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罪 第7話

【前回の話】
第6話 https://note.com/teepei/n/n356b3403caa2

はっきりしない僕の代わりに生田君が答えたんだ。
そうだ、それが正しい答えなんだ。
だって、男の人も怪我してるし、それに、復讐するっていってたからほっとけないよ。
でも、止めたら今度は僕らが危ない気がする。
男の人はきっと本気なんだから。

「じゃあ通報するか」
「おい生田、通報したら俺達もばれて、休みにプール入るなんてこと、二度とできなくなっちゃうんだぞ」
とても残念がるようにいうもんだから、なんだか僕らが危なくなるなんてことが冗談みたいに思えた。

「お前、本当に変わってんな」
そういうと、男の人はまた辛そうに体をよじるんだ。

「まあいいや、通報するんなら俺もそれまでだ、好きにしろ」
きっと、谷崎君のズレた感じで男の人もばかばかしくなっちゃんたんだな。
それにやっぱり辛そうだったから、きずの手当てがしたいのもほんとうなんだと思う。
そしたら生田君、こんなことをいいだすんだ。

「まずはきずの手当てをしませんか」
僕はおどろいたよ。
何がって、つまり保健室にいって、きずの手当てに必要なものを取りに行こうっていうんだ。
参ったね、何だってまた、見つかるようなことをしなきゃなんないんだい?それでも谷崎君は大喜びさ。
俺、行ってくるよ、って飛び出してった。
十分くらいしたら、彼、いわれたものを持って帰ってきた。

「ありがとうな」
男の人はそういって、シャツを脱ぎ始めた。
ものすごく痛そうで、僕は見てられなかった。

「慣れてるんですか」
まったく遠慮がないんだ、谷崎君は。
それに血だらけのところを見ても、何にもおもわないみたい。
まあな、っていって、男の人がきずの手当てをまだしてるみたいだった。
生田君も少し痛そうな顔をして、でもずっと男の人の方を見てる。
よし、っていったから、僕はもう一度男の人のほうを見た。
シャツをまた着ているところで、男の人が、確かにさっきよりしっかりしたように見えたんだ。

「さて、どうする」
男の人はさっきより落ち着いていて、もう復讐するなんて言わないみたいに見えた。
生田君もどう答えていいか分かんないみたいにしてた。
それから、
「もう少し泳ぎたいんです」
っていった。
ぼくは少し驚いたね。
だって谷崎君みたいにズレてる感じがした。

「じゃあ泳いでこようぜ」
って、谷崎君はすぐに走って出て行った。
ほんとうに彼には参っちゃうよ。

「あきれたな」
男の人は笑って、それで少し痛そうにした。
でもそのまま笑ってたんだ。
(続く)
【次の話】
第8話 https://note.com/teepei/n/n4159dd13c0d9

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