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ずっといると弊社の良さがわからない、ことへの対策と採用情報のジョハリの窓

こんにちは、緑川です。
今回は採用に関する情報の整理のお話です。エンジニア採用に限らず、採用活動は年々難しくなっており、対策や試作に悩んでいる採用担当者の方は多いと思います。

特に人事の場合ですと、社内に閉じこもりがちになので、新しい情報を得ることがなかなか難しかったりもします。そこで、様々な分析フレームワークを使いあの手この手で新しい施策やメッセージを打ち出そうと格闘することがあるかと思います。それらが以下のようなものですね。

  •  3C分析

  • SWOT分析

  • POD分析

  • キャンディデートジャーニーマップ

それぞれ解説します。

採用活動に使用する分析手法

3C分析

3C分析は、マーケティングや経営戦略の立案において広く使用されるフレームワークで、以下の3つの要素を指します。

  • Customer(顧客):広報者のニーズや転職市場のトレンドの特徴を分析します。

  • Company(自社):自社の強みや弱み、ブランド、技術力などを評価します。

  • Competitor(競合):競合他社の状況や動向、強みや弱みを分析します。

これらの要素を分析することで、自社の現状を把握し、競争優位性を高めるための戦略を策定することができます。採用においては採用ターゲットとなる人材市場(Customer)、自社の採用活動やブランド(Company)、そして競合他社の採用活動(Competitor)を分析することで、効果的な採用戦略を立てることが可能です。

SWOT分析

SWOT分析は、組織やプロジェクトの現状を評価し、戦略を立てるためのフレームワークです。SWOTは以下の4つの要素を指します:

  • Strengths(強み):組織やプロジェクトの内部における強みを特定します。

  • Weaknesses(弱み):組織やプロジェクトの内部における弱みを特定します。

  • Opportunities(機会):組織やプロジェクトの外部環境における機会を特定します。

  • Threats(脅威):組織やプロジェクトの外部環境における脅威を特定します。

このように、SWOT分析を通じて自社の強みや弱みを明確にし、外部環境の機会と脅威を把握することで、より効果的な採用戦略を立てることができます。

POD分析

採用活動におけるPOD(差別化要因)分析は、企業が競争力を持ち、優れた人材を引き付けるために特に重要です。以下は、採用活動におけるPOD設計のステップです:

  • 1. 競合他社の採用分析:競合他社がどのような採用戦略を用いているかを調査します。

  • 2. 自社の強みの特定:自社の採用活動における強みや特徴を明確にします。

  • 3. 差別化要因の選定:自社の強みの中から、特に候補者にとって魅力的で、競合他社が簡単には模倣できない要因を選び出します。

  • 4. コミュニケーション戦略の策定:選定した差別化要因を効果的に伝えるためのメッセージを作成します。

  • 5. 実行とフィードバック:策定した戦略を実行し、採用活動の成果をモニタリングします。

採用活動におけるPOD設計を通じて、自社の強みを最大限に活かし、競争力のある採用戦略を展開することが可能です。

キャンディデートジャーニーマップ

キャンディデートジャーニーマップ(Candidate Journey Map)は、採用プロセス全体において、求職者がどのような体験をするかを視覚的に示したものです。これは、求職者が最初に企業に興味を持つ段階から、実際に採用されるまでの各ステップを追跡し、その過程で求職者がどのように感じ、何を考えているかを理解するためのツールです。以下のようなステップで作成します。

