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悪の芽

書名:悪の芽
著者: 貫井 徳郎
出版社:KADOKAWA
発行日:2021年2月26日
読了日:2021年3月7日
ページ数:352ページ
3月 :3冊目
年累計:17冊目

残虐な無差別殺人がアニコンで発生。
その人物は自殺を図り、動機は謎になる。
小学校時代にいじめのきっかけを作った
安達は自分が今回の殺人の火種ではないのか?
と自責の念に苛まれます。

エリート会社員で幸せな家族のいる安達
一方、アルバイトで職を繋ぎ独身で貧しい斎木。

この対比も物語の中では象徴的ですね。

昨今、SNSなどでも誹謗中傷や批判が問題になります。
想像力の欠如から相手を傷つけてしまう。
でも、その傷つけた本人は忘れてしまうが
された方は一生覚えているものです。

今回の”悪の芽”はどこで生まれたのか?

それは物語の核心に触れるため避けますが
私は犯人の動機がしっくりこなかったです。
動機になりうるとは思ったけれども
なんて身勝手なの?
それは加害者側の都合の良い解釈で
その怒りをぶつけただけではないのか?
と思わざるを得なくて納得感にかけました。

もし、読了された方がいたら
どういう感想を頂かれたか率直なコメント頂きたいです!

さて
世の中に悪の芽はたくさんある気がします。

何気ない一言が他人を傷つけてしまう事もあるでしょう。
同じ環境や境遇の人は誰1人いません。
みんなそれぞれの立場があるため
それぞれの意見・正義を主張する。

そうなるとどうなるのか?

不満はどこかに溜まり、沈殿していきます。
そして絶望が固定化して希望が途絶えた時
それが何かの拍子で大爆発して
凶悪な事件に繋がります。

殺人は決して肯定できるものではないです。
被害者の家族は一生苦しむ事になるし
加害者の家族だって苦しむ事になる。

そこで復讐をしようものなら
さらに負の連鎖は続く。

これだけ世の中が豊かになり
食べるのに困らなくなっても
人間の精神的な満足度は上がってるとは言えない気がする。

特に昨今のコロナ禍では職業間で
分断が加速してしまった気もする。

悪の芽を摘むべきなのか?
それとも悪の芽をそもそも出さないようにするには
一人一人が何をしなければいけないのか?

色々考えさせられました。

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