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今日の曲 Chick Corea&Gary Burton『La Fiesta』

ジャズの巨匠、唯一無二のピアニスト、チック・コリア氏が、今月9日に亡くなりました。享年79歳。昨年5月、コロナ禍の中、無料配信で開催された東京ジャズ plusにて、お見かけしたのが最後でした。まだまだお元気そうに見えていただけに、残念です。

1. 名曲『Spain』

チック・コリアといえば代表曲の1つ『Spain』と思います。私もSpainからチック・コリアを知った一人です。全編通して感じる、情熱的で、哀愁感漂う雰囲気が大好きです。初めて聞いたのは、知り合いのビッグバンドでしたが、フラメンコを思わせる独特のリズミカルなテーマが、耳に残ったのを覚えてます。その後も、Return to Foreverはもちろん、
 ・GRP All Star Big Band

 ・Chick Corea & 上原ひろみ
 ・Michel Camilo & Tomatito
 ・佐藤竹善
  etc…

と様々な名演を聞きまくり、すっかりはまっていきました。が、自分で演奏するのは終ぞかなわず・・・。大好きだけど、弾けない、そんな個人的な永遠の課題曲となってしまいました。

2. 若手発掘、人財育成の名手

私が学生の頃は、ジャズピアノの為の教材は、今ほど豊富ではありませんでした。そのため、近年、無料でSpainの楽譜を提供したり、オンライン学校を設立したりと、チック・コリアが若手の人材育成に精力的になっているとのニュースには、とても興奮しました。

また、チック・コリアは才能ある若手の発掘、育成の名人としても有名でした。スタンリー・クラーク、ジョン・パティトゥッチ、デイブ・ウェックル、アヴィシャイ・コーエンなどなど、若いころからバンドメンバーとして一緒に活躍していた方は、次々と有名になりましたね。

私自身が教育・人材育成に携わった経験があり、人を育てることは体力、気力がとてもいると思っています。79歳にして、自ら学校を開き(しかも、オンライン)、教えるといったパワフルさは、尊敬です。しかも、それをやるのがチック・コリアって、通う方のモチベーションも上がるし、楽しいに違いない...素直にうらやましいですよ(笑)

チック・コリアのFaceBookには、最後のメッセージがあり、下記のような言葉が含まれていたそうです。

私の願いは、演奏や執筆、パフォーマンスがしたいという人たちは、それをしてほしいということ。あなた自身のためでなくても、ほかの人々のためにそうしてほしい。世界はアーティストを必要としているというだけでなく、ただ楽しいものだから


引用:毎日新聞 チック・コリアさん死去  
  「音楽で愛届けた」追悼 最後の言葉も

"ただ楽しいものだから"、すごく大切なことだと思います。楽しくなければ、やり始めるのも、続けるのも辛いです。何かを表現するということは"楽しいことなんだ"ということ、それが最初のきっかけでもあり、モチベーションの維持にもなる。最後の最後まで、"楽しんで"と伝えてくれようとしてくれていた、とても心に残る言葉になりました。

3. 今日の一曲

今日は朝から、Spainを繰り返し繰り返し聞いています。でも、今日一番グッときた演奏は、タイトルにあるChick Corea&Gary Burton『La Fiesta』でした 。巨匠たちによる、精緻の極致みたいなサウンドは、心地よい緊張感に引き込んでくれます。一方で、叙情的雰囲気の中、自由で、楽しそうなサビのフレーズは、広く、開けた場所になにかを解き放ったようで、チック・コリアさんの楽しそうな笑顔が思い浮かびます。安らかにお休みください。


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