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「Aクラスの人はAクラスの人を連れてくる」と言うけど、Aクラスってどういう人?

IT業界にはよく伝わる格言のようなものがあります。「許可を得るよりも許しを請う方が簡単だ」とか「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、プロジェクトをさらに遅らせるだけである」とかさまざまありますね。そのような格言の中に採用に関する言葉があります。

それが次の言葉です。
「Aクラスの人はAクラスの人を採用したがるが、Bクラスの人はCクラスの人を採用したがる」

先輩エンジニアや人事の人が口にしているのをなんとなく聞いたことがないでしょうか?
割と有名な言葉だと思うのでIT業界ではこれでなんとなく通じると思いますが、IT業界の外で話すとこれがまったく通じないのです。「Aクラスってなんですか?」「BとCの違いはなんですか?」「なんでBだとダメなんですか?」という始末。
とはいえ、私も人づてで聞いた話なので、自分も言語化はできていなかったので、一瞬調べました。

調べてみた

初出はわかりませんが、少なくともスティーブ・ジョブズがAppleに所属していた際に似たニュアンスの発言している映像は残っています。

それが下記の映像です。いくつかのインタビューが組わ合わされた映像で、タイトルは韓国語ですが本編は英語です。

[스티브 잡스] A급 인재와 B급, C급 직원의 차이 (한영 자막)
([Steve Jobs] AプレイヤーとBおよびCプレイヤーの違い)

映像の日本語訳

1
私の人生で気づいたことがあります。それは、本当に優れた人々はそんなことを心配しないということです。本当に優れた人々は、できるだけ最高の人々と一緒に仕事をしたいと思っています。できれば、彼ら自身よりもさらに優れた人々と。ねえ、それは私の見方です。もしも、あなたよりも劣る人々と一緒に仕事をすれば、自分自身が小さな国になってしまうということを知っているのなら、あなたが本当に成長するのは、自分よりも優れた人々と一緒に仕事をする場合です。

2
偉大な人々は自己管理ができます。彼らは管理される必要はありません。一度何をすべきかを知ってしまえば、どうやってそれを実行すればいいかを見つけ出します。彼らはまったく管理される必要はありません。彼らが必要とするものは共通のビジョンです。私たちは、自分の仕事を驚くほど素晴らしい人々を求めていました。一定のコアグループ、つまり10人程度の素晴らしい人々がそろったとき、そのグループに誰を入れるかは自己規制されます。そのため、私のような人の最も重要な仕事は、採用だと考えています。

3
良い人材を採用したいと思っても、彼らを雇うのに1年かかるようです。これは常にそうでした。Appleでも同様でした。最高の技術者やその他の人材の中にも、彼らをHPなどから引き抜くのに1年かかったりしました。マイクが賞を持っていると思いますが、彼を雇うのに1年半かかりました。でもそれは全て価値があることです。私が普通にやることは、本当に優れた人と出会うと、彼らを引き抜くのが難しいことです。そして、他の人を探してみても誰も彼らに匹敵しません。あなたがそのように素晴らしい人に出会うと、常にその一人と比較します。そして妥協すれば2番手の人に甘んじることになるとわかります。私は常に妥協せずにいることが最善だと考えています。そしてただひたすら頑張り続けます。だから、私たちはかなり進んでいると思います。今では会社を以前よりもはるかにうまく運営しているように感じます。私たちは間違いなく自分たちの失敗も経験しています。

4
あなたは本当に優れた才能スカウトでなければなりません。なぜなら、いかに賢くても、素晴らしいチームが必要だからです。そして、人々をかなり早く評価する方法を見つけ出し、人をあまりよく知らないままに意思決定を行い、彼らを雇い、そしてどうなるかを見て、自分の直感を磨き、助けることができるようにする必要があります。組織を構築するために、素晴らしい人材が必要です。

