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NPOのWebマーケティング

体当たりNPO運営記(27)2017年11月記
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森ノオトでは2015年度から毎年、なんらかの研修を受けているのですが、今年は地球環境基金の「戦略的Webマーケティング講座」に参加しました。事務局スタッフの宇都宮南海子さんは、赤ちゃんを連れ、また一時預かりを活用しながらがんばってフル参加しました。
ちなみに昨年度は同じく地球環境基金による、NPOの事業開発や寄付者獲得のための戦略構築支援の講座を受講しました。2015年度は神奈川県の「ボランタリーACEプログラム」に北原、梅原、島原の3名が参加し、そこで森ノオトの中長期計画を策定しました。2015年度に「NPO経営」の基礎を確立し、それを元にどう発展させていくかを、地球環境基金の環境NPO向けの講座で補完したとも言えます。ちなみに地球環境基金の講座を運営しているNPOサポートセンターは、ボランタリーACEプログラムの講師でもある多摩大学の松本祐一先生が理事をされており、わたしたちにとっては3年連続で松本先生にお世話になったという感じです。

森ノオト事務局では、自分たちでwebサイトを構築するコーディングの技術こそないものの、新しいシステムや仕組みには関心をもって、どんどん取り入れることをしています。

例えば、会計ソフトは、昨年の10月からクラウド会計システムの「freee(フリー)」を使っています。NPO初年度はエクセルで手入力、しょうもないミスばかりを繰り返し(計算式が途中でずれているなど)、年度末の締めの数字合わせで会計士さんがピクピクする、みたいな。2年目からは松岡修造さんのパッケージが目に眩しい「会計王NPO版」のソフトを使いました。しかし、勘定科目って何? 貸借対照表と損益計算書って何が違うの? というレベルの会計知識しか持ち合わせないわたしにとっては、普段使い慣れているMacとは異なるWindowsの使い勝手の悪さに辟易しながら、会計に苦手意識ばかりが募る状況でした。
そして、会計王に少しずつ慣れてきた2015年秋、Facebookに流れてきたのが「会計freee」の情報。NPO版が出たというじゃないですか。NPO運営している方はご存知かもしれませんが、NPOの会計は「事業部門」「管理部門」をわけて勘定科目を出し、さらに助成金などの部門ごとに収益を出さなければなりません。クラウドシステムならば、会計のためだけにWindowsを立ち上げる煩わしさからも解放され、普段使い慣れているMacから動かせる……と、二度目の会計ソフトのお引越しをしました。
その結果、大正解。慣れるまで2-3ヶ月かかりましたが、銀行のオンライン決済システムとも連携しているため、銀行に振込みがあれば自動的に仕分けが入力されるし、請求書を出すのもWebでできるし、今ではfreeeのクレジットカードも出てきたので、帳簿に移す作業が不要になり、ミスが大幅に減りました。

ほかにも、顧客管理はsalesforceというクラウドサービスを使っています。こちらは、森ノオトに関心を持ってイベントに参加してくださった方やメルマガ購読者、NPO会員さんの情報を管理できるもので、誰がいつどんなイベントに参加してくださったのか、それに対して私たちはどういうメールを送ったのかという履歴が残ります。エクセルのシートごとに顧客情報が分散しないので、リピーターさんが森ノオトのどんな分野に関心を持っているかの履歴に紐付いてわかるのがとても便利ですね。しかもsalesforce社の社会貢献の一環で、NPOは利用料が無料なのです。

そして、地球環境基金のWebマーケティング基金で得た最大の成果は、Google for Nonprofitを使えるようになったことです。もはや私たちの生活はGoogleなしでは成り立たないというくらいに検索をはじめ、Gmailやカレンダーなどさまざまなwebサービスを提供しているGoogleが、これまた社会貢献の一環として、Googleの有料サービスをNPO向けに無料で提供してくれるという特典があります。この11月にスタートしたのはGoogle Ad Grantsです。Googleで何かを検索すると、上の方に「広告」が出てきますよね。この広告枠をNPO向けに月に1万ドル分まで無償で提供してくれるというものです。
森ノオトというwebメディアをいろんな人に知ってほしい。
森ノオトが生みだしたAppliQuéの商品を知ってほしい。
そんな時に、検索ワードの中から森ノオトを知らない人が森ノオトを見つけ出してくれることで、わたしたちの価値を拾い上げてもらえる可能性が出てきますよね。

10月には、メルマガもBenchmark Emailという仕組みに切り替えましたし、普段からスタッフ向けの連絡に使っていたFacebook社が出している「Workplace」という社内SNSの運用も10月からスタートしました。いずれも、NPO向けは割引or無料で利用できます。

NPOは、経済ベースには乗りにくいけれども社会にとって必要なことをやる、まさに公益のための団体です。今後人口が減少して、社会が縮退していくなかで、行政は税収が減り、これまでの行政サービスが満足に享受できなくなるリスクが指摘されるなかで、NPOが受け皿となり、社会に必要な仕組みやサービスを提供することが求められます。そんなNPOに対して、企業が持つサービスを無料または割引で提供することで、お互いが補完しあえる関係性が生まれます。

森ノオトは小さな団体だからこそ、「絶対に必要だけれども手間がかかる」ことをクラウドの力で省力化して、インターネット時代に生き残るNPOでありたいと思います。そして、実際に使ってみた実例として、わたしたちの得てきたノウハウを惜しみなく提供し、同じ志を持つ仲間たちに伝えていきたいなと思っています。

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