長引く息子の胃の不調と、私のまかない飯
今週の火曜日から息子が学校を休んでいる。今日で4日目だ。
月曜日は、移動教室絡みでの先週の土曜日の振替休日だから、息子の体調不良は日曜日からで、えっと6日目になる。
こんなに長い体調不良は息子にとっては珍しい。
乳幼児の時は長引いた時があったと思うけれど、幼稚園、小学校生活の中でここまで連続で休んだことはなかった。
「お腹の風邪」ということなんだけど、ノロウィルスというわけではなさそうだったから、1〜2日くらいで治ると思っていた。
もしくは、吐き気は1〜2日で、そのあとは下痢になって、そっちで長引く可能性はあるかと思ってはいたけれど、吐き気が断続的に続くような今回の症状は初めてで母の私も、「いつもと違う」ことに動揺している。
飲み物が飲めるようになって、少し食べられるようになったはずが、嘔吐した。
また、水から初めて「お腹が空いた」というから、「おかゆ」「ゼリー」などを食べさせて、また気持ちが悪くなって吐いた。
固形物をまた食べられるようになったから、やれやれと思っていたら、りんごジュースをきっかけにまた吐いた。
4日目。今日も学校を休む旨の連絡帳を近所のお友だちにお願いしたあと、慎重に薬とうどんを食べさせて、予約していた小児科へ歩いて行った。
昨日は1日かけて水分から取れるようにして、夜、固形物を少し食べられたから、もう大丈夫と高をくくっていた。
「思いの外長引いています」
そう言って、診察してもらった。
「あ、やっぱり胃だね。長引くと、胃酸が上がってきてしまうこともあるから、胃を整える薬を増やすね。薬を飲んで、経口補水液を飲んで胃を整えたあと30分くらいしたら、スープ、味噌汁、おかゆ、うどんなどからゆっくり初めてみて」
そう言われて、30分待ってなかったことを反省した。
15分くらいで食べていいよと言ってしまったこともあったな。ごめん。
また仕切り直しだけど、先生にも診てもらったし、あともう一息と思ったら、息子が小児科を出てすぐに
「気持ち悪い、吐きそう。実は、家を出る前から気持ちが悪かったんだ」
と言ったのだ。
だったら、小児科でもそう言えばよかったのに……と少しイライラしてしまったけれど、多分、不調が長引いてイライラしている私に言いづらかったのだと思った。
それに本人も、何度も吐いて、自分が気持ちが悪いことを認めたくなかったのかもしれない。
「そっか。わかった。とりあえず薬局へ行こう。それから考えよう」
薬局の待合室のソファーに座らせていたら、
「気持ち悪い……気持ち悪い」
と小さく言っていた。
「うん。じゃあ、もしもの時は、これで」
ビニール袋を渡した。
名前を呼ばれて薬を受け取るも、気持ち悪さはどんどん増しているようだった。
「じゃあ、トイレを貸してもらおう」
そう言ってトイレに連れて行ったら、息子は吐いた。
吐くものがなくなっても吐きたそうだったのが気の毒だった。
それでも何度か吐いて少しだけ落ち着いた。
さあ、どう帰ろうか。
息子は、タクシーに酔いやすい。
だからこそ、今日も25分の道のりを体調が万全でない中歩いてきたのだけれど、雨脚は強まるし、ぐったりしていたので、
「マスクして匂いを嗅がないようにして、寝てていいから、タクシーで帰ろう」
と言って薬局にタクシーを呼んだ。
タクシーはありがたいことに5分ほどで到着し、私たちは乗り込んだ。
ガラス窓をこれでもかとばかりに叩きつける雨音を聞いて、結果的にタクシーを呼んでよかったと思った。
気持ちが悪くなかったとしても、この雨の中歩いて帰るのは難しかっただろう。
家について、もう一度息子は吐いた。
吐ききれていなかったものと、車酔いの両方がきたのかもしれない。
しばらくして息子が落ち着いたので、薬を飲ませて、30分測った。
「スープはないけど、味噌汁なら作れるよ」
買い物もできないで帰ってきたので、とりあえず具なしの味噌汁を作った。
スプーンで3杯ほど飲むと
「美味しい……」
と息子は言った。心からそう言ったように聞こえた。
「そう、よかったね。じゃあ5分したら、また飲もう」
「ああ、生まれてきてよかったと思うほど、美味しい」
布団に横になったまま息子がそう言っていて、私はハッとした。
そんなに具なしの味噌汁が美味しく感じるほど、弱まっていることに胸が痛くなると同時に、息子が美味しいと思える状態も嬉しいし、食べるってすごいことなんだなって私も感動したのだ。
そのあと時間を空けながら、何度かに分けて、味噌汁をお椀一杯分くらい飲んだ。
「おかゆはどうする?」
早く食べられるようになってほしい気持ちと、ゆっくりと回復することをサポートするべきだという思いが現れて迷ったけれど
「今は、味噌汁で満足」
という息子の言葉に従うことにした。
「少し寝たいけど、今寝ると夜眠れなくなっちゃうからな」
とか
「気持ちは寝たくないんだけど、体が眠ろうとしている」
とか、具合が悪い中、丁寧に自分の気持ちを伝えることが息子はうまいなと感心した。
こんな時に、そこに感心するなんて、冷静である自分に冷たさを感じたけれど、感心してしまったものは仕方ない。
ここ数日、息子に合わせて、自分のやりたいことがあまりできないことに私の中に不満も溜まってきている。
ご飯も息子の前で食べられなくて、台所の隅の息子の死角で立ったままかっこむように食べていたら、ちょっと悲しくなった。
だから、さっきは、椅子を持ち込み、調理台を机にご飯を食べたら、料理屋のまかない飯のような気がしてちょっとだけ楽しく思えた。
家族とかのために、どうしても自分の時間を使う時ってある。
そんな時は、ほんの少しでもそこに「遊び」とか「気持ちの余裕」を感じることが、家族に優しくできるポイントのような気がする。
「酸素マスクは、子ではなく、母から先につけるのが原則」
この前のHSCの勉強会でそう聞いたことを思い出す。
飛行機事故の酸素マスクのことを例えて、まずは自分のことを大切にしてから、子を大切にするんだよということを聞いたのだ。
そうだ! 子の面倒を見るためにも、まずは自分が元気でいないとな。
だから、今日は、息子のことを気にしながらも、読書をしたり、書き物をしたりしている。
そうすると少し心が落ち着くのだ。
明日、給食がないので、できたら学校に行ってほしいと思っていたけれど、どうだろう、まだ難しいかもしれない。
こうなったら、じっくり付き合うしかないな。
連絡帳を行きも帰りも持ってくれるお友だち。
息子が学校へ行くことを待っていてくれるお友だちと先生。
安心感をくれる小児科の先生。
いろんな人に支えられている。
明日、明後日と旦那も会社が休みで家にいてくれるから、私も息抜きをしながら、もう少し頑張ろう。
家に病人がいると、看病する人は頑張らなきゃいけない。
「一番辛いのは本人」
はその通りなんだけど、看病する自分のことも「よくやっているね」と労いながら、もう少し!
どうにか乗り切ろうと思う。
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