【古書めぐり】東京電灯 案内冊子
電気エネルギーを使った電灯が日本で初めて点灯したのは明治10年のことでした。この電灯公開をはじめとして、以降さまざまな記念式や開設式に臨時に電灯が使われ、ランプよりはるかに明るい夜の灯火として注目を集めるようになります。
この機運のなか、明治15年に東京電灯会社が発足し、日本橋の南茅場町の電灯局で、エンジン式の火力発電が稼働しました。当時は1660灯分の電力供給です。
電気エネルギーは、電灯のほか、交通や産業のなかにしだいに新エネルギーとして進出します。そんな中、明治24年1月に帝国議会堂が火災による焼失します。この原因は電灯の過熱によるものだと発表されると、電灯危険論が盛んになり、せっかくとりつけた電灯の廃止を求める人が急増します。電灯会社は火災原因を研究し、電灯安全説を再認識してもらえるように苦心します。
そんな社会情勢の中、明治25年東京電灯が案内冊子として配布した冊子が『とらや書店』においてあり、購入しました。
電気を普及させるために、電気機器の配線の仕方や、契約について書かれています。今では考えられないことですが、当時は家庭内への電気の引き込み方にはいろいろなパターンがあり、引き込み方により接続できる家電製品が異なっていたようです。家電製品の消費電力が明記されており、消費電力を気にしながら電気製品を使っていたのが分かります。
『参考資料』
https://jaa2100.org/sp/entry/detail/032065.html