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今だからこそ抑えたい社員のメンタルヘルスリスクマネジメント(予防編)

※こちらの記事は、2020/5/24にメールマガジンで展開されたものです。

 緊急事態宣言から2カ月が経って解除も視野に入れ、段階的な経済活動再開が予定されるまでとなりました。しかしながら、感染リスクは未だ存在し、状況によっては再び緊急事態宣言が出される可能性も示されています。感染拡大前の日常を取り戻す前段階として、“withコロナ”の新しい生活様式を日常としていくことが求められています。今回は、変化が予想される今だからこそ抑えたい心身のリスクマネジメントについて話します。

「慣れてきた」その感覚にご注意を

 工夫を凝らし問題なく過ごせるようになってきたという社員の声を聞いたり、初期に比べて大きな運営上の問題も減ったように感じたりするようになってきたのではないでしょうか?
ストレスに対する抵抗力がついてきたのかもしれません。人や集団には恒常性を維持しようとするメカニズムがあります。個人レベルでは、ストレスを感じると、変化に適応しようと状況に対してストレス耐性を持つようになります。ただ、ストレスを感じる状況が持続すると抵抗力は衰えていき、心身の諸問題が発生するプロセスを辿ります。抵抗力が保たれる時期は1~3カ月だと言われ、「慣れてきた」と感じて調子が良いと思っていたところから、諸問題が生じてくる可能性が考えられます。慣れた感覚を得ているために小さな兆しを軽視しがちで、気づかないうちに不調を来たすことがあります。
もちろん、ストレスと感じる要因がなくなれば抵抗力が衰える前に回復できるのですが、いい環境変化もストレス要因になりえます。勤務形態の回復・変化そのものがストレス要因となりうるのです。生活条件の変更・勤務時間や労働条件の大きな変更によるストレス度は、引退や引越しなどに次ぐものと研究により明らかになっています。
働き方や運営方法は柔軟さを持たせながら徐々に移行させつつ、社員の不調の兆しに気づいて悪化を予防したいところです。

アンテナを張りたい不調のサイン

 抵抗力が落ちてくるとき、どんな不調の兆しが見られるのでしょうか。心と身体の側面から不調のサインをいくつかご紹介します。

不調のサイン

 症状があるか否か直接本人に尋ねても、部下は正直に答えづらいかもしれません。勤務状況や社内コミュニケーションの様子からもサインを拾えるように目を配ってみてください。社内保険スタッフの力を借りたり、アンケート調査を活用したりするのもいいかもしれません。また、立場の似ている社員や親しい社員同士だと自己開示しやすく、生の声が出やすくなります。レイヤーやチームなどで区切って雑談会を設けると、インフォーマルな会話のなかで小さな陰りが口にされることもあるでしょう。1on1に積極的に取り組まれている場合は、不調の発見に敏感になりすぎず、全うな反応として受け止める態度や、困っていること自体に耳を傾けてサポートする姿勢を示すことが、かえって奏功すると思われます。

いい取り組みをシステムに

 ストレスの感じ方はサポート体制があるか否かによっても変わります。これまでに色々な対策を講じられている場合は、個人・チーム・企業等の様々な単位で、フォーマル・インフォーマルな取り組みが多様に存在しているかもしれません。社内の取り組みを集約・評価し、いい取り組みを制度化されてみてはいかがでしょうか?

TechDoctorのサポート

 ストレス理論等の観点から今後予想されるリスクとその予防についてお伝えしました。
身体の不調の本人の自覚や社内の人間関係で心情を話すことは難しく、企業内でリスク管理を完結させるのは大変なことです。社員の福利厚生の一環としてメンタルヘルスケアをアウトソーシングする方法もあります。当社サービスSelfDoc.では、ウェアラブルデバイスによるフィジカルデータ計測や専門家への相談などにより、社内・組織の心の健康向上をサポートします。
 次回は、SelfDoc.についてご紹介するとともに、社内で実施いただける対策についてお伝えします。ご要望などについて是非お聞かせください。

【出典】

小牧一裕・田中國夫(1993)「職場におけるソーシャルサポートの効果」『関西学院大学社会学部紀要』67号p57-67
https://www.kwansei.ac.jp/s_sociology/kiyou/67/67-ch4.pdf(最終閲覧2020/5/24)
浦川加代子(2015)「知って得する!メンタルヘルス講座 ストレス対処力 (SOC) を高めるこころのストレッチ」『順天堂大学保健看護学部順天堂保健看護研究』3号P.62-66
八尋華那雄・井上具人・野沢由美佳(1993)「ホームズ らの社会的再適応評価尺度(SRRS) の 日本人における検討」『健康心理学研究』6号P18- 32
「ストレス反応とその対策マニュアル」福井大学こころの発達研究センター発達支援研究室https://tomoda.me/resources/earthquake_stress_manual.pdf(最終閲覧2020/5/24)


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