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【ぼくは"元"航空管制官】ステージ5 ~管制官ってどんな人達?~

こんにちは。元航空管制官の田中秀和(たなかひでたか)です。
皆さんは管制官というと、どんなイメージをお持ちですか?ドラマ「NICE FLIGHT!」や「TOKYOエアポート」に登場する管制官役の様なイメージでしょうか。日本には航空局所属の管制官以外にも、陸海空自衛隊所属の管制官もいらっしゃいますが、私がこれまで会ってきた管制官達は総じてどこにでもいる普通の日本人であり、何かが一般人と異なる特殊な部類だとは全く思いません。

実際に私の周りにいた管制官達を例に挙げると、前職は警察官、郵便局員、雑誌編集者、保険の営業マン等々、多種多様な方がいらっしゃいました。新卒で管制官になっている方は決して多くはなく、何度も何度も航空管制官採用試験にチャレンジしている方も少なくない印象です。そういった意味では、「管制官になる近道は、決して諦めないこと」と感じています。ただ、管制官になりたくてなりたくて努力を重ねて夢を掴む方がいる一方、公務員試験の一環として受験し、業務内容もよく分からないまま管制官になっている人も一定数います。管制官が安定職の国家公務員やハイステータスな公務員と認識されているからかもしれませんが、私としては是非高い志を持って管制官になる方が増えてくれれば良いなと思っています。

なお、航空ファンと呼べる様な管制官は少なく、私みたいに望遠レンズを使って写真を撮る様な人は、70分の3くらいしかいません。かなり細かく具体的な数字ですが、私の実経験から得た数字です。これは航空ファンだと管制官になれない訳でもなく、航空ファンじゃないと管制官になれない訳でもない、非常に現実的な数字と言えます。私自身、航空保安大学校入学時は民間機についてはジャンボとセスナ位しか分からない状態でした。初めての夏のボーナスでコンパクトデジタルカメラを購入し、そこからドンドン沼にはまり込んでいった感じです。今ではすっかり航空ファンを自負していますが、実は航空ファン歴は人生の半分位しかないのです。

なお、採用試験で英語が科目立てされているだけあって、英語が得意な方は多いです。通訳の資格持ちや英文科出身者もいます。私自身の英語力はと言うと「海外旅行では困らない程度」と表現しており、管制官全体の中で言うと中の下又は下の上くらいの英語力だと思っています。なお、管制官としては英語力も大事ですが、航空機又は航空の知識も同じ位必要です。どれだけ綺麗な英語が使えても、パイロットが口にする単語の意味が分からなければ意味がありません。英語力と航空知識は管制官がコミュニケーション上必要とするものの両輪となっています。そういった意味で、航空ファンでかつ英語が得意な方は管制官に向いていると言えるかもしれません。なお、あと一つ能力を求めるなら協調性ですね。管制官はチームで働くため、協調性がとても大事です。とは言え、中には唯我独尊タイプの管制官も稀にいるので、笑えないところです。次のステージもお楽しみに。
Good day!!

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田中 秀和(たなか ひでたか)
1983年生まれ、愛知県出身。「ぼくは航空管制官」や「ぼくは航空管制官2」をプレイし、航空管制官志望を固める。2001年国土交通省入省、那覇空港での勤務を経て2008年から2020年セントレアで航空管制官として勤務。
2020年3月末に退職し、現在は全国の空港やミュージアムでの講演・トークショー、小中高校での職業講話、学童・児童センターで航空教室や紙飛行機教室等を実施する。テクノブレインではテクニカルアドバイザーを務める。
Facebookアカウント:元航空管制官のCafe&Bar準備室

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