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なぜ、水戸は納豆が定着したのか?

結論

鉄道の発達とともに、おみやげとして広まって定着した。

7月10日は納豆の日

1981年、関西納豆工業同組合によって制定されました。関西地方では、納豆の消費量が少ないため、納豆を普及させるために制定されました。関西地方は、温暖な気候かつ日本海、瀬戸内海など、海が近かったため、タンパク質を魚介や野菜からとりやすい状況でした。納豆を作っても当時はメリットが考えにくかったため、関西地方では納豆が食べられてこなかったと考えられます。

水戸で納豆を学んだ

今回の記事のテーマは、「なぜ、茨城県の名物といえば、納豆になったのか?」。茨城県は納豆の生産量が日本一です。消費量も上位です。

水戸市の納豆なんでも展示室で水戸の納豆を学びました。水戸市の納豆なんでも展示室は、天狗納豆というブランド名でさまざまな納豆を製造、販売している株式会社笹沼五郎商店の本社に併設されています。無料で水戸の納豆の歴史から納豆の効能、料理について学ぶことができます。

天狗納豆の直売所があるため、おみやげに買うことができます。最後に紹介する藁包み納豆、干し納豆などバラエティに富んだ納豆を買うことができます。水戸駅ビルのお土産屋さんでも販売されています。

納豆の歴史

納豆の誕生

日本の納豆は平安時代とされています。しかし、2000年前には誕生していたとも言われています。ある人が、煮豆をワラの上に落として放っといたところ、煮豆から糸を出しているのを見つけました。もったいないと思い、食べてみたらおいしかったから誕生したと言われています。発酵と腐敗は食べても体調を崩さないか崩すかです。見た目ではわからないです。最初に食べた方に感心します。

水戸納豆の歴史

江戸時代、水戸藩主徳川光圀(水戸黄門のモデル)は自然災害や飢饉があったときのために備蓄食として梅干、蕎麦、納豆を保存していたと言われています。納豆は冬の保存食として食べられていました。ちなみに、保存食としての納豆は、東北地方でも作られており、現在も東北地方を中心に東日本で消費量が多い理由の一つにもなっています。

水戸の名物として納豆が全国に知られるきっかけになったのは、明治時代です。水戸天狗納豆の創業者、初代笹沼清左衛門が「江戸で好んで食べるものに糸引き納豆というものがある。」と知り、ビジネスチャンスになると思いました。仙台で製造方法を学んで、独自の製法で糸引き納豆の商品化に成功します。1889年、天狗党(反幕府派につき、水戸藩兵の緒生党と対立していた派閥)の名にちなんで、天狗納豆という商標で売り出しました。天狗のように強く負けないこと、天狗党とは、幕末の水戸藩で諸生党と対立していました。

水戸鉄道(現在の水戸線)水戸〜小山間の開通により、旅のおみやげとして販売することを考えます。水戸駅で納豆売りの少年を雇って販売し始め、日本鉄道水戸〜田端間(現在の常磐線の元となった路線)の開通とともに、天狗納豆は人気になり、全国に知られるようになりました。

大正時代、純粋培養した納豆菌を衛生管理の整った容器の中で培養する方法を開発し、量産できるようになりました。

水戸納豆の特徴

小粒がメインです。小粒の大豆は台風シーズンに入る前に収穫でき、水害のリスクを減らすことができます。 早く出荷できるため、値段も安く抑えることができます。

なぜ、納豆は糸を引くのか?

稲わらについている納豆菌という微生物の力によって、大豆中のタンパク質がうまみ成分の一種グルタミン酸、糖質の一種フラクタンに分解されます。納豆の糸の正体はポリグルタミン酸です。ポリグルタミン酸は、グルタミン酸が長く繋がった物質です。かき混ぜることにより、結合が切れてグルタミン酸に分解されます。納豆菌は高温多湿の環境を好み、繁殖力が非常に強いです。最も活発に繁殖する40〜42℃に保つことによって1日で煮豆から納豆が完成します。

納豆をよく混ぜて糸を引かせるほどグルタミン酸が増えて旨味が増します。JA全農が発行している日本一うまい米の食べ方大全によると、400回までは美味しくなると言われています。糸が増えることによって滑らかになります。しかし、混ぜすぎると、豆がつぶれていき、舌触りが悪くなり、美味しさが落ちます。

夏は長時間、外に持ち歩いたり、冷蔵庫から取り出して放置すると、発酵してしまいます。味や香りが1,2日で変わってしまいます。賞味期限は製造後1週間です。買って早いうちに食べたほうが美味しく味わえます。

納豆は栄養豊富な食品

発酵によって、大豆内のタンパク質が身体に吸収されやすい栄養にもなります。継続して食べることにより、腸内に届き、ビフィズス菌などの善玉菌のエサになり、整腸効果を高めるとされています。

夜に食べたほうが効果があると言われています。納豆には、ビタミンB、K、ナットウキナーゼ、アルギニン、レシチンが豊富です。アルギニンは睡眠中にダメージの修復、成長ホルモンの分泌が期待されます。ナットウキナーゼは、血管内にできやすい血栓(血の塊)を防いで、脳卒中、心筋梗塞などの予防、レシチンは脳の機能の向上による記憶力の向上が期待されます。

1パック(3食分)100円払えば、お釣りが出るほど、コスパによいです。近年の健康ブームにより、関西地方でも納豆が食べられるようになっていきました。

納豆にちょい足し

日本一うまい米の食べ方大全によると、酢を加えるとさっぱりします。マヨネーズを加えるとコクが増します。キムチとチーズを両方加えると、発酵食品の力が増強します。

天狗納豆によると、ネギ、ワサビ、ニンニク、ショウガ、青じそ、カツオ節という薬味を加えることにより、より身体によい効果をもたらすことが期待できると紹介されています。ワサビ、ニンニク、ショウガ、青じそは未経験の世界です。一歩足を踏み入れたくなりました。

納豆を使った料理

納豆汁

すりつぶした納豆を味噌汁に加えます。具材は、地域によって異なります。秋田県は味噌汁の具材には、蕨など山菜、キノコなと山の幸がふんだんに入ります。山形県では、芋がらが欠かせません。秋田県南部にも伝わり、正月には、雑煮の代わりに納豆汁を食べます。

そぼろ納豆

水戸市に伝わる伝統料理です。納豆に切り干し大根を加えて醤油、潮などで漬け込みます。ご飯のお供、お茶漬けで食べられます。各家庭で作られ、水戸市内のスーパーにも売っています。

水戸で納豆土産を買う

水戸市のスーパーでは、納豆コーナーで売り場面積で一番占めているのは、くめ納豆です。納豆のタレも販売されていました。タレは小さなボトルに入っており、持ち運びに便利です。砂糖多めの甘めのタレです。タレを絡めてから乾燥させた干し納豆もおみやげにピッタリです。

わらに包まれた昔ながらの納豆はおみやげとして楽しめます。お皿に移してから食べます。市販より強い納豆の香りが広がります。

 大豆の粒を残した粒納豆、大豆を細かく砕いて皮を除去してから発酵させたひきわり納豆も販売されています。


藁に包まれた伝統的な納豆

納豆の日に水戸で納豆が普及した理由とともに、納豆料理についても語りました。納豆汁は一種の味噌汁です。豚汁を作るときに、味噌󠄀と納豆を一緒に入れることもありです。

参考文献

  • JA全農 米穀部 監修,(2024),JA全農が炊いた! 「日本一うまいお米の食べ方」大全,主婦の友社

  • 金内誠,(2023) ,理由がわかればもっとおいしい! 発酵食品を楽しむ教科書,ナツメ社

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