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年末年始にやるべき!BtoBマーケティングの計画の立て方

年末ということで、そろそろ来期の予算や、マーケティング計画について考えたい方が多いのではないでしょうか。

BtoBマーケティングにおいて、計画の立て方というのはとても重要です。
過去のデータや今後の目標を明確にした上で計画を立てないと、せっかく立てた目標を達成することは難しくなってしまいます。

BtoBマーケティングの基本的な流れとしては、売上から逆算して目標数を決め、ターゲット決めや現状分析をするなど全体設計を行ったあとに、具体的な施策の立案をしていくことになります。

時々、具体的な施策から決める会社もありますが、売上の目標値とのずれが出てきてしまったりするため、あまりおすすめはしません。
「最終目標=売上」を常に頭において、これを達成するために必要なプロセスを数値化していきましょう。

今回は、BtoBマーケティングで重要なKPIの立て方、そしてそれを達成するための施策の選び方について解説していきます。

このnoteでは、テクロのインターン生がBtoBマーケティングに関する学びや情報を発信しています。前回のnoteでは展示会の運営について書かせていただいたので、そちらもぜひご覧ください!
【BtoBマーケター必見】学生インターンの私が、1から展示会運営を行った話|テクロnote

KPI設定の際に大切な7つのポイント

KPIの立て方を説明する前に、まずは意識してほしいポイントを7つ紹介します。
参照:BtoBマーケティングにおけるKPI設計のポイントを徹底解説 | テクロ株式会社

1.定量的な指標を設定する
「売上アップ」や「リピーターを増やす」といった抽象的な内容では、KPIの達成度合いが分かりません。
「売上30%アップ」や「リピート率を20%増やす」など、KPIは誰が見ても理解できる明確な数値と言葉で設定しましょう。

2.設定するKPIの数は最低限にする
「KPIはたくさん設定したほうが、状況を細かく把握できそう」と感じるかもしれません。
しかし、KPIの数が多すぎると一つの「KPI」の価値が下がってしまい、重要視されなくなる…ということがよく起こります。
KPIに序列をつけたい場合は単に「指標」という言葉を使うなどして、優先すべき数値がはっきりと分かるようにしましょう。

3.KGIとの関連性をもたせる
当然のことですが、KPIはKGIと関連性のある指標を設定しましょう。
KPIは、最終目標であるKGIを達成するための道しるべです。
必ずKGIから逆算し、必要なプロセスを数値化して、KPIとして設定しましょう。

4.現実的に達成可能なものにする
達成不可能な数値や環境に左右される数値を設定すると、取り組み方や課題の抽出、改善方法が分かりません。また、社員のモチベーションも低下してしまいます。
現実的な数値をKPIとして設定することで、コツコツと前に進めるようにしましょう。

5.事業フェーズ・マーケティングフェーズに応じて設定する
KPIを設定する際は、自社のビジネスがどの程度の規模・段階にあるかを考慮して、適切な指標を設定する必要があります。

例えば、オウンドメディアを例にして考えてみます。
KGIが「オウンドメディアでの売上1,000万円達成」の場合、設定すべきKPIは、オウンドメディアの運用フェーズによって変わってきます。
オウンドメディアを開設したばかりの頃はアクセス数が少ないので、SEOや集客施策に重点を置きます。具体的には、「半年で100記事公開」や「1年以内に月間訪問ユーザー数20万人達成」などといったKPIを設定するのが適切です。

その後訪問ユーザー数が増えてきたら、コンバージョン率を向上させる施策にシフトします。具体的には、「月間問合せ件数を30%増やす」「ホワイトペーパーの月間ダウンロード数を50%増やす」といった数値が目標となるでしょう。

6.責任者を明確にしておく
複数のKPIを設定した場合、それぞれのKPIごとに責任者を設けておきましょう。運営メンバー全員でKPIを管理していると、伸びない指標が放置されがちです。
KPIごとに責任者を設けておけば、進捗が遅れている場合に危機感を持ち、素早く改善施策を実行できます。

7.KPI達成の期限を決めておく
KPIに期限を設けていないと、他の業務を優先してしまい、いつまでも目標が達成されなくなってしまいます。逆に期限が設定できていると、進捗状況も把握しやすくなります。
KGIの達成期限から逆算して、KPIの期限も決めておきましょう。


