縁は異なもの味なもの
普段はアムステルダムに住んでいる友達が一時帰国して滞在している大阪までやってきた。
「アムステルダムまで行ってこいとはなかなか言えないから今のうちにたくさん会っておけ」と送り出してくれた夫に感謝。
この友達とは大学時代に知り合ったので、途中20年以上疎遠になっていた時期はあるものの、既に30年以上の付き合いになる。疎遠になっていた20年の間に彼女はアムステルダムで仕事に就き、彼の地で結婚し、2人の男の子を立派に育て上げていた。
不思議なのは途中疎遠になったのにも特に理由がなければ、最近頻繁に連絡を取り合うようになったのにも特に理由はないのだ。
縁とはそもそもそういうものなのかもしれない。どんなに物理的に近くにいてもお互い声を掛け合うことすらなくすれ違うだけの人たちもいれば、どんなに距離が離れていてもつながりが継続する人たちもいる。
今回訪問している友達は美術に対する関心が高く、美術館に足繁く通い、美術館の学芸員による展示品に関するレクチャーなどにもしばしば参加している。
あるレクチャーに参加していた時、途中からグループに加わった女性がいた。レクチャー終了後、美術館併設のカフェのオーダーカウンターに友達が並んでいるとその女性が彼女の後ろについた。友達はその女性に「レクチャーの最初の方であなたが聞き逃した部分に面白い話があったのでよろしければお伝えしましょうか?」と話しかけた。女性は喜んで同意し、2人はひとときカフェにて美術に関する会話を楽しんだ。
その女性はたまたま仕事で東京から大阪に来ていて、少し時間が余ったため急遽その美術館のそのレクチャーに参加したらしい。色々な偶然が重なって2人はその美術館で出会い、ひとしきり美術の話に花を咲かせた後、連絡先の交換などはせず、「ではまたどこかの美術館でお会いするかもしれませんね」と言い合ってその場を離れた。
「そういうのが好きなのよ〜!」と嬉しそうに話してくれた友人の座右の銘は一期一会。
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