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「やりたい」と思ったことは本当に自分がやりたいことなのか

とある企業での仕事と育児の両立研修。研修前に動画とワークの事前学習を行い、研修当日はそれをベースに1日かけて受講生同士や先輩社員との対話を繰り返し行う。

最後の対話のお題は「感想&気づき」からの「上司や同僚、家族と一緒に叶えたいこと」。

とある受講生がこんな気づきを共有してくれた。

自分がこれまで「やりたい」と思っていたことは、周囲から「やった方がいい」と言われて「やりたい」と思い込んでいたことで、本当に自分がやりたいことなのか?本当は自分自身がやりたいことではないのではないか?と思い始めた。まずはもう一度自分が心からやりたい仕事は何なのかを考えたい。

オンライン研修のためみんなの表情が見て取れる。
私も含め、そこにいた全員が鳥肌級にはっとした瞬間だった。

人生100年時代、VUCA時代、ニューノーマル時代、これまでの生き方、働き方、ではダメだと言われる。

キャリアオーナーシップ、リスキリング、ウェルビーイング、レジリエンス。

新しい概念をインストールしては、それが何なのかを検索しているうちに新しいバージョンにアップデートしろとプロンプトが止まらない。

毎日育児と仕事でいっぱいいっぱいなのに、何かをしなければいけないという焦燥感にかられて目標を決める。果たしてそれが自分の考えなのか、自分の思いなのかをゆっくりと吟味する暇も余裕もない。立ち止まることができないからわからないまま突き進み、あれこもこれもできていないことに凹み、罪悪感がチリ積もる。

でも、育児からも仕事からもちょっと離れて、同じように育児と仕事の両立に悩む職場の仲間に話しているうちに、肩の力や噛み締めていた奥歯の力が抜け、緩んだ心からだんだん自分の思いが姿を現す。次第に余計なことが削ぎ落とされて、自分の本当の望みの輪郭が見えてくる。

きっとそれは聞きなれないカタカナではなく、目の前にある検索しなくても分かること。育児や仕事の大変さとか忙しさは変わらないけれど、面白い、頑張りたいと思えること。

新しいことをインストールする容量が十分にない時は、前にインストールした「〇〇した方がいいこと」に自分の「〇〇したいこと」を上書きしてみるのがよいかもしれない。そうしたら頑張るときもなんだか大変さに埋もれずに進んでいける。

そもそも毎日の子育てだけで、オーナーシップ発揮していてリスキリングもできていて、どんどんレジリエントな自分になっている。仕事と子育ての両立自体が最高にウェルビーイングな営みなのだ。

1月も終わろうとしているのに今年の目標をまだ立てていなかった私は、もう一度心の奥にある思いと向き合ってみた。それが「紛れもなく私がやりたいことなのか」をゆっくり吟味し、確認できた。楽な一年にはならなそうだけれど、楽しめそうだ。