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マウンティングに乗らない方法

 TechDoctor社内心理士(師)です。
 昨今、人種・ジェンダー・経済状況等に対する攻撃的な発言が多々見られるように思います。炎上する発言を批判したり、もしくはその発言内容に関係ないと思う人もいるかもしません。ただ、上下や階級を判別して立ち居振る舞いを決めたいという思い・考えは、働く人の間でも身近に存在するのではないでしょうか?
 今回は、上下を判断して相手より優位だとアピールするマウンティングについて扱い、マウンティングに応じない方法について考えました。

マウンティングとは

 マウントをとるという使われ方でも馴染みあるマウンティングという言葉。辞書には流通する意味でのマウンティングの定義がないのですが、自分の知識や経験をアピールし、相手より自分のほうが優れていることを暗に示す態度や言動と言えるのではないかと思われます。実際には、一見褒めているように聞こえて、相手を蔑視するような入り組んだ言動もあると思います。
 辞書にあったマウンティングの言葉の説明は次のようなものでした。

もともとのマウンティングの意味

・動物が自分の優位性を誇示するために相手の背中に乗ること
・猿では雌雄関係なくみられる


 動物の行うマウンティングには、群れの中のヒエラルキーを明確にし、背中に乗る側は背中に乗せた側に優遇してもらうことができ、背中に乗せた側は無為に攻撃され損害を受けることを避けられる効果があると言います。


マウンティングする心理

 本来の言葉の意味を知ると、色々と思い浮かぶものもあるのではないでしょうか?それを踏まえて、流通しているマウンティング(自分の知識や経験をアピールし、相手より自分のほうが優れていることを暗に示す態度や言動)をする心理について考えられるものを挙げます。
 マウンティングする人はその意識がない人も多いと思いますし、マウントをとられたと感じるかどうかも個人の主観です。状況によっても心情・意味は異なるかと思います。あくまでも仮説としてお読みください。

自分の努力や考えが正しいことを主張したい
 価値観は流動的に変わり続けます。昔の常識は今の非常識だったりします。しかしながら、これまで自分が自分の努力や信じてきた価値が無価値なものになることを危惧する人もいます。自分がそうならないように頑張ってきたことが認められている状況に、自己否定されているように感じることもあるのだと思います。自分のアイデンティティが脅かされるように体験されるかもしれません。

他人の背景を想像できず、自分は違うと主張したい
 共感性や想像力は人によって異なりますが、経験していないことを想像することは難しいものです。ただ、言うまでもなく、「経験していないこと」や「知らないこと」は「存在しないこと」ではありません。たまたま巡り合わなかったのかもしれませんし、知ろうとしなかったのかもしれません。そこを補うのが想像力なのだと思いますが、思いを馳せるよりも自分の持つ物差しで推し量るほうが労力を伴わずにできます。その際、よく使われる物差しとして、能力主義や功利主義があると思います。背景を思いやらず、能力主義や功利主義に基づき、「できることをしなかったから」「実践する努力が足りないから」「役に立たないから」「利益がないから」と原因帰属するということです。

マウンティングに乗らないために

 上げ足をとったり、嫌味で言いかえしたり、陰で悪口を言ったりして、マウンティングに反応してしまうこともあると思います。マウントをとられたことで生じた嫌な気持ちを否定する必要はありません。ただ、反応してマウンティングに乗ってしまうことで疲弊してしまう恐れもあります。マウントの取り合いには終わりがないからです。
 マウンティングに反応してしまうことは、相手の土俵に乗ってしまっている状態です。相手が主張するルール・価値観に則って勝敗をつけようと躍起になっているとも言えるかもしれません。

マウンティングに乗らない方法

 マウントをとる人に巻き込まれて疲弊しないために、具体的な方法として次のようなことをお勧めしたいと思います。

「私は〜」「あなたは〜」と感じたことを返す
 人それぞれに価値観や感じ方考え方は異なります。相手を否定する必要も自分を卑下する必要もないと思います。そして、評価するわけでもなく、自分はどう感じるか話し、相手が主張するその知識・経験についてどう感じるのかを聞き、それぞれの主観として扱うのがよさそうです。

話題を変える
 冷静に認め合うことが難しいこともあると思います。そういった場合、「~といえば・・・」と関連する話題に話を逸らすといいかもしれません。変えた話題でもマウントを取られたりまた話題を戻されるようであれば、第三者を話題に巻き込むのも方法です。「〇さんはどうだった?」と近くにいる人にその話題を振ってみると、話の流れが変わることがあります。張り合う相手としてロックオンされている状態なので、第三者を交えて場を変えましょう。

距離をとる
 それでも引っかかるような態度や言動が目に付く場合は、人間関係を見直すのもひとつの方法です。自分のほうが格上だと主張したいのは、優劣をはっきりさせたいライバルとして見られているからかもしれません。関りを少なくして、事務的で表面的に卒のないやりとりに抑えるのも一つの穏便な方法です。


 動物と違って、人にはそれぞれの生き方があり、創造性があります。企業でも、ダイバーシティやジェンダー平等が掲げられて久しいですが、変化するときに摩擦は生じるものです。勝敗や正誤で判断せず、多様性を認めて前進できるといいのではないかと思います。

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出典

鈴木公啓・本田周二「特性承認欲求の安定性の確認、および、状態承認欲求の行動規定因としての性質についての予備的検討」
石上友梨."マウンティングの心理とは?3つの事例から対処法を臨床心理士が解説".RE_ME.2019.05.16https://reme-nomal.com/article/67807/2/
「マウンティング」. 新村出.『広辞苑』第 6 版. 岩波書店,2008,p.18384 .
マイケル・サンデル(2021)「実力も運のうち 能力主義は正義か?」(鬼澤忍訳)早川書房



 


 


 

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