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コミュニケーションにおける、対面とオンラインとの最大の違い

オンラインでの仕事が増えています。

とはいえ、ある調査では、2020年11月度のテレワークの実施率は、全国平均で24.7%だそうです。別の調査では、2020年10月度のテレワーク実施率が18.9%ですって。この数字を「低い」と見るか「こんなもんか」と見るかは議論が分かれそうです。(決して「高い」とは言えないと思うけど)

私は研修を生業としています。研修の多くは「対面か、もしくはあらかじめ録画しておいた映像を再生するe-Learningか」が主流でした。私が初めてリモート研修を実施したのは2001年頃でした(当時は Virtual Class と呼んでいました)が、その当時はインターネット環境が脆弱だったこともあって、浸透しませんでした。2020年度は、私が実施した研修の80%以上がリモート研修でした。

さて、研修にしても通常のテレワークにしても、対面でのコミュニケーションとオンラインでのコミュニケーションとは、どうも勝手が違います。対面でのコミュニケーションにおけるルールや成功法則をそのままオンラインにもってきても、ただ劣化するだけです。何が違うんだろう?色々考えたり実践したりした末に、ひとつの結論にたどりつきました。

まずは結論から

対面では、コンテンツよりもコンテキストが重視され、
オンラインでは、コンテキストよりもコンテンツが重視される

ということです。

コンテンツとは

ここでのコンテンツとは、「内容」を意味します。コミュニケーションでやりとりされる情報、知識、データ、意見、ノウハウなどのことです。いかにわかりやすいか、いかに正確か、いかにテーマに即しているか、ということによって、コンテンツの品質は変わってきます。

コンテキストとは

コンテキストとは、元々は「文脈」のことです。例えば「さかな」という言葉対して、魚屋さんが発する「さかな」という意味と、水族館の従業員の方が発する「さかな」という意味と、居酒屋の店員さんが発する「(酒の)さかな」という意味は、同じ「仕事をしている時に発せられる言葉」であっても意味が変わります。
ただ、コンテキストは今では様々な意味合いで使われるようになりました。コミュニケーションにおいては、コミュニケーションが行われている背景、緊迫感・緊張感、熱意、感情、といった「言外で伝えられるもの」という意味で使われます。

対面ではコンテキスト≧コンテンツ

対面におけるコミュニケーションでは、話し合われる内容はもちろん重要ですが、それ以上に話者の真剣さ、熱意、感情が重視される傾向にあります。「わが社の業績が昨年比5%減です」という事実を伝える際、ただ漫然と伝えるのと、たいしたことない、という雰囲気を醸し出しながら伝えるのと、大変なことになった、という雰囲気を醸し出しながら伝えるのとでは、受取り手の受け取り方、ニュアンスが変わってきます。「目は口ほどにものを言う」が実践されるわけです。

オンラインではコンテンツ>コンテキスト

しかしオンラインでは、例え相手の顔が見えているリモート会議であってもコンテキストの伝わり具合は著しく減少します。Slack や Chatwork のような、チャットを主としたコミュニケーションならなおさらです。ということは、対面でのコミュニケーションではコンテキストで伝えられていた部分の大半が、オンラインでのコミュニケーションでは伝えられないことになります。なんとかして、この差を埋めなければなりません。

オンライン・コミュニケーションではコンテンツを充実させる

今のところ、オンライン・コミュニケーションでコンテキストを(対面と同じように)相手に伝える方法を、私は確立していません。ある意味、LINEのスタンプはその部分を担っている偉大な発明であるような気がしますが、ビジネスの世界でスタンプを多用する文化はまだありません。となると、オンラインにおけるコミュニケーションでは、対面において「雰囲気」とか「空気」で伝えていたようなものまで、コンテンツに頼らざるをえなくなります。コンテンツをより充実させる必要があるわけです。

どのようにしてコンテンツをより充実させるか、ということを挙げればきりがないのですが、今回は3つの提案を。

伝えたいことをとにかくシンプルに。枝葉はできるだけ落とす
可能な限り図や絵を用いて、相手の直観に訴えかける
結論や意見には、必ず根拠を添えて。
ただしシンプルに。せっかくのオンラインなんだから、URLリンクなんかもふんだんに使おう。

対面には対面の、オンラインにはオンラインの長所、短所があります。それぞれをうまく使い分けて、新時代を乗り切っていきましょう。

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