【Illustratorデータ】リンクファイルの「リンク切れ」その1
以前、Illustratorの「テキストのアウトライン化」について書きました。
これと同様の頻度でご質問頂いたり、デザインデータチェック時の不備で多いのが「リンクファイル(特に画像)のリンク切れ」です。
「テキストのアウトライン化忘れ」と同様に「リンクファイルのリンク切れ」が起こってしまっていると、そのまま印刷作業を行う事ができません。
(理由は後述します。)
今回は「Illustratorデータへのリンクファイルの配置」と「リンクファイルのリンク切れ」、「リンク切れの防止策」について2回に分けて書こうと思います。
まずは今回のその1は「Illustratorデータへのリンクファイルの配置」と「リンクファイルのリンク切れ」について書きます。
意外かと思われますが、デザインチェック時に不備の連絡をした際に「リンクファイル?リンク切れって何?」と質問頂く事が意外と多いので、リンクの概要から説明したいと思います。
その上では、↓のその2で「リンク切れの防止策」の事を書きましたので、リンクの概要を知っている方は今回は飛ばしてその2へ。
※今回はIllustratorのver.は2022以降の状態で説明していますが、基本は旧ver.でも同様です。
■Illustratorデータ内に別のデータを配置できる
まずIllustratorを使い慣れている方には当たり前の事かもしれませんが、Illustrator(Aiデータ)はデータ内に別ファイル(画像など)を配置する事ができます。
※配置可能なデータ形式は↓のAdobeのページを参照下さい。
https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/kb/supported-file-formats-illustrator.html
配置する方法はとしては、以下の2つがあります。
メニューバーの「ファイル」→「配置」
Aiデータにドラック&ドロップ
これらの方法でAiデータ内に、リンクファイルを配置する事ができます。
ちなみにこの状態は「リンク配置」と呼ばれてる状態になっています。
■「リンク配置」のイメージ
このIllustratorにおける「リンク配置」ですが、リンクという言葉からも分かる様に、Aiデータに別テータが紐付けている状態です。
つまりAiデータとリンクファイルはあくまで別物の状態です。
紐付けられている状態ですので、リンクファイルをPhotoshop等のその他のアプリケーションで修正・変更すれば、Illustrator上でもその変更が反映されます。
逆に言えば紐付けられているだけなので、Aiデータ内にはリンクファイルの情報は無く、Aiデータ上でリンクファイルがプレビューされている状態です。
では「紐付けられているのに、何故リンクファイルのリンク切れが起こるの?」という疑問が出るかもしれませんが、これはリンクファイルがプレビューされるルールが関係していて、詳しくは後述しますが、「リンクファイルの保存場所」と「リンクファイル名」が大きな理由です。
通常正しくAiデータ内にファイルがリンク配置されていると、↓の様な状態となります。
リンクファイルが表示され、「リンク」ウィンドウにもリンクマーク(鎖の様なアイコン)が表示されます。
■リンク切れしているとどうなる?
まずは、リンク切れをしてしまっているとどうなるか。
↑で「Aiデータ上でリンクファイルがプレビューされている状態」と書きましたが、リンク切れをしているとIllustrator上では「低解像度で表示される」(または「リンクファイルが表示されない」)状態となります。
※Illustratorのver.がCC2022以降は低解像度で表示される様になりましたが、それ以前のver.ではリンクファイルが表示されない(真っ白)の状態となります。
◎「リンク切れ」アラート
リンクが切れてしまっているデータを開くと↓の様なアラートが表示されます。
「リンクファイルが見つかりません。」と書かれている通り、Aiデータとの紐付けが切れてしまっています。
ここでは「無視」をクリックし、このまま進みますが、
「低解像度で表示される」(または「リンクファイルが表示されない」)状態で開かれます。
◎「リンク切れ」状態
画像が表示されていますが、この状態はあくまで「Aiデータ内に残された情報を低解像度で表示している」だけの状態なので、元のデータがどんなに高画質の写真でも、実際に印刷やPDF等書き出しを行うと、低解像度の粗い状態で出力されてしまいます。
(場合によっては、表示されない事もあります。)
これだと、どんなに綺麗な写真だったり手の込んだイラスト画像だったりしても粗くギザギザな状態になってしまうので、全く意図していた状態とは違ってしまいますよね・・・。。。
■リンクファイルの場所
「リンクファイルのリンク切れ」が起こる原因は、Aiデータとリンクファイルのそれぞれの保存場所です。
Illustratorに配置した際に、Aiデータとリンクファイルが紐付けられるのは説明した通りですが、その際に各データの保存場所(フォルダの有無/位置)とファイル名もAiデータ内に記録されます。
何パターンか、Aiデータとその他のデータがリンクされている状況を説明します。
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例.1
例えば「Design」というフォルダ内に、「jacket.ai」というAiデータと、画像データ「Photo-01.jpg」を保管されているとして、「jacket.ai」内に「Photo-01.jpg」を配置するとします。
その場合は↓の様なフォルダ構成になります。
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例.2
「Design」フォルダ内にAiデータ「jacket.ai」とフォルダ「Link」が
あり、「Link」内に保管されている画像データ「Photo-01.jpg」を「jacket.ai」内に配置すると、↓の様なフォルダ構成になります。
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例.3
デスクトップなど「Design」フォルダ内にAiデータの「jacket.ai」があり、同じくデスクトップの別フォルダ「Link」内に保管された画像データ「Photo-01.jpg」を「jacket.ai」内に配置すると、↓の様なフォルダ構成になります。
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この様にいくつかのパターンがありますが、共通しているのはAiデータが主たるデータの「親」の存在で、リンクファイルが「子」の存在になっている関係性だという事です。
■何故「リンク切れ」が起こるのか
リンクファイルの概要について書きましたが、では何故「リンク切れ」が起こってしまうのかの理由は凄くシンプルで、
「リンクファイルの場所が変更された/ファイルが無くなった=Aiデータの紐付けが切れてしまった」のが理由です。
『そんな事、起こるの?』って思うかもしれませんが、そんな事が起こってしった事例をいくつか紹介します。
(「リンク切れ」をしてしまった方は、思い当たる点があるかなと・・・)
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NG例.1→同じフォルダからリンクファイルが無くなってしまった。
これが1番分かりやすい状態です。
何らかの理由で、Aiデータかリンクファイルを別の場所に移動/削除してしまった時に起こります。
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NG例.2→保管されていたフォルダからリンクファイルが無くなってしまった。
これも例.1と同様で紐付けされていた場所から移動されてしまっているのが理由です。
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NG例.3→リンクファイルのファイル名を変更してしまった。
リンクファイルの保管場所ばかりを説明してましたが、「リンクファイル名」もリンク切れを起こしてしまう大きな原因です。
↓はファイル名が元々は「Photo-01.jpg」だったのが、「写真001号.jpg」という別のファイル名に変えてしまいました。
Illustratorのリンク配置は、リンクファイルのファイル名も紐付けされる要素の1つですので、1文字でも違うファイル名になってしまっていると、違うファイルとIllustratorは認識してしまいますので、リンク切れが起こってしまいます。
■次回、「リンク切れ」を防ぐ方法
今回は「Illustratorデータへのリンクファイルの配置」と「リンクファイルのリンク切れ」について書きましたが、次回は「リンク切れを防ぐ方法」について書きます。
今回の概要が分かっていると理解しやすく、案外簡単なので参考になさって下さい。