5
人生のほとんどのことにおいて、平均と最高の間のダイナミックレンジはせいぜい2倍です。例えば、ニューヨーク市で平均的なタクシー運転手と最高のタクシー運転手を比べると、最高のタクシー運転手なら目的地に着くのが平均よりも30%早いかもしれません。車の場合も同様で、平均と最高の違いはおそらく20%程度です。CDプレーヤーも同様でしょう。そういう意味で、2倍の差は人生の中で大きなダイナミックレンジです。ソフトウェアでは、かつてはハードウェアでも、平均と最高の違いは50倍から100倍にもなります。人生の中でこれほど大きな差があるものはほとんどありませんが、私が幸運にも自分の人生をそういうものに費やすことができたので、私の成功の多くは本当に才能のある人々を見つけることに依存しています。BやCクラスの人材に満足せず、本当にAクラスの人材を求めることです。そして、私は何かを見つけました。Aクラスの人材を集めると、彼らは互いに本当に仕事をしたいと思います。なぜなら、以前にそのような機会がなかったからです。そして、彼らはBやCクラスの人材と一緒に働きたくないので、自己規制され、彼らはさらにAクラスの人材を雇いたいと思うようになります。そして、これらのAクラスのポケットが増えていきます。これがマックチームのようなものでした。彼らは全員Aクラスの人材であり、非常に才能ある人々でした。しかし、今ではそれを言う人もいます。確かに、マックチームの多くの人々に話を聞くと、彼らは人生で最も激務だったと言うでしょう。中には最も幸せだったと言う人もいますが、私はチーム全体が、それが彼らの人生で最も強烈でかけがえのない経験の一つになると言うでしょう。ですから、持続可能ではないと感じる人もいます。

6
「誰かの仕事がクソだと言うと、それは一体何を意味するのか」
それは普通、その人の仕事がクソだということを意味します。
時には、私が「あなたの仕事はクソだと思う」と間違っていることもあります。
しかし、普通は彼らの仕事が十分に良くないという意味です。
私は、Bill Atkinsonの素晴らしい引用を持っています。
本当に優れた人々を手に入れると、彼らは本当に優れていることを知っているので、人々のエゴをあまり気にする必要はありません。
そして、本当に重要なのは仕事です。
そしてみんなが知っているのは、それがすべて仕事だということです。
だから、人々はパズルの特定のピースをやるように求められています。
そして、私が本当に良い人や本当に頼りにされている人にできる最も重要なことは、彼らの仕事が十分でないときに指摘することです。そして、それを非常に明確にし、なぜかを明確にし、彼らを正しい方向に戻すことです。
そして、あなたは、自分の自信と能力に疑問を投げかけない方法で、その仕事、特にその特定のものについての仕事が十分でないということを解釈する余地があまりないようにする必要があります。
そのチームの目標をサポートするには、彼らがした仕事が十分でないことを示すことが難しいことです。
そして、私は常に非常に直接的なアプローチを取ってきました。
だから、私と一緒に働いた人々に話を聞くと、本当に優れた人々はそれが役に立つと感じました。
一部の人々は嫌いでしたね。
しかし、私もまた、正しいことについてあまり気にしません。
私が気にするのは成功だけです。
だから、私と一緒に働いた多くの人が、私は非常に強い意見を持っていると言うでしょう。
彼らが反対の証拠を提示し、5分後に私が完全に考えを変えることがあります。
それが私の性格なので、私は間違っていることを気にしません。
そして、私が間違っていると認めます。
それは私にとってあまり重要ではありません。
私にとって重要なのは、正しいことをすることです。

所感

例の言葉に該当するのが5ですね。
一般的な職種ではパフォーマンスにおける平均と最高の差はせいぜい2倍程度ですが、ソフトウェア業界では平均的な人と比べ、50〜100倍と明らかに異なるレベルのパフォーマンスを出す人がいるので、簡単に言うとそういった人を採用しろとのことですね。このような高いスキルを持つ人々を採用することで、組織全体の成果を劇的に向上させることができます。

さらに、Aクラス人材の特徴としては、単にスキルが高いだけでなく、チームとしての目標や意欲を共有し、チーム全体が共に成長していく環境を作り出せることです。Aクラスの人たちは優れた同僚と働くことを好むため、結果としてチーム全体のレベルが向上し、さらなる成果を達成することが期待されます。

これらをまとめると、パフォーマンスが高いだけでなく、組織に欠けていたスキルや知識をもたらし、互いに刺激し合って成長する環境を作れるのがAクラスの人材ということになるのではないでしょうか? BクラスとCクラスの違いを考えると、どちらかの要素が欠けているとBクラス、両方とも欠けているとCクラスという感じでしょう。

言葉の定義だけしても採用はなかなか難しいものではありますが。

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