは咀嚼(+哺乳)です。

もうひとつ顎顔面の発育のキーワードとして大切になってくるのが呼吸。副鼻腔の閉塞は代償性の口呼吸を引き起こし、中顔面の劣成長に繋がります。そして気道の解放のために頭位が変化し不良姿勢を誘発。お口ポカンや低位舌の問題に対して「口腔機能発達不全症」と言う病名がつきましたが(2018〜)、鼻呼吸をしていける顎顔面の発達に舌圧は必ず必要になってきます。人体にはO2が必要ですが脳が感知しているのはCO2の濃度なのでお口が空いてるだけで体内で利用できるO2量が減ります(→ボーア効果)。それに加え鼻腔と咽頭輪が働かないことによる免疫力低下、アレルギーの問題が挙げられます。

以上より舌は咀嚼と呼吸において正しく機能することで顎顔面頭蓋の正常な発育を促します。不正咬合はそのあと。発育の先に咬合がある。

発育の結果としての不正咬合

ヴァクシネーターメカニズムでも言われているように、歯の位置は歯が決めるのではなく、頬側の筋と舌圧の均衡によりその位置が決定されます。もっと言うと、平衡説では①口唇頬舌などの周囲筋の圧②咬合力③萌出力④習癖や矯正治療などで加えられる外力の4つの圧力の平衡状態によって歯列咬合が決定されるとしています。つまり口腔周囲の筋の均衡が成長発育に影響を及ぼした結果、不正咬合を誘発していると考えられます(→軟組織ストレッチ仮説も参考にどうぞ)。

抜歯矯正(が悪いわけではなくメリットもあることを理解した上で)後にしばしば後戻り→クラウディングするのも筋の均衡が取れていない場所に歯を並べるから。

ということはざっくり言って舌と頬側の筋のバランスが取れていれば(正しい発達が起こり)不正咬合は予防できるんですが、現代人は舌圧が弱い。舌圧が弱いので上顎骨が発育しない。上顎骨発育しないと中顔面が下方成長するし8番どころか7番も生えてこない。7が頬側にめちゃめちゃふれて生えてるのもスペースが足りなかった結果。そういう歯があるとガイドがおかしなことになってしまい、当該部位か対合歯が若くしてPかCかになってしまう。

舌圧が弱い原因の考察

出産の高齢化や低体重児の増加も一因ですが、出生後の発育の仕方も原因ではないかなと思っています。身体の発育が十分でなかったり、発育の段階を飛ばしていたり。その要因として住居環境の変化による腹ばい期間の短縮、便利グッズの台頭、そして間違った離乳食の進め方があげられるのではないでしょうか。これは社会的な問題も孕むので個々の家庭内の何が悪いと言う形で言いたくないし、もっと子どもにコミットできる社会構造であってほしいと思っています。

早く二足歩行を始めた子が下顎前突になりやすい原因として、舌をスポットに当てる力が重力より弱い状態で立ってしまったことで上顎骨が成長できず、間接的に後頭骨も発育できないので下顎を前に出すことで後頭骨を発育させようとしたりします。同様の理由で背中や肩、後頭部が緊張している子も受け口を取りやすく、こういった症例に対しては全身的な緊張の緩和も視野に入れMFTなどの指導を進めていけたら理想かなと思います。ただ、上顎骨の成長が80%終わってしまう5歳までに、歯科が介入することが難しい。口腔内の疾患と別のところで歯科と子どもが関われる場所があったら良いなあと考えています。

他に下顎前突になる原因として後頭部の絶壁による側頭骨の位置異常→顎関節の位置異常が挙げられますが、これも後頭骨が発育できなかった結果であると考えられます。SIDS対策、不正咬合の予防に仰向け寝が推奨されてるところしか見たことないけど、子どもの場合は自己調整もできなくなるので仰向け寝ばかりでもダメなのではないかと考えます。四足歩行の動物はうつ伏せ寝の方が血流がうまく回る。なので動物は仰向けには寝ない。ハイハイが四足歩行であるならば発達の段階に応じてうつ伏せ寝の方が向いている時期があるような気もするけれど、この辺はまだ自分の中で答えが出てないです。

上顎骨を発育させるために

舌が正しい力で上顎を刺激するときに上顎のロックが外れます。胎内の環境はとりあえず置いておいて、出生後の哺乳の仕方、抱っこの仕方、寝かせ方に気をつける。そして全身的な筋肉の発育を妨げない。立たせようとしない、座らせようとしない。自座はハイハイの後に出来うる発達です。今できることを十分に行い発達を見守る。

十分な咀嚼と嚥下の練習。ドロドロのものを食べさせない。食事の姿勢に気をつける。全身を使った外遊びの重要性。泥遊びは細菌叢の多様化にも繋がるので山とか畑とか行ってめちゃめちゃに遊ぶと良い。山とかなくても歩行は横隔膜の上下運動になるので呼吸と同じ。よく歩くこと。仙骨が動けば上顎骨が動きます。

和食中心の食事。アデノイドを腫れさせないよう遅延性のアレルギーにつながるものを大量に食べさせない。今のところこんな感じの結論に落ち着いています。手技でロックを外していくこともできるんだけど(と言うかしていたんだけど)、原因が舌にある場合いくら外しても日常の中でまたロックがかかってしまう。丁寧に子どもを観察し日常を振り返り、原因にアプローチできると良いなと思います。

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