  1. ターゲット候補者の特定:そのペルソナが求めるものや、期待していることを明確にします。

  2. 求職者のジャーニーのステージ特定

    1. 認知: 求職者が企業について初めて知る段階。例:求人広告、企業のウェブサイト、SNSなど。

    2. 興味: 求職者が企業に興味を持ち、さらに情報を収集する段階。例:企業の評判、社員の口コミ、会社説明会など。

    3. 応募: 求職者が具体的に応募する段階。例:オンライン応募、履歴書提出、応募書類の作成など。

    4. 選考: 書類選考や面接を通じて評価される段階。例:電話面接、一次面接、最終面接など。

    5. オファー: 内定が出される段階。例:オファーレターの受け取り、給与交渉、雇用条件の確認など。

    6. オンボーディング: 入社手続きや初期研修を受ける段階。例:入社書類の提出、オリエンテーション、初期研修など。

  3. 各ステージでのタッチポイントの特定

    1. タッチポイント: 求職者が企業と接触する具体的なポイント。例:ウェブサイトの求人情報、応募フォーム、面接官との対話、オファーレターの内容など。

  4. 各タッチポイントでの求職者の感情と考えの分析

    1. 感情: 求職者が各ステージで感じる感情を理解します。例:期待、安心、不安、ストレス、満足など。

    2. 考え: 求職者が各ステージで考えることを把握します。例:この企業で働きたいか、面接がうまくいったか、オファーに満足しているかなど。

  5. 課題と改善点の特定

    1. 課題の特定: 求職者がネガティブな体験をするタッチポイントやステージを特定します。

    2. 改善策の検討: 課題に対する具体的な改善策を検討します。例:応募フォームの簡素化、面接官のトレーニング、迅速なフィードバック提供など。

採用情報のジョハリの窓

これらの分析手法を使用すると、新たな施策が考えついたり、新たなメッセージが思い浮かぶかもしれません。それらを上長に提案したり、エージェントとの打ち合わせをしたりして、アウトプットする機会があるかと思います。しかし、これらの分析手法を何度も繰り返し行うと、新しい情報は枯渇し、すでにある情報をこねくり回して再利用したような施策やメッセージしか出てこなくなります。これが「もうずっと社内にいるから、自社の良さがわからない」という言葉につながるのです。

それは何故かと言うと、分析手法を使い、視野を広げ、視座を上げ、視点を変えたところで、人事や採用担当者が持っている情報には限りがあるからです。たとえ、現場の人を呼んで一緒に分析手法を試しても、あまり変わらないでしょう。

私たちは知らない情報は発信することができないのです。

これはざっくり言うと、対人関係における気づきのグラフモデルのジョハリの窓の考え方です。図で表している1の窓「開放の窓」は、すでに人事も候補者も知っている情報なのでこねくり回さなくても良いはずなのです。しかし、実際の業務ではこの1の窓を何度も発信するケースが多いです。それはなぜかというと、3は新たに発信しなければならないので手間がかかり、2・4の窓は普通にしていたら気がつくことができないからです。

本来なら、2・4にある情報を人事で早急に発見し、1に持っていかなければならないのです。それを行わずに分析手法だけに頼ってしまうと、同じような施策やメッセージになってしまいます。

それではどうすれば良いのかというと、会社の外から情報を得て、2・4の情報を自分たちで気がつく必要があります。

必ずやった方がよい情報収集

必ず行った方が情報収集としては下記の通りです。それぞれ解説します。

  • 転職口コミサイトのテキストマインニング

  • 入社者インタビュー

  • カジュアル面談

転職口コミサイトのテキストマインニング

転職口コミサイトにある情報をテキストマイニングを活用して、自社に対する外部からの評価を調査することは、採用活動において非常に有益です。特に今時の候補者は、ほぼ必ず転職サイトの口コミを確認しているため、これを無視することはできません。会社の内部にいる社員は、口コミが真実かどうかを見抜くことができますが、候補者はそれが真実かどうかを判断する手段を持ちませんので、口コミの情報がそのまま候補者にインプットされる可能性が高いのです。テキストマイニングを通じて、どのような評価が多いのかを把握し、ポジティブな情報があればそれを活用し、ネガティブな情報があれば口コミへの対応策を講じることが求められます。これにより、採用活動の改善や、企業イメージの向上を図ることができます。
しかし、この手法は口コミ数が多い企業でのみ有効な手法になります。

入社者インタビュー

入社者インタビューも新たな情報を得るには非常に有効です。社員なので、社外の人へインタビューするよりも手軽に実施できますし、実際に入社した当事者の視点を得ることができます。このインタビューでは、応募に至った背景や選考中の心理の変化などを深掘りすることができます。これにより、求職者がどのような動機で応募し、どのような要素が選考過程での心理に影響を与えたのかを具体的に把握することができます。さらに、この情報を基に、採用プロセスの改善や求職者に対するアプローチの最適化を図ることができ、より効果的な採用活動を展開するための貴重なインサイトが得られます。

カジュアル面談

カジュアル面談は、本来は形式ばらないリラックスした雰囲気で候補者と企業が互いを知るための場です。しかし、実際には選考を行っている企業もあり、面接のような質疑応答が行われてしまう場合があります。それは大変もったいなく、カジュアル面談はお互いを知る重要な場とするべきです。入社を考えている段階の候補者から得られる情報は非常にリアルであり、企業にとって貴重なフィードバックとなります。候補者の視点からの意見や感想を聞くことで、企業は自社の魅力や改善点を具体的に把握し、より良い採用活動を実現するための基盤を築くことができます。

終わりに

長年同じ企業で人事をやっていると、オウンドメディアやピッチ資料を作るなど施策ベースでの話をしてしまいがちですが、社内にある情報だけでなく、外部の情報を集めてやっと共感や問題定義、施策やツールの導入などができるのかと思います。

最後に個人的に、最近(?)ペルソナを作った後に共感マップを作るのも採用広報の活動としてはよいなと思っています。


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