終わりと始まり
3月は、終わりと始まりの季節だと思う。
別れと出逢い。
卒業、旅立ち。
新たな門出。
花の芽吹き。
桜はあっという間に満開になって、
あっという間に散る。
始まりは3月だった。
そして、お別れも。
***
愛犬のりんは昨年の春、安らかに目を閉じた。
最期の2週間はとても苦しそうだったから、実は少しほっとしてしまった。
もう苦しまなくていいんだ、と。
彼女がうちにやってきたのは15年前の春。
誕生日が私と近くて、はじめから親近感があった。
それまで動物とのふれあいがなんとなく苦手な私だったが、りんが家に来てから変わった。
外で別の犬を見ても、可愛くて可愛くて思わず触りたくなるのだ。
「自分に子どもができると周りの子どももより一層可愛く見える」と聞いたことがあるけど、多分そういう感覚なんだろう。
***
りんがまだ来る前の数年間、我が家はなかなか崩れかけていた。
父が単身赴任でいない中、
母と姉が毎日強烈な言い合いをしていた。
母にも姉にも味方しつつ、板挟みの日々。
家の中が暗いなぁ、、と感じていた。
そこに突如現れたりんの影響力がすさまじかったのは、今でも覚えてる。
みんながりんに注目する。
誰かが不機嫌になってもりんがいると癒される。
空気が和やかになる。
それまで
(°_°)(°_°)(°_°)(°_°)
となっていた家族全員が、一瞬で
(^^)(^^)(^^)(^^)
という表情になる様は、もはや笑える程だ。
(上は父がもう単身赴任から帰ってきた様子)
犬がほしいと言い出したのは私じゃなかったけど、ペットを飼いたくなる人の気持ちは後から理解できた。
りんは我が家のアイドルで、
妹で、
娘で、
家族だった。
***
終わりは始まり。
それは「別れは寂しいけど新しい出逢いもあるよ!」という意味だと思っている。
けれど、"ずっと大切にしたい別れ"があるというのも幸せなものだなぁ。
花びらが混じった風に煽られて、少し目をこする。
空を見上げて君を想う。
春にふさわしい、晴れやかな気持ちだ。
こんな日は、家族みんなで過ごしたくなる。
***
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