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「育休中の学び直し」:AERAコメントの補足

昨日発売のAERA。岸田首相の「育休中の学び直し」炎上についての記事にコメントを掲載いただきました。

AERA 23.2.13 朝日新聞社

ちなみに、特集のタイトルが「戦略的に休み 疲労を残さない」
もう、タイトルが辛すぎるな。。。

掲載されているのは実際にお話ししたことのほんの一部なので、ちょこっと補足です。(全然ちょこっとではないですが)
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炎上は日本中の「育児への大変さ」が溢れた結果だけれど・・・

育児はとにかく大変です。大変なこと以上に喜びはありますが、まあ、大変です。痛いほど分かります。

自分のことは後回しです。ゆっくりお茶を飲むのも、トイレに行くのすら自分のタイミングでできません。

今回の炎上は、大家議員の質問と岸田総理の発言に日本中の「育児への大変さ」が溢れた結果です。

ただ、「育休中のリスキリングは不要」とか「育児中に学び直しを後押しされたらプレッシャーだから辞めてほしい」という声がある一方で、「育児中だって学びたい!」という声もあり。「学びたい!」という人たちまで批判されるのは少し違和感。

学んだり育児以外の活動したりすることで育児の大変さが和らぐ人もいます。
人それぞれですし、そのそれぞれを尊重する社会であってほしいと思います。

私は毎年かなりの数の復職前セミナーを担当しますが、復職への不安を和らげるためにオンラインセミナーを受講しているパパやママが沢山います。肌感覚ではありますが、年々増えている印象です。

復職前に学んだことが自信に繋がり、ステップアップしたいと思えるようになったという声も多く聞きます。夫婦で同時に育休を取って、お互いの学びをサポートしている人もいます。

こんなふうに「学びたい!」という人はいて、その人達への支援があることはとても大切なことだと思います。

産休中・育休中・育児中 それぞれを分けて考えたい

産休中、育休中、育児中の3つが議論で混在しているのもちょっと気になります。

産後休業/産後パパ育休は産後8週間。この期間は、ママの体調回復と生まれたばかりの赤ちゃんの命を守ることが最優先。パパもママも赤ちゃんとの関わりを通して親子になっていくための大切な期間。わざわざ「リスキリング」しなくても、赤ちゃんと毎日を過ごすだけで漏れなく新しい学びがついてきます。

その後の育休中は、新しい家族の毎日を徐々に整える時期。毎日の生活が整ってきたら、仕事と育児を両立するための協業体制を徐々に整えます。復職後に始まる「育児中の両立」を持続可能にするための準備期間です。

育児中の両立には「日々の両立」と「中長期的な両立」がありますが、その両方の視点で生活を整える必要があります。

ただ、実際は難しいので、まずは「日々」、可能であれば「中長期」の視点も持ちたいですね。という感じです。

「日々の両立」は日々の家事・育児・仕事をどう回すか。そのためには、必要な育児&家事スキルをアップしておくことが大切です。

特に子どもの5大お世話
「オムツ替え・食事(離乳食含む)・お着替え・お風呂・寝かしつけ」は、
パパもママも同じようにできるようになっておくとみんなが安心だよ、と伝えています。

また、自分たちだけではなく、「ひと・こと・もの」に頼りながら、余白を創って、家族との時間も確保できるようにチームわが家でいこう!と勧めています。

「中長期的な両立」は育児期とその先のライフとキャリアの両立を指します。

育休中に限らず、子どもの成長とともにずっと続きます。「育休中」ではなく「育児中」です。

自分が今関わっている仕事をどのように深堀していきたいか、または広げていきたいか、今後どんなスキルや知識を身に付け、それをどう仕事に役立てていきたいか。さらには、自分の仕事でどう社会に貢献したいか。

そんなことを考えると、仕事に面白さがアドオンされます。

面白さを感じながら働き続けるためには、チャレンジと知識&スキルのアップデートが不可欠です。お互いのやりたいこと、学びたいことを叶えながら、子育てとどう両立させていくか。それを考えるのが中長期的な両立です。

育児中に新しい知識やスキルを得ることは、中長期的な両立を考える上で有効だと思います。それを育休中にできる人はやればいいと思います。

育休中は育児に専念して、復職後に学べばいいという考え方もありますが、復職後こそ、毎日が綱渡り状態で、学びの時間を取るのは育休中以上に難しいと思います。なので、育休中に「学びたい!」という希望があれば、それを後押しするというのは、理にかなっていると思います。

誰もが育休中に中長期的な視点が持てるかと言えば難しいと思います。育休中に中長期的な両立まで考えることはマストではありません。

どこまで考えるかはそれぞれの家庭で違うと思います。

すべて本人が希望すればの話です。

学びへの枯渇感。学びたくなったらいつでも学べるための支援

私自身、三人目が小学校に上がる前に大学院に入学。仕事のペースもあげつつ、週に数日のペースで3年間学びました。今思えば、「リスキリング」の意味合いが強かったわけですが、中長期的な両立のために学んだわけでも、人生100年時代だからというわけでも、国からの後しがあったわけでもなく。

単に「喉から手が出るほど学びたかった」だけ。
私の学びを後押ししたのは、仕事で直面していた「枯渇感」でした。

今子育てが大変すぎて、学ぶ余裕がない人も、単に学びたくない人も、
「学びたい」という気持ちがムクムク出てきたら、育休中でも育児中でもそれ以外でも誰でも学べる支援。

それは、とても嬉しいことだと思います。