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2023年 マイ五つ星book

 

やだ、もうこれ最高!と認めるボーダーラインが日々高くなっているのか、
集中力や没頭力の低下によるものなのか、2023年に知り得たものの中で、
5つ星を付けられるものは多くはなかった。

それでもやっぱり、脳髄がしびれるような作品との出会いがたまーにあり、
それがあるから、マイニングが辞められない。

そんなしびれる作品が以下。
※注意※
例のごとくうる覚えの垂れ流しなので、誤字脱字はご容赦を!


国内、海外、ジャンル問わず何でも読みます。昨年読んでよかったもの。

・「プロジェクトヘイルメアリー」…きたこれ、マイSF小説ナンバーワン。お世辞抜きに面白い。本格シリアス宇宙SFで、バディもので、舞城ばりのドライブ感。とにかく主人公のへこたれない姿に助けられた。あとロッキーとかアストロファージとかウィルスとかまじ萌える。なんか読んでてガッツポーズ出たし、涙出たし、なんだこの充足感は。

・「七帝柔道記」…圧倒的ページターナー本。青春スポ根かなと油断してたらやられた。文学作品として秀逸。ウェットとドライのバランスが良すぎ。筆者がミラン・クンデラ好きというのがなんとなく頷ける。

・「いのちがけ」…戦国武将歴史もの。筆者は砂原浩太朗。藤沢周平の正統後継者。(←勝手に)。江戸時代の武士を瑞々しく描く手腕に定評があるが、個人的には、この戦国ものの、命のやりとりをもっと読みたい。戦場の描写が見てきたのかってくらいリアル。美文。

・「蝦夷地別件」…個人的に2023年は北海道から呼ばれた年。なんだか北海道を題材にした作品に多く出会った。その中のひとつで1995年船戸与一の作品。アイヌ民族を題材にしたこの小説、決して短くない話だが、一気に読ませられた。幕府という権力によって滅びゆくアイヌをドラマチックに描いた秀作。

・「線が血を流すところ」…海外小説。若い黒人の一卵性双生児の話。一心同体の二人が人生の進路をめぐり、やがてちぐはぐになっていく、遠い所の少し哀しい話。ハーモニー・コリンに映像化して欲しい、バッチバチのアメリカ文学。ネイサン・ヒルやコーマック・マッカーシー好きなら是非読んでほしい。主人公二人とも祖母をめちゃくちゃ大切に思っているところがいい。

・「蛇の言葉を話した男」…トールキン、ベケット、M.トウェイン、宮崎駿の世界にどっぷりとどうぞ。との紹介文。タイトルの通り、蛇語を話せる少年とその家族や一族の壮大なファンタジー。ちゃんとカタストロフィも用意されているので、エンタメファンタジーとして楽しめる。主人公の爺さん、クレイトスすぎる。すごい。


こうして振り返ってみると、ほんとうに小説だけになってしまった。一応断っておくと、ノンフィクションや雑学系も読むのだが、昨年は物語から得られる滋養が身体に効いた年だったんだなと何となく納得。

受動的娯楽は年を重ねると、だんだん飽きてくるらしい。そしてそれは本当なのだろう。
10代の頃あんなに好きだったアニメや漫画に今はもうそんなに情熱が湧かない。

若い才能が出てきたときに感じる僅かながらの既視感や、ニュースや時事問題にエンタメ性を見出す姿勢が、そういうクリエイティブなものから遠ざけるんだろうなという理由まで完結した2023。

だから2024年はちょい前のめりになって最高傑作を探そ。出会えたそのときはまた報告します。


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