スクリーンショット_2019-03-26_10

【メンターインタビュー】「データサイエンティストは泥臭くてナンボ」チャットボットで接客自動化に取り組む研究員に話を聞いてみた〜TechTrainメンター#3 馬場 惇〜

TechTrainで活躍する社会人エンジニアメンターのインタビューを掲載しています。3人目はアドテク企業にて広告配信プロダクトのデータサイエンティストに従事しながら、研究開発組織を立ち上げ、現在国立大学の招聘研究員としてチャットボット・ロボットによる接客自動化に従事している馬場さんのインタビュー。馬場さんの研究成果が記事に取り上げられていますので、ご紹介いたします。

2018年5月の結果では、チャットをしなかったユーザーが購買した確率が1.53%だったのに対し、チャットを通じて商品の詳細を見たユーザーは4.49%と約3倍のCVR(コンバージョンレート:顧客転換率)だった。女性よりも男性の方が、そして、購買経験があるよりも、未経験のユーザーの方が、CVRの向上率は高かったそうだ。
数値だけ見れば大きな変化ではあるものの、このデータだけでは「エージェントとのチャットによって購買意欲が高まった」のか、「そもそも購買意欲が高いユーザーがチャットを利用していただけ」なのか判断がつかない。この結果を基に、今後さらなる検証を進めていく考えだ。

結果に甘んじず冷静な分析をした上で、今後も検証進めていくという。そんな馬場さんに今回は、「どういう仕事をしているか」「データサイエンティストとしてのやりがい」「データサイエンティストに必要な素養とは何か」を聞いてみました。

■氏名
馬場 惇(ばば じゅん)さん

画像1

■所属
アドテク企業 研究プロジェクト責任者
国立大学招聘研究員

■経歴
データ分析と研究開発。文字領域抽出(機械学習 x 画像処理)、広告配信の予測モデル開発(機械学習)、対話エージェントの研究開発(自然言語処理、HAI/HRI、社会心理学)ときて、現在は大学との研究研究プロジェクトの責任者。分析力や研究力のアップに関してお役に立てると思います。

■インタビュー内容

Q.お仕事ではどんなことをしていますか?

少し前までは、アドテクノロジー分野でデータサイエンティストをしていました。現在、広告取引はオークション形式で行われていて、どの広告枠にどの広告を配信するかを100ms以内に決める必要があります。もちろん、人がいちいち入札価格を決めるわけにはいかないので、入札するかしないか、入札する場合はいくらで入札するかをシステムに自動で決定させます。その決定に必要なのが、期待するイベントが起きる確率の予測です。イメージしやすいのが広告のClick率。広告枠の特徴、広告主の情報、曜日時間帯など様々な特徴量を組み合わせて、いつどの枠にどの広告を出せばクリックされるかの確率(期待値)を予測します。社会人3年目までは月間数億件の配信データを分析し、様々な予測モデルを試していましたね。社会人5年目以降からは、ある某国立大学との共同研究を進めるために、招聘研究員として「社会心理学」×「機械学習」で接客の自動化を研究しています。

Q.データサイエンティストとしてどういう時にやりがいを感じますか?

見えていなかった、予期していなかったことを発見して目標の数値を向上させた時はやりがいを感じました。具体的な体験でいうと、莫大なデータの中から数値の偏りを発見し、発毛剤の広告のClick率と購入率を向上させたことがあります。発毛剤を広告から購入する人が購入前の1時間以内にどんなメディアを見ていると思います?何気なく、そこに目をつけて分析してみると、野球速報のサイトがいくつも上位に上がってきました。ここからは憶測ですが、野球をする人は、帽子をよく被りますよね?それによって薄毛を気にしている人が潜在的に多いのかもしれません。いずれにせよ、野球速報を見た後に発毛剤を買う人が多いという見えていなかった事実が発見できました。実際に、入札を強化し検証した結果、Click率と購入率を向上させることに成功しました。その新しい事実を見つけたときはニヤニヤが止まりませんでした。データ量も莫大な上に掛け合わせも無数にあるので、非常に泥臭い仕事ですがそれも含めて楽しいですね。

Q.データサイエンティストに必要な素養とはなんでしょうか?

僕が大事だと思ってるのは3つで、泥臭さ、独学欲、疑り深さ。まず、泥臭さは先ほどの事例でお話したように莫大なデータの中から効果が最大化される組み合わせを探すので、ガラクタの山から宝を探すような根気は必要だと思います。うまく宝を見つけるためにも、向上心を持って最新の技術や手法をキャッチアップする独学欲があると尚良いですよね。最後に、データに現れた現象に対して「なんでだろう」と思える疑り深さも非常に大切です。データを分析してあれこれ考えるのが醍醐味なので、疑問を抱くことを楽しめる人は向いているかもしれません。

アドテク企業の中での実際の成功事例や実際に研究してい内容をお聞きする中でAIがもたらす明るい未来を魅せてくれた馬場さん。今まさに時代が移り変わっていくことを感じさせられるインタビュー時間でした。

・「データサイエンティストを目指している」
・「研究内容に関して相談をしたい」
・「コードレビューをして欲しい」
・「キャリアの相談がしたい」

そんな方は、ぜひ一度TechTrainをお試しください。馬場さんのようなメンターはじめ、30社60名を超えるメンターが皆さんのお悩みを解決し、プロのエンジニアになる応援をします。

■ユーザー新規登録

■TechTrain

■3分でわかるTechTrain動画

TechBowl 木村

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?