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幻の毒蛇

(ヘッダー画像はウィキメディア・コモンズより、ツチノコの【正体】のひとつに数えられている毒蛇・ヒメハブ)

日本には【ツチノコ】と呼ばれる未知の毒蛇の存在が各地に伝わっている。所謂【未確認動物】(UMA)と呼ばれる生き物のひとつだが、外国の未確認動物研究家の間では実在の可能性が高いと評されている。
【バチヘビ】【ゴハッスン】【カヤノヒメ】【ノヅチ】【ヨコヅツヘンビ】【タテクリカエシ】等、様々な別名を持つその毒蛇は、伝聞によると大きな三角形の頭部(三角形の頭部はクサリヘビ科の毒蛇特有の形状である)と太くて短い体、ものに巻きつく短い尾を有し、驚異的なジャンプ力(3メートルは跳躍するとか)を持つと言う。
外見的イメージについては、例えばアフリカ産の毒蛇ガブーンバイパーを連想すると良いかも知れない。つまり頭が相対的に大きく、胴体はどっしりとしていて太さの割に長くない。
但しツチノコはガブーンバイパーよりずっと小さく、細短い尾で木の枝に巻きついてぶら下がる事が出来る点が異なる。そして移動する時はシャクトリムシのような動きで前進する。
「チー、チー」と聞こえる細い声を立てるとも言われる。
蛇を寄せる時は匂いの強いもの(スルメ、人髪、味噌)を火に焚べると良いと言うが、ツチノコも御多分に漏れずこの匂いに惹かれる性質があるそうだ。全長は30〜100センチメートル程度と言うから、シマヘビの若い個体位か。

ワタクシ自身はツチノコの存在については否定も肯定もしない。21世紀になっても地球のあちこちで新種の動物は幾らでも見つかっているので「日本と言う限られた国土でもう新種なんて見つからない」と断ずるのは時期尚早ではないか…と述べるに留める。地球はまだまだ人間の叡智が及ばぬモノを幾つも隠し持っている。何処から何が見つかるか知れたモノではない。

このツチノコを巡っては、昔から見つけ出す為に躍起になっている自治体や個人が少なからず存在しているようである。特に自治体ともなると多額の賞金をかけて情報を集めていたりもする。バブル隆盛期の頃は2億円もの破格な賞金を科している自治体もあったらしいが、今となっては流石にそんな気前の良い自治体は存在しないだろう。日本は貧しくなった…様々な意味で。

ツチノコの【正体】についても様々な説がある。ある学者は「マムシが獲物を飲んで膨れた姿だろう」と言い、別の学者は「マツカサトカゲやアオジタトカゲ等の海外のトカゲを違法放流したものだろう」と言う(前述のトカゲはツチノコブームに前後してペットとして多数持ち込まれており、それらが野外に放たれて誤認された可能性は十分にあるそうである。但しマツカサトカゲやアオジタトカゲは毒蛇のような咬毒は持たない)。
因みに「ツチノコの死骸を見つけた」と言う触れ込みで自治体に蛇の死骸が持ち込まれ鑑定された事が数度あるが、いずれもヤマカガシの誤認だったそうである。ヤマカガシは敵に出会うと肋骨を拡げ、首にある毒腺を誇示する威嚇行動を取る。恐らくその状態で事故に巻き込まれた死骸がツチノコを思わせる様相になったのだろう。
中には「ツチノコと思われる蛇を食べた。頗る美味だった」と言う猛者の証言もあったそうだが、これはマムシを食べたのでは?と言われている。

更に、ツチノコには別の【正体】の存在が示唆されている。それは琉球列島に棲息するヒメハブと言う毒蛇である。
日本最大の毒蛇であるハブの仲間だが、ホンハブよりずっと小型で、前述のガブーンバイパー程では無いが胴体が短く頭が大きい体型をしている(但しかなり個体差がある)。

以前、場所は忘れたがネットの海で、【ツチノコ=ヒメハブ説】が存在するんだってね、と書き込んだ事がある。その時、ワタクシの書き込みに激しく口撃を仕掛けたユーザーが居た。曰く、

「ヒメハブは世間で言う程ツチノコに似ていない。似てると提唱した学者は目と脳味噌が腐っている」
「ツチノコは現存する蛇のいずれにも似ていない。そもそもツチノコは蛇では無い。爬虫類ですらないかも知れない。全く未知の生物である」
「現存する動物に未確認生物の正体を求める輩に未確認生物マニアを自称する資格は無い。そんな奴は地獄に堕ちろ」


ワタクシは「そう言う説もある」と言っただけで他に何も言ってないし、何なら断言もしていないのだが、何故此処まで悪し様に言われなければならなかったのだろう。未だに納得が行かない。
因みに、その"人物"は自宅で数十種類の蛇を飼育した経験がある、だからツチノコが蛇じゃない事は良く判る…と豪語していたが、ツチノコを追い求めている人々は、皆そんな偏執的な思考回路の持ち主ばかりなのか…偏執的にならなければいけない程ツチノコと言う生き物には言い知れない【魔力】があるのか。
どなたか調べては頂けないだろうか。

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