【技術史】冷蔵庫
1492年コロンブスがアメリカ大陸を発見して以来、ヨーロッパ北部からの移民達を悩ませていたのは、アメリカ大陸の蒸し暑い気候だった。夏期、肉は1日で腐り、家畜は食べる4時間前以前に処理するわけにはいかず、ミルクもしぼって1、2時間すれば悪くなる。
どのようにすれば夏中氷を蓄えておけるか、あるいは、人工的に氷を作れるか、当時の人々は試行錯誤していた。
1820年代、夏の間氷を蓄える貯水庫が、アメリカ各地で発達した。氷の配達事業は瞬く間に広がりアメリカの一大産業になる。氷を池から切り出す作業は重労働であったため、それを軽減するための道具が工夫された。(ノコギリやスキなど木材加工用とは明らかに違う形状になっている。)
機械的冷蔵の原理を発見したのは、マイケル・ファラデーだ。1823年ガスの実験をしているとき、U字管の中で熱せられたアンモニアが片側で再凝縮することに気づいた。沸点の低い液体を気化させると周囲から熱を奪い冷却が起きることを発見したのだ。
1860年、フェルナンド・カレは最初の実用的な製氷機を発明した。移動式ストーブで
アンモニアを気化し、円錐形の容器で水から熱を奪う。
カレの発明した冷蔵庫は1862年のロンドン万博に展示され、機械で冷却する仕組みが大きな関心を呼んだ。(ちなみに、日本人が万博という催し物があることを知ったのがこの1862年のロンドン万博だった。当時江戸末期の日本人は冷蔵庫などの最先端機器を見て驚いたことだろう。)
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