以上が、KPI設定の際に意識して欲しい基本的な7つのポイントです。

このポイントは既に完璧に押さえている、という場合は、応用編として、ONE MEDIAのよごろさきさんのnoteがとても参考になると思います。
そちらもぜひご覧ください。
良いKPIを作るための7つのルール|#BtoB事業開発アドカレ|よごろさき| ONE MEDIA

KPI設定の流れ

大事なポイントを抑えたところで、いよいよKPIを設定していきます。
KPI設定は、以下の4つのステップに沿って行います。

1つずつ説明していきます。

ステップ1:売上から逆算して目標数を決める

ステップ1では、売上目標を達成するために獲得すべきリード数を計算していきます。

上の図は、受注を1件とるために何件リードが必要か考えたときの例です。

BtoB企業の一般的な目安として、商談化率は10%、そこからの案件化率は20〜30%、案件化したものからの受注率は20〜30%だとされています。

商談化率の定義は複数存在し、企業によって様々ですが、一般的に商談化率とは「有効リードのうち、商談に繋がった割合」と定義することが多いです。

これを計算式で表すと、次のようになります。
商談化率(%)= 商談化数(件)÷ 有効リード数(件)

同じく、
案件化率(%)= 案件数(件)÷ 商談数(件)
受注率(%)= 受注数(件)÷ 案件数(件) となります。

商談化と案件化が明確にわかれていない会社もありますが、案件化率とは「商談が進行し、クロージングのためにフィールドセールスへ引き渡せる段階に至った案件の割合」です。
実際に商談を重ね、契約するための具体的なアクションを起こそうとしている段階なので、こちらのほうが受注確度は高いといえます。

ここで紹介した数値というのはあくまで目安であり、業界や商材、単価によって商談化率や受注率は異なります。
また、リード獲得経路によっても商談化率は変わってくるため、明確な平均値は出ていません。

社内のこれまでの実績や業界の特性を考慮した上で、商談化率、案件化率、受注率を割り出し、売上から逆算して目標数を定めていきましょう。

ステップ2:ターゲットを決め、ペルソナを決定する

ステップ2では、ターゲット、そしてペルソナを決めていきます。

顧客にどういう課題があり、どういう方法で解決できるのか、自社に依頼する理由は何か、などを営業部からヒアリングすることで明確にしましょう。

ターゲットは必ずといっていいほど複数存在しますが、その中から優先すべき対象を選択します。

「誰の、どういう悩みを解決する商品を、どのタイミングで、どの会社に売っていくのか」をしっかり言語化出来ている企業は多くありません。
これが明確にならないと、どのマーケティング施策を打てばいいのかわからないので、大事な作業です。

また、ペルソナを作成することも重要です。

ペルソナとは、ターゲットとなる典型的な顧客像を架空で作り上げることです。
設定した人物を利用して具体的なユーザー分析を行うことで、主に「社内での顧客像の統一」と「商品の訴求力向上」という2つのメリットが得られます。

ペルソナとターゲットの違いが分からないという方も多いですが、ペルソナはターゲットに比べて人物像の設定の深さを具体的にします。
ターゲットは主に購買層の年齢や性別などを大雑把に決めますが、ペルソナはその人物が思い浮かぶように事細かく決めます。

ペルソナには企業ペルソナと個人ペルソナの2種類があります。
必要な項目は、企業ペルソナでは売上規模・業界・従業員数・部署など、個人ペルソナでは名前・役職・年齢・性別・担当者の抱えている課題や、どのように情報収集しているのかなどです。

イメージをつけやすくするため、家族構成や趣味、よく使うアプリや休日の過ごし方まで考えることもあります。

ペルソナの作り方をもう少し詳細に知りたい方や、自社のペルソナを見直したい方は、以下の記事をご覧ください。
BtoBマーケティングでのペルソナ設定の手順・ポイントを徹底解説 | テクロ株式会社

ステップ3:マーケティング施策の現状分析を行う

ステップ3では、マーケティング施策の現状を分析し、目標との差分を明確にします。

例えば、目標が月間リード獲得数200件であるのに対し、現状100件しか獲得できていないのであれば、このギャップを埋めるための施策を検討します。

各施策ごとのリード数や、施策ごとの1リード獲得にかかる費用を洗い出し、現状のマーケティング施策の課題を探ることで、適切な予算配分を行います。

売上目標達成への貢献度が高く、まだ獲得の余地がある施策は予算配分を増やします。
逆に、貢献度が低く、これ以上獲得の余地がないのであれば、予算配分を縮小し獲得効率を上げることを検討します。

また、施策を継続するか、停止するかの1つの判断基準として、「限界CPA」というものが挙げられます。

まずCPAについて確認しましょう。
CPA(Cost Per Action/Acquisition)とは、マーケティングの成果であるコンバージョンを1件獲得するためにかかった、広告費などのコストを表す指標です。
日本語では「顧客獲得単価」と訳されます。

限界CPAとは、広告費などのコストをかけてマーケティングを行う際に、CPAの上限がいくらまでであれば赤字にならない範囲で最大限CVを増やせるか、という基準になる指標です。
参照:「限界CPA」とは?「CPA」「目標CPA」との違いや計算方法について解説 | アガルートの企業研修・法人研修

限界CPAは、以下2つの式のどちらかで求めることができます。
限界CPA = 年間顧客単価 × 粗利率
限界CPA = 売上単価 - 原価 - 経費

限界CPAは、マーケティング活動全般で好調・不調を判断するために役立つので、施策の効果を判断する際に活用してみてください。

ステップ4:カスタマージャーニーを構築する

ステップ4では、カスタマージャーニーを構築します。

カスタマージャーニーとは、顧客がサービスを認知してから購入するまでの消費者体験を一連の流れとして旅に例えた購買プロセスのことです。

興味関心・情報収集・比較検討・購入の4つのフェーズに分けられますが、それぞれのフェーズごとに異なる施策を展開していく必要があります。

例えば、まだ興味関心段階の人に商談の提案をしたところで受け入れてもらうのは難しいため、まずはオウンドメディアなどで情報を与えていくのがおすすめです。

既に他社との相見積もりを作成している比較検討段階の方には、メールマガジンで導入事例を送って見てもらうことで、導入後の成功体験をイメージしてもらうのが良いでしょう。

従来は、テレビを始めとした4大マスメディアを介して顧客と企業が出会い、パンフレットなどの資料請求に繋げていました。
しかし今では、顧客はSNSやWebサイトなど多種多様な媒体を駆使して情報を集めるようになり、企業との接点が増えました。

情報化社会により、顧客情報が簡単に手に入るようになった今だからこそ、万人に受けるのではなく、パーソナライズ化されたマーケティング施策を実行することが求められています。
そのためにも、カスタマージャーニーの構築は欠かせないのです。

KPI達成のための施策の選び方

これまでKPIの立て方を説明してきました。次に、そのKPIを達成するためには具体的にどんなマーケティング施策を選んでいけば良いのか解説します。

ここで紹介するのはあくまで一例であることを頭に置いたうえで、自社に合っていると感じた施策を選んでいただければと思います。

まず、BtoBマーケティングの施策ですが、かなりの数が存在します。

参照:SAIRU「BtoBマーケティングの手法大全 – 社内会議で使える77個の施策アイデア」

様々な施策に挑戦してみたくなる気持ちはわかりますが、あれこれ手を出してどれも中途半端になってしまう、というのは絶対にやってはいけないミスです。

KPI設定の流れの【ステップ2:ターゲットを決め、ペルソナを決定する】で説明したように、「誰に」「何を」知ってほしいのかを明確にして施策を選びましょう。

また、各マーケティング施策にかかる費用の相場については、以下の記事で解説していますので、こちらもぜひご参照ください。
デジタルマーケティングの費用相場は?10個の手法別に徹底解説! | テクロ株式会社

おすすめのリード獲得施策

まずリード「獲得」のための施策を紹介します。
リードには、潜在層と顕在層が存在します。(※潜在層と顕在層の間に準顕在層を設定する場合もあります)

カスタマージャーニーの中で、興味関心〜情報収集のフェーズにあたるのが潜在層、情報収集〜比較検討のフェーズにあたるのが顕在層です。

このとき、優先して獲得していきたいのは、課題が明確で受注に近い顕在層です。

顕在層におすすめのリード獲得施策は、
リスティング広告
②購買キーワードでのSEO対策
Webサイト・LP改善
④導入事例 
の4つです。

リスティング広告にもSEO対策にもいえることですが、検索キーワードの中でも購買の可能性が高い購買キーワードというものがあり、これを用いることで効率的に顕在層を獲得していくことができます。

また、サイトを見てもらうだけではリードを獲得したとはいえません。
リスティング広告であればLP、オウンドメディアを運用しているならWebサイトの改修と、導入事例を充実させていくことで、資料ダウンロードまでしてもらえるようにする必要があります。

導入事例を見てから問い合わせ・資料ダウンロードをする会社はとても多いです。
例えばテクロのHPでも、ページビューの10%弱は導入事例で、問い合わせの経路を見ても、一度導入事例を読んでいる方がほとんどです。

導入事例がないと、顧客からしても「この会社は本当に信用できるのか?」と不安になってしまうので、既存のクライアントが引き受けてくれる場合は積極的に導入事例を出していきましょう。

次に、潜在層におすすめのリード獲得施策は、
オウンドメディア
②ホワイトペーパー
ウェビナー
④展示会
の4つです。

オウンドメディアとホワイトペーパーは、ぜひセットで行ってもらいたい施策です。
関連する記事コンテンツに、ポップアップやバナー、入力フォームの埋め込みなどでホワイトペーパーへの導線を作ります。
その記事に興味が合って流入している方が多いため、ホワイトペーパーに対しても同様に「読みたい」と考えてもらえる可能性は高いでしょう。

ウェビナーは、共催ウェビナーやカンファレンスという形で実施することで、コストをかけずに他社ハウスリストを取り入れることができます。

共催ウェビナーについては、ferret oneのみやまさんのnoteが面白いのでこちらもぜひご覧ください。
共催ウェビナー実際どう?登壇したことない初心者が40回登壇を通して新規リード8,000件獲得できた話|みやま

展示会は薄いリードがほとんどですが、普段Web上では出会えないような顧客のリードを一度に大量に獲得できるため、潜在層の獲得にはとても向いています。

おすすめのリード育成施策

次に、リード「育成」のための施策を紹介します。

おすすめのリード育成施策は
既存の名刺のデータ化
②MAツールの導入
メルマガの配信
④ホワイトペーパー
の4つです。

歴史がある会社であれば、過去の名刺が手元にたまっていることがあるかと思います。
この既存の名刺たちは宝の山です。Eightなどの無料で使える名刺アプリでいいので、まずは紙の名刺のデータ化・リスト化を行いましょう。

名刺を交換した当時は購入意思が低かったとしても、時間の経過とともに顧客が抱える課題が変わり、自社の商品やサービスを求めてくる場合もあります。
名刺を頂いたら、マーケティング施策で適切にフォローを入れていきましょう。

併せて、MAツール(マーケティング支援ツール)を導入することもおすすめします。
集まった顧客情報を管理し、表示されている行動や数値を基に、どの層に集中的にプロモーションを掛けていくべきか戦略を立てることができます。

定額のコストが掛かる、ツールを使いこなすまでに時間が掛かる、というデメリットもありますが、人件費の削減や高度な分析が容易に行える点で優れています。

また、メルマガを配信するにあたってはコンテンツが重要です。
なんとかメルマガを配信したい!という気持ちはわかりますが、様々な会社がメルマガを送っている中、雑なメルマガを送っても読んでもらえません。

リードの熱量や興味関心別にリストを作成し、そこに合わせたコンテンツを送るようにしましょう。

「どんなメルマガを送ったらいいかわからない」「もうメルマガのネタがない」という方には、過去に反応の良かったメルマガの再配信や、ブログ(オウンドメディア)の記事をピックアップしたり、業界のトレンドニュースを送ったりすることをおすすめします。

潜在層向けのリード獲得施策でも紹介したホワイトペーパーは、メルマガで送ることもできますし、リード育成の文脈でも役立ちます。

まとめ

以上、BtoBマーケティングの計画の立て方をテーマに、KPIを設定する際に意識して欲しいポイント、KPI設定の流れ、そしてKPIを達成するための施策の選び方について解説してきました。

今回は全体的な流れを説明することを意識したので、個別のポイントや施策についてもっと詳しく知りたい!という方は、本文中でおすすめしている記事を読んでいただけると理解が深まると思います。

また、テクロでは今回紹介したマーケティング計画の立て方に加えて、計画立案でよくあるお悩みの解決策や、KPI設定でやりがちなミスと対処法をまとめたお役立ち資料を無料で配布しています。

今回のnoteの復習にもなるので、気になった方はぜひこちらからダウンロードください。
成功するBtoBマーケティング計画の立て方 | テクロ株式会社

ここまでご覧いただきありがとうございました。
年末に見られている方は、よいお年をお迎えください!
年始に見られている方は、今年もよろしくお願いいたします